35 / 37
35.腕輪
しおりを挟む
それに気がついたのは、卒業式が終わって、
ジルベール様と馬車に乗って屋敷に帰るところだった。
カチャっと金属がぶつかる音がして左腕を見たら、
腕輪が二つになっていた。
マリーナさんから渡された腕輪の他に、もう一つ。
「え?……あ、この腕輪か」
もう一つの腕輪はずっと幼いころから身に着けていた腕輪だった。
ドリアーヌに攻撃されて黒猫になった時、
消えていたから落としてしまったんだと思っていた。
「……シャル、それを見せてみろ」
「あ、はい」
左腕を差し出すと、ジルベール様は腕輪を確認するように見る。
そのまま魔力でねじまげるようにしてパキリと割った。
「え?」
腕輪を壊した?
どうしてと思ったが、ジルベール様は険しい表情をしている。
「こんなものが混ざっていたのなら気づかないのも当然か。
シャル、これがなんだかわかっていたのか?」
「これは魔術が使えない代わりに身を守ってくれる魔術具だと」
「渡したのは後妻か?」
「はい、そうです。お義母様からです」
あれはドリアーヌが生まれてすぐだったと思う。
私は黒色だから魔術を使ってはダメなんだと。
私を守るためのものだから身につけなさいと言われた。
「これは身を守る魔術具ではない。魔力を放出させるものだ。
罪人などにつけるものだといえばわかるか?
これがあると魔力が貯まらないから、魔術も使えなくなる」
「……罪人?」
「ああ。魔術を使って犯罪をおかした罪人につけるものだ」
ずっと身につけていたものが罪人がつけるものだと言われ、
そこまでお義母様に恨まれていたのかと思う。
「シャルの魔力が増えなかったのは腕輪のせいだ。
それと精霊がずっと近くにいたのもこのためだろう。
普通は魔力が漏れ出すのは幼い時だけだが、
シャルはずっと魔力を放出している状態だった。
精霊にとっては居心地がよかっただろうな」
「あぁ、そうです!精霊さんを見ました!」
「見た?」
「一度、身体から離れたんです。
それで、また吸い込まれるように身体に入っていって」
「あぁ、精霊が分離したから魔術具も離れたのか。
そうか……この腕輪を取り除けてよかった。
まさか魔力制限の腕輪が混ざってるなんて思いもしない。
解析するにしてもかなり時間がかかっただろう」
よほどめずらしいものなのか、
ジルベール様は壊れた腕輪を持ち上げて観察している。
「おそらくドリアーヌともう一人の令嬢、
侯爵夫人で上級魔術師でもあるシャルを殺そうとしたとなれば、
最終的な処罰はどうであれ、
このような魔力制限をかけるものをつけられるだろう」
「ドリアーヌたちに魔力制限を……。でも、そうですよね。
あんなふうに魔術で殺そうとしてくるなんて」
「処罰が決まれば、院長が腕輪を作る。
もう二度と魔術を使えないように」
「それがいいと思います」
魔力制限の腕輪……ずっと身につけていたものが、
そんな恐ろしいものだとは思わなかった。
分離できて本当によかった……。
身体の大きさは戻ったけれど、半分しか解呪できていないと言っていた。
魔術具が取り出せたのなら、あとは精霊だけかもしれない。
「精霊と分離できたら、元に戻りますか?」
「戻ると思う。精霊は自分の意思で出てこれるのだろう。
シャルが呼べは出てくるはずだ」
「出て来てくれますかね……精霊さん、出てきてください?」
自分の身体に向かって呼びかけてみると、
にゃあんと鳴いてひざの上に黒猫があらわれる。
「わ、本当に出てきました」
「あぁ、やっぱり猫型の精霊だったか。
シャルの魔力を取り込んだからこれだけはっきり見えるのか」
「普通は違うんですか?」
「ああ。これなら魔力がない人間にも見えるだろう。
それだけ力をもった精霊だということだ」
「そうなんですね」
力がある。そう言われれば、ドリアーヌに殺されかかった時も、
今日も私を助けてくれた。
まだお礼を言っていないことを思い出し、そっと背中を撫でてみる。
「精霊さん、何度も助けてくれてありがとうございます。
おかげで死なずにすみました」
「そうだな。俺からも礼を言おう。
シャルを助けてくれてありがとう」
「にゃああ」
どういたしましてと言った気がする。
ずっと一緒だったからか、なんとなく感じるものがある。
また精霊さんは身体の中に戻るのかと思ったら、
するっと透き通って馬車の外に出て行ってしまう。
「あっ。精霊さん?」
「今はシャルを守らなくても大丈夫だと思ったんじゃないか?
そのうち戻ってくるよ。
シャルの魔力は美味しいだろうからな」
「戻ってくるんですね。よかった」
このままさよならはさみしいと思ったけれど、
また戻ってくるのなら散歩に行ったと思えばいい。
屋敷に着いて、思った以上に疲れているのに気がつく。
朝からあんなことがあって、卒業式もあった。
疲れて当然かもしれない。
「シャル、少し眠った方がいい。
初めて魔術を使ったんだ。
その反動で身体に負担がかかっている」
「そう……なんで……すね」
もう目を開けていられない。
ジルベール様に抱き上げられて部屋まで連れていかれ、
そっとベッドに降ろされる。
ふわふわの枕に頭をのせたら、もう限界だった。
すぐさま夢の中へと落ちていく。
夢の中で、私は三歳くらいの大きさだった。
あぁ、腕輪をつけた後くらいだ。
大きな腕輪を落とさないようにおさえながら歩く癖があった。
にゃあとどこからか声がして、見たら小さな黒猫がいた。
窓も閉めたままなのに、どこから入り込んだんだろう。
抱き上げると、手をざりざりとなめてくる。
ちょっと痛いけど、毛がふわふわして気持ちいい。
部屋の中で飼えるだろうか。
私は屋敷の外に出たらいけないというのなら、
猫を飼うくらい許してくれるかもしれない。
そのまま猫を抱き上げてお義母様の部屋まで行く。
お義母様は部屋に来たのが私だとわかると、
めんどくさそうにドアを開けた。
「いったい何の用なの?」
「あ、あの。この猫を飼ってもいいですか?」
不機嫌そうなお義母様におそるおそるお願いする。
機嫌がいい時に来ればよかった。
「は?なに、この猫。黒猫じゃない!
あなた魔女にでもなるつもりなの!?」
「ち、違います」
「早く外に出して!
あぁ、屋敷から出ていくところなんて見られたら大変。
今すぐ殺してしまわないと!」
「え?……殺す?」
この小さな猫を殺す?黒色だから、殺さなきゃいけないの?
「誰か!早く来て!」
お義母様は自分で殺すつもりはないようで、
家令や侍女を探しに行った。
それを見て、急いで黒猫を窓から逃がした。
「ここから逃げて!早く!
もう戻って来ちゃだめ!
見つかったら殺されるわ!」
「みぃぃ!」
慌てて窓から外に出したからか、
猫は嫌そうな声をあげて走っていく。
逃がしたことに気がついていないお義母様は、
家令を連れて戻ってきた。
「あの猫は!?」
「あ、あの、逃げちゃって」
「なんてこと!」
お義母様は私の頬を叩くと、
家令と一緒に庭の方へと向かった。
ジンジン痛む頬を押さえながら、自分の部屋に戻る。
猫が飼えなかった悲しみよりも、
ちゃんと無事に逃げられたのかどうか気になる。
どうかあの猫が無事に逃げて、
可愛がってくれる人に拾われていますように。
眠りから覚めかけて、
あれは精霊だったのかと思い出した。
きっと見つからないように逃げてって言ったから、
姿を隠してそばにいてくれたんだ。
ずっと私を守ってくれていた。
ひとりぼっちじゃなかったんだと胸が温かくなる。
そして目が覚めたら、ジルベール様の腕の中にいた。
「……ジルベール様?」
「うなされていた。大丈夫か?」
「はい。昔の悲しい出来事を夢で見ていました。
でも、もう大丈夫です」
「そうか……もうすぐマリーナが戻ってくる。
それまではこうしていよう」
「はい」
ジルベール様に髪や背中をなでられ、またうとうとと眠くなる。
毎日こうして抱きしめられて寝ているのに、
その度にこの腕の中はどうしてこんなにも温かいのかと思う。
ジルベール様と馬車に乗って屋敷に帰るところだった。
カチャっと金属がぶつかる音がして左腕を見たら、
腕輪が二つになっていた。
マリーナさんから渡された腕輪の他に、もう一つ。
「え?……あ、この腕輪か」
もう一つの腕輪はずっと幼いころから身に着けていた腕輪だった。
ドリアーヌに攻撃されて黒猫になった時、
消えていたから落としてしまったんだと思っていた。
「……シャル、それを見せてみろ」
「あ、はい」
左腕を差し出すと、ジルベール様は腕輪を確認するように見る。
そのまま魔力でねじまげるようにしてパキリと割った。
「え?」
腕輪を壊した?
どうしてと思ったが、ジルベール様は険しい表情をしている。
「こんなものが混ざっていたのなら気づかないのも当然か。
シャル、これがなんだかわかっていたのか?」
「これは魔術が使えない代わりに身を守ってくれる魔術具だと」
「渡したのは後妻か?」
「はい、そうです。お義母様からです」
あれはドリアーヌが生まれてすぐだったと思う。
私は黒色だから魔術を使ってはダメなんだと。
私を守るためのものだから身につけなさいと言われた。
「これは身を守る魔術具ではない。魔力を放出させるものだ。
罪人などにつけるものだといえばわかるか?
これがあると魔力が貯まらないから、魔術も使えなくなる」
「……罪人?」
「ああ。魔術を使って犯罪をおかした罪人につけるものだ」
ずっと身につけていたものが罪人がつけるものだと言われ、
そこまでお義母様に恨まれていたのかと思う。
「シャルの魔力が増えなかったのは腕輪のせいだ。
それと精霊がずっと近くにいたのもこのためだろう。
普通は魔力が漏れ出すのは幼い時だけだが、
シャルはずっと魔力を放出している状態だった。
精霊にとっては居心地がよかっただろうな」
「あぁ、そうです!精霊さんを見ました!」
「見た?」
「一度、身体から離れたんです。
それで、また吸い込まれるように身体に入っていって」
「あぁ、精霊が分離したから魔術具も離れたのか。
そうか……この腕輪を取り除けてよかった。
まさか魔力制限の腕輪が混ざってるなんて思いもしない。
解析するにしてもかなり時間がかかっただろう」
よほどめずらしいものなのか、
ジルベール様は壊れた腕輪を持ち上げて観察している。
「おそらくドリアーヌともう一人の令嬢、
侯爵夫人で上級魔術師でもあるシャルを殺そうとしたとなれば、
最終的な処罰はどうであれ、
このような魔力制限をかけるものをつけられるだろう」
「ドリアーヌたちに魔力制限を……。でも、そうですよね。
あんなふうに魔術で殺そうとしてくるなんて」
「処罰が決まれば、院長が腕輪を作る。
もう二度と魔術を使えないように」
「それがいいと思います」
魔力制限の腕輪……ずっと身につけていたものが、
そんな恐ろしいものだとは思わなかった。
分離できて本当によかった……。
身体の大きさは戻ったけれど、半分しか解呪できていないと言っていた。
魔術具が取り出せたのなら、あとは精霊だけかもしれない。
「精霊と分離できたら、元に戻りますか?」
「戻ると思う。精霊は自分の意思で出てこれるのだろう。
シャルが呼べは出てくるはずだ」
「出て来てくれますかね……精霊さん、出てきてください?」
自分の身体に向かって呼びかけてみると、
にゃあんと鳴いてひざの上に黒猫があらわれる。
「わ、本当に出てきました」
「あぁ、やっぱり猫型の精霊だったか。
シャルの魔力を取り込んだからこれだけはっきり見えるのか」
「普通は違うんですか?」
「ああ。これなら魔力がない人間にも見えるだろう。
それだけ力をもった精霊だということだ」
「そうなんですね」
力がある。そう言われれば、ドリアーヌに殺されかかった時も、
今日も私を助けてくれた。
まだお礼を言っていないことを思い出し、そっと背中を撫でてみる。
「精霊さん、何度も助けてくれてありがとうございます。
おかげで死なずにすみました」
「そうだな。俺からも礼を言おう。
シャルを助けてくれてありがとう」
「にゃああ」
どういたしましてと言った気がする。
ずっと一緒だったからか、なんとなく感じるものがある。
また精霊さんは身体の中に戻るのかと思ったら、
するっと透き通って馬車の外に出て行ってしまう。
「あっ。精霊さん?」
「今はシャルを守らなくても大丈夫だと思ったんじゃないか?
そのうち戻ってくるよ。
シャルの魔力は美味しいだろうからな」
「戻ってくるんですね。よかった」
このままさよならはさみしいと思ったけれど、
また戻ってくるのなら散歩に行ったと思えばいい。
屋敷に着いて、思った以上に疲れているのに気がつく。
朝からあんなことがあって、卒業式もあった。
疲れて当然かもしれない。
「シャル、少し眠った方がいい。
初めて魔術を使ったんだ。
その反動で身体に負担がかかっている」
「そう……なんで……すね」
もう目を開けていられない。
ジルベール様に抱き上げられて部屋まで連れていかれ、
そっとベッドに降ろされる。
ふわふわの枕に頭をのせたら、もう限界だった。
すぐさま夢の中へと落ちていく。
夢の中で、私は三歳くらいの大きさだった。
あぁ、腕輪をつけた後くらいだ。
大きな腕輪を落とさないようにおさえながら歩く癖があった。
にゃあとどこからか声がして、見たら小さな黒猫がいた。
窓も閉めたままなのに、どこから入り込んだんだろう。
抱き上げると、手をざりざりとなめてくる。
ちょっと痛いけど、毛がふわふわして気持ちいい。
部屋の中で飼えるだろうか。
私は屋敷の外に出たらいけないというのなら、
猫を飼うくらい許してくれるかもしれない。
そのまま猫を抱き上げてお義母様の部屋まで行く。
お義母様は部屋に来たのが私だとわかると、
めんどくさそうにドアを開けた。
「いったい何の用なの?」
「あ、あの。この猫を飼ってもいいですか?」
不機嫌そうなお義母様におそるおそるお願いする。
機嫌がいい時に来ればよかった。
「は?なに、この猫。黒猫じゃない!
あなた魔女にでもなるつもりなの!?」
「ち、違います」
「早く外に出して!
あぁ、屋敷から出ていくところなんて見られたら大変。
今すぐ殺してしまわないと!」
「え?……殺す?」
この小さな猫を殺す?黒色だから、殺さなきゃいけないの?
「誰か!早く来て!」
お義母様は自分で殺すつもりはないようで、
家令や侍女を探しに行った。
それを見て、急いで黒猫を窓から逃がした。
「ここから逃げて!早く!
もう戻って来ちゃだめ!
見つかったら殺されるわ!」
「みぃぃ!」
慌てて窓から外に出したからか、
猫は嫌そうな声をあげて走っていく。
逃がしたことに気がついていないお義母様は、
家令を連れて戻ってきた。
「あの猫は!?」
「あ、あの、逃げちゃって」
「なんてこと!」
お義母様は私の頬を叩くと、
家令と一緒に庭の方へと向かった。
ジンジン痛む頬を押さえながら、自分の部屋に戻る。
猫が飼えなかった悲しみよりも、
ちゃんと無事に逃げられたのかどうか気になる。
どうかあの猫が無事に逃げて、
可愛がってくれる人に拾われていますように。
眠りから覚めかけて、
あれは精霊だったのかと思い出した。
きっと見つからないように逃げてって言ったから、
姿を隠してそばにいてくれたんだ。
ずっと私を守ってくれていた。
ひとりぼっちじゃなかったんだと胸が温かくなる。
そして目が覚めたら、ジルベール様の腕の中にいた。
「……ジルベール様?」
「うなされていた。大丈夫か?」
「はい。昔の悲しい出来事を夢で見ていました。
でも、もう大丈夫です」
「そうか……もうすぐマリーナが戻ってくる。
それまではこうしていよう」
「はい」
ジルベール様に髪や背中をなでられ、またうとうとと眠くなる。
毎日こうして抱きしめられて寝ているのに、
その度にこの腕の中はどうしてこんなにも温かいのかと思う。
1,071
お気に入りに追加
1,285
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
妹に傷物と言いふらされ、父に勘当された伯爵令嬢は男子寮の寮母となる~そしたら上位貴族のイケメンに囲まれた!?~
サイコちゃん
恋愛
伯爵令嬢ヴィオレットは魔女の剣によって下腹部に傷を受けた。すると妹ルージュが“姉は子供を産めない体になった”と嘘を言いふらす。その所為でヴィオレットは婚約者から婚約破棄され、父からは娼館行きを言い渡される。あまりの仕打ちに父と妹の秘密を暴露すると、彼女は勘当されてしまう。そしてヴィオレットは母から託された古い屋敷へ行くのだが、そこで出会った美貌の双子からここを男子寮とするように頼まれる。寮母となったヴィオレットが上位貴族の令息達と暮らしていると、ルージュが現れてこう言った。「私のために家柄の良い美青年を集めて下さいましたのね、お姉様?」しかし令息達が性悪妹を歓迎するはずがなかった――
【完結】今世も裏切られるのはごめんなので、最愛のあなたはもう要らない
曽根原ツタ
恋愛
隣国との戦時中に国王が病死し、王位継承権を持つ男子がひとりもいなかったため、若い王女エトワールは女王となった。だが──
「俺は彼女を愛している。彼女は俺の子を身篭った」
戦場から帰還した愛する夫の隣には、別の女性が立っていた。さらに彼は、王座を奪うために女王暗殺を企てる。
そして。夫に剣で胸を貫かれて死んだエトワールが次に目が覚めたとき、彼と出会った日に戻っていて……?
──二度目の人生、私を裏切ったあなたを絶対に愛しません。
★小説家になろうさまでも公開中
成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
お飾り王妃の死後~王の後悔~
ましゅぺちーの
恋愛
ウィルベルト王国の王レオンと王妃フランチェスカは白い結婚である。
王が愛するのは愛妾であるフレイアただ一人。
ウィルベルト王国では周知の事実だった。
しかしある日王妃フランチェスカが自ら命を絶ってしまう。
最後に王宛てに残された手紙を読み王は後悔に苛まれる。
小説家になろう様にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる