BLゲームの世界に転生させられました。

ポプリ

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完全に迷子になりましたよ…うん。
とりあえず、そこにあるお店にはいってみよう。兄はかなり目立つ容姿だし、聞けば何かわかるかもしれない。


入ってみたお店は雑貨屋で、様々なペンダントやブローチなど、小物が売られていた。

「すみません、あの…このあたりをおれと同じような銀髪の男の子と、栗毛の女性がとおりませんでしたか?」

お店のレジのところにいた糸目の優しそうなお姉さんに聞いてみる。

「えぇっと、君迷子なの?ごめんね、そんな子は見ていないわ。
一応、お隣のお店の人にも聞いてきてあげる。このクッキーあげるから、これ食べて商品でも見て待っていてちょうだい。
ラフィーナ!ラフィーナ!!」

「はーい、何?お母さん」

店の奥から、ラフィーナと呼ばれた若い女性が出てきた。

「ちょっと出かけて来るから。店番頼めるかしら」

「わかったわ~
いってらっしゃい」

そう言うと、お姉さんは俺にクッキーを数枚わたして店を出ていった。

「あのめだつ兄様に気づかなかったってのはあまりないだろうし、やっぱりこの辺りはとおってないのかな?」

公爵家でいつも食べてるものには当然劣るが、素朴な味がして美味しいクッキーを食べながら、綺麗に並べられたアクセサリーを見る。いろんな種類の石でできたのバラなどの花の形をしたものや、様々なデザインの銀細工が美しい。
その中に、美しいアイスブルーの石でできた花弁に、銀細工の葉と茎なバラの花のブローチと、琥珀の埋め込まれている、花の形をした銀細工の髪飾り。

「きれいだな…このブローチは兄様のひとみみたいだし、琥珀はマリーのひとみみたいだ…これ、買っていってプレゼントしたらよろこんでくれるかな……」

「あら、それ買っていくの?」

「あ、はい。
その、プレゼント用につつんでもらうことってできますか?」

「プレゼント用に包むのは小銅貨5枚だけど…いいかしら?」

やっぱり追加料金かかるのか…まぁ、小銅貨5枚ていどなら…いいかな?

「はい、おねがいします」

「そう、それなら、ブローチは1円が銀貨7枚と小銀貨5枚。髪飾りは、銀貨8枚よ。それから、2つの包装代として、小銅貨10枚。合計銀貨15枚と、小銀貨5枚、それから銅貨1枚になるわ。今更だけど、子供がこんなにお金持ってるの?」

うっわぁ、このお姉さんめっちゃ疑わしげな目線向けてくるよ…
えぇっと、この値段は日本円でいう、15510円くらいになるから…うん、たしかにこんな子供が持ってる金額じゃないわな…まぁ、あるけど

「だいじょうぶです。えぇっと、これでちょうどなはずです」

銀貨10枚分を金貨で支払ってもいいんだけど、さすがに金貨をだすのはまずいから、銀貨で支払っておこう。

「ええ、しっかりちょうどね。驚いたわぁ
はい、どうぞ。壊さないように気をつけてね」

合流できたら、ちゃんと謝ってこれをわたそう。
それぞれ小さな箱に入れて、綺麗にラッピングしてもらったので、それを大切にカバンの中に入れておく。

すると、隣の店へ行っていたお姉さんが帰ってきた。

「ごめんなさいねぇ。やっぱり、君の言うような子は通っていないみたいよ。この辺りにはまだ来ていないんじゃないかしら?」

「そうですか…
聞きに行ってくださって、ありがとうございます」

「いいのよぉそれより、迷子ならやっぱり、広場の方に行った方がいいんじゃないかしら?迷子になった子はあそこでよく親を待つから。平民街の中心だから、見つけてもらいやすいのよ~」

「えっと、それじゃぁ、ひろばに行ってみます。
ありがとうございました」

「いえいえ、気をつけて行くのよぉ~
何かあったら、戻ってらっしゃいな」

「ありがとうございます」

本当にいい人だな。
お世話になったお姉さん2人に、手をふって店をでる。
とりあえず、このまま広場へ行こう。もしかしたら兄たもそこにいるのかもしれない。

「いたっ」

足早に広場へ向かっていると、猫を追いかけ、走りながら目の前を通り過ぎようとしていた男の子とぶつかってしまった。

「いてて、あわわ
ご、ごめんなさい!ぼく、まえ見てなくて…」

「いや、まえを見てないなかったのは俺もだから、おたがいさまだよ。
だいじょうぶ?けがしてない?」

ぶつかったのは、ふわふわの綿菓子のような金髪に、兄のブルーとり濃い色をしたサファイアのようなブルーのキラキラした瞳。驚くほどに可愛らしい男の子だった。

「は、はい!だいじょうぶです!
あ?!ねこさんがにげちゃった!まって~!」

どこも怪我していないようで、安心した。
いきなり大きな声をあげたと思ったら、どうやら路地裏の方へきえようとしていた猫を見つけたらしく、慌てて立ち上がり、猫を追いかけて行った。

「あわただしい子だったな…
あれ?これ…」

さっきの男の子がいた場所には、どこかの家紋のようなものが刺繍された桜色の小袋が落ちていた。

「あの子のおとしものか?
はぁ…しかたがない。届けてあげるか…
たしか、あのろじうらにねこを追いかけていったはず…」

遠くへ行ってしまう前に、急いで後を追おうと、路地裏に入った。

「いないな…どこまでいってしまったんだ」

そこまで遠くへは行っていないと思うんだが。どこにいるんだよ

「は、はなしてください!!」

?!

この声…さっきの子の声なはず。

急いで声のする方へ走る。焦ったような声だった。何かあったに違いない。

「やめてください!
はなしてくださいよ!」

駆けつけると、嫌がり、逃げようとするさっきの子を、2人の男性が取りおさえようとしているところだった。

「暴れんなコラ」

「へっへっへ
こいつ綺麗な顔してやがるぞ。攫って売るか身代金要求するかすれば、かなり儲けられるぜ」

うっわぁ。お決まりすぎる展開キタコレ…
お決まりすぎる悪役じゃねぇかよ。

「これは…ほうっておくわけにはいかないよな…
しかたがない」

えっと、どこかに植物は…植物は…

「あ、あれだ!足元に花が生えてる
『草花よ、やつらにからみつけ』」

地面の石レンガの隙間から生えた草花がスルスルとのび、悪漢2人に絡みついていく。

「きみ、だいじょうぶ?
なにもされてない?」

「え?え?え?」

いきなりのことで頭が追いついていない様子の男の子は、目を白黒させながら、あらわれた俺と草花によって宙吊り状態の男2人を見比べている。

「ほら、これいじょうここにいるのはあぶないよ。
ほごしゃの人のところに行ったら?」

「あ、えっと、た、たすけてくれてありがとうございます!!
その…ほごしゃは…いっしょに来てなくて…ぼく、へいみんがいを見たくて、ぬけだしてきたんです」

よく見た感じ、服装などからしていいところのおぼっちゃまのようだ。もしかしたら貴族なのかもしれない。

「あぁ…それならおれといっしょにくる?」

「え、いいんですか?!」

「まぁ、いいんだけど。実はおれ、あにとはぐれてまいごなんだよな…だからとりあえずひろばに行こうと思ってたんだよ…だから、ひろばに行ったらおれはあにをさがすけど、それでもいいか?」

「はい!いいです!!
ついて行かせてください!!」

「この男の人たち、ほうっておくわけにもいかないから、ひろばにつれていって、きしだんの人にわたそっか」

「そうです…ね。でも、どうやってはこぶんですか?」

「あぁ、それなら、草花をうごかすからだいじょうぶだよ」

「え、そんなことできるんですか?!すごいです!!」

「ま、まぁな」

実は俺、魔法が楽しくて自宅の図書室で調べて、密かに練習したんだよな。おかげで植物をある程度自由に操れるようになった。

「『草花よ、あるけ』」

すると、ひょいっと、根っこが飛び出て来たかと思うと。根っこが足のように動き、俺の思う通りに歩いた。

「すごい!すごい!!」

「あ、そういえばじこしょうかいしてなかったなぁ」

「あ、そうでしたね。
ぼくはエトワルって言います。エルって呼んでください!!」

えっと、子供相手とはいえ、お忍びの公爵家令息がさすがに本名なるのはまずいよな。なにか偽名、偽名…思いつかん。もう愛称でいいか…

「おれのことはルーって呼んでくれ」

「わかりました!ルー」

そう言うと、エルは太陽のような笑顔でにっこりとわらった。

「あ、そういえばエル
これ、エルのものじゃないか?おちてたんだが」

そう言い、さっき拾った小袋を差し出す。

「あ!そうです!それ、ぼくの大切なものなんです。
ひろってくれてありがとうございます!」

「いやいいんだ」

そして、俺たちは早足で路地裏を出ると、広場へ向かった。
すれ違う人が、宙吊り状態で気絶している男2人をみて驚いているが、無視だ無視。

広場へ向かう最中、エルは終始俺の事をキラキラした目で見ながら褒めたりしていた。
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