家族

別れと出会い

雨…私はゆっくりと座り込んだ。気を失いかける。疲れた体に、冷たい雨は降り注いだ。自分の手についた水が、雨なのか涙なのか見分けがつかなかったーー

あの１週間は最悪だった。
月曜日、お母さんとお父さんが死んだ。
火曜日、お姉ちゃんが死んだ。
水曜日、私はおばあちゃんに引き取られた。
木曜日、おばあちゃんは私はいじめた。
金曜日、私はおばあちゃんの家を出た。
土曜日、おばあちゃんは私を探そうとはしなかった。
日曜日、お金が尽きた。
そして、今。私は寒さに耐えていた。そしたら、私に降りかかっていた雨は止んだ。天国にでもついたのかと思った。でも、違った。
「何してるの？」
誰かが、私に傘を差しかけたのだ。
「お気になさらず。」
私はすぐに言葉を返し、優しいその人から離れた。
「寒いでしょ?おうちはどこ？送って行くよ。」
その女の人は、どこまでも優しい。私はその優しさが、笑顔がいやだった。
「大丈夫です。放っておいてください。」
女の人は何も悪くない。でも、私の声は自然と冷たくなった。
「大丈夫そうに見えないよ。ほら、おいで。」
私はそれを拒んだ。
「おうちの人が心配してるよ。行こう。」
女の人はずっと私に声をかけ続ける。
「心配してくれる人なんていませんから。」
私はずっと拒絶し続けた。
「え？お母さんは？」
お母さんの話が出てきた。私は思わず唇を噛んだ。そして言う。
「家族みんな死んでしまったので。引き取ってくれたおばあちゃんは私を嫌っているし。」
知らない人に事情を話してしまったことに自分でも驚く。
「大変だったんだね。」
女の人は少しびっくりしながらも、優しい声でそう言うと、私の頭を撫でた。
「私の家においで。」
「え、でも。」
「大丈夫。あなたのおばあちゃんには伝えておくし、うちは心配ないよ。」
「え、これって拉致じゃ…？」
「違うよ！？」
女の人とそんな会話をし、結局、私はその女の人の家に住まわせてもらうことにした。何しろ、おばあちゃんのところにはもう戻りたくなかったし、おばあちゃんも喜ぶはずだ。
「よろしくね。私のなまえは張野由奈だよ。」
「私は花野すみれです。」
私を拾って住まわせるなんてよっぽどの物好きだなぁと思う。
「すみれちゃんかぁ。じゃあおいで。私の家、結構近いから。」
私は由奈さんの好意に甘えることにした。歩きながら由奈さんと話す。
「すみれちゃん、今日の夕飯何がいい？」
そんな話をしながら歩いていくと、綺麗な家が見えた。おしゃれだなぁ、とおもっていると、
「あれが私の家よ。」
と由奈さんが言ったので、わたしは思わず
「え…？」
と、声を漏らしていた。だって、その家は、普通の家の３０倍はあるだろう、豪邸だったのだからーー