家族

葉月さん

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おきにいり

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あれから数日が経過した。その間、何も起きてはくれず、平和な時間が流れているだけだった。
「どうしよ、暇。」
何もする事がないので私は家の中を散歩することにした。この家は広すぎるので私もまだ行ったことないところがたくさんある。だから散歩は絶好の暇つぶしなのだ。そうと決まったら早速行こう。私は勢いよく立ち上がった。扉を開け、歩を進めていく。廊下は綺麗に掃除されている。咲夜さんがやってくれたのだろうか。すごいなぁ。さすがはメイドさんだ。こんなに広い家を隅々まで掃除してしまうのだから。そんなことを考えながらまっすぐ歩いていく。と、そこで。
「レミ!!」
レミを見つけて私は彼女に駆け寄る。
「おはよう!!」
「おはようって、あなたね、もう午後じゃない。」
たしかに。うーん。何で挨拶って時間によって変わるんだろう。統一してくれたらいいのに。
「どこいくの?」
私はレミに問いかける。
「お気に入りのところ。」
「それがどこか聞きたいんだけど?」
レミがふっと笑った。
「暇なら一緒に来る?」
「いく!」
ちょうど暇していたところだ。嬉々としてレミについていくことにした。それにしても、レミのお気に入りのところってどこなんだろう。気になるなぁ。
「こっちよ。」
レミに先導されて、私は軽い足取りで歩いていく。しばらく歩いたところで、レミが立ち止まった。横を向くと、そこには階段が。
「この先よ。」
階段を登り始めるレミ。私も続く。結構な段数だ。
「あれ?」
1、2、3、4。この家の最上階を超えたみたいだけど、まだ階段は続いている。
「さあ、ここよ。」
レミが扉を開けた先には。
「屋上!?」
一部屋分ぐらいの、小さい屋上だった。
「ここが私の、お気に入り。」
たしかに、すごくいい場所だ。景色もいい。
「嫌なことがあったときは、だいたいここに来てた。少し気持ちが軽くなるの。」
そういうレミは透明な笑みを浮かべていた。2人で並んですわって、遠くを眺める。
「私が部屋にいない時はだいたいここにいるから。すみれも気が向いたら来てもいいわよ。」
少し早口めにレミがいう。ああ、これは来てほしいってことね。
「気が向いたらね。」
レミに笑いかけながら、私はそう返した。
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