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3.この姿は?
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「じゃあ、解呪するぞ」
「み?(え?)」
「解術と言ってもいいんだが、
こんな風に人を他の生き物に変えてしまう魔術は知らない。
悪意がありそうだし、魔術とは違うものを感じるんだ。
だから、解呪と言ったんだ」
「みぃぃ……(悪意……)」
私を殺そうとしていたんだから、間違いなく悪意だよね。
あれ?だけど、ドリアーヌは火属性の魔術しか使えないって……。
黒猫に変える魔術なんて使えるんだろうか?
「すぐ終わるから、そこを動くなよ」
見たことのない模様が空中に浮かんでいる。
くるりと回ったその模様に包まれた後、身体が伸びていくのを感じる。
見上げるほど大きかったジルベール様が、
少しずつ縮んでいくように見える。
実際には、大きくなっているのは私だろうけど。
私の身体の大きさが、ジルベール様の半分近くになって、
ぴたりと動きが止まる。あれ?
「解呪できなかったのか……」
「きゃあ!?」
人に戻って大きくなったのはいいけれど、裸だった。
服はドリアーヌの火球で燃やされてしまっていたのを忘れていた。
「……? ああ、もしかして、恥ずかしいのか?」
「あ、あたりまえでしゅ!」
「ぷっ」
噛んだ!しかも笑われた!
「お前、自分の身体を見てみろ」
「え?」
浴室にある鏡を示され見てみると、
そこには三歳ほどの大きさの裸の女の子が立っていた。
え?小さい……それに、これって。
「猫耳!?」
「尻尾も残ったようだぞ」
「尻尾!?」
あわてておしりを見ようとしたら、勢い良すぎてくるりと前に倒れてしまう。
浴室の床に顔をぶつけてしまう前、ジルベール様が抱き上げてくれた。
「え?え?」
「猫耳と尻尾のせいでうまく動けないんだろう」
「わ、私、このままなんですか?」
「完全に解呪する方法を見つけない限りはそうだろうな」
「そんなぁ」
小さくなって、猫耳と尻尾がついている。
死ななくて良かったとは思ったけれど、どうなるの?これ。
呆然としていたら、ジルベール様がシャツを脱いでいる。
「え?」
「ほら、風呂に入るぞ」
「うそ!?」
「お前が暴れるから俺までずぶぬれになってしまっただろう」
それは!急になでまわされて洗われたから!
慌てているうちに、ジルベール様は裸になっている!
嘘でしょう!?
見ないように後ろを向いて逃げようとしたら、
ひょいとそのまま抱き上げられる。
「一人で動けないんだから、あきらめろ。
ほら、風呂に入るぞ」
「いやぁ!?」
抱きかかえられたまま、二人で湯船につかる。
洗われているうちに身体が冷えていたようで、
お湯の熱さに身体がぶるりと震える。
「くくっ。耳も動くのか」
わかった。この人は猫になった私を面白がってるんだ。
だけど、裸のまま抱きしめられてお風呂にって!?
「は、離れてください。一人で入れます!」
「こんな小さいのに一人で入れると思うのか。
溺れるに決まってるだろう。
さっき転びそうになったの忘れたのか?」
「え……」
「気にするな。ほら、肩まで入れ」
「ううう……」
小さくなった私の裸を見ても何も思わないのは当然だったとしても、
私がジルベール様の裸を見てしまうのは問題です!
さっき、ちょっとだけ見てしまったけれど、もう絶対に振り返らない。
どうしよう……本当は十八歳ですって言ったら、怒られる?
頭がグルグルしている間に、時間は過ぎた。
「もういいか。上がるぞ」
「え」
当然のように、抱きかかえられたまま風呂から上がる。
大きなバスタオルを頭から被され、身体を拭かれる。
「じ、自分でできます!」
「できないことは言うな。おとなしくしておけ。
身体が冷えたら、もう一度入らせるぞ」
「う……」
それはもう嫌だと黙る。
せめてジルベール様の裸は見ないように目を閉じてたら、
ジルベール様は夜着に着替えたようだ。
私はジルベール様のものらしきシャツに着替えさせられる。
さすがに子ども用の服は置いてないのだろう。
シャツを一枚羽織っただけなので、下着はなく、おしりが落ち着かない。
着替えた後はまた抱き上げられて運ばれ、
ソファに座らされたら、ジルベール様は部屋の外に声をかける。
「マリーナ」
「はい。失礼いたします」
マリーナと呼ばれた侍女は、私を見て驚いたようだが、
にっこり笑って挨拶してくれる。
茶髪のマリーナは、ジルベール様よりも少し薄い緑目。
さっきはしっかりした人に見えたけれど、笑うと可愛らしくなる。
私よりも年上の人だと思うけれど。
「マリーナと申します。この屋敷で侍女をしております。
何か御用があればいつでも申しつけください」
「あ、はい」
猫耳の幼女が主人の部屋にいても動じないらしい。
まだ若い侍女なのに、すごい。
「マリーナ、こいつの服を手配してくれ」
「かしこまりました。寸法を測ってもよろしいですか?」
「はい」
「失礼しますね」
マリーナさんは私の寸法を手早く測ると、ペコリと礼をして出ていく。
少しして、冷たいレモン水を持ってきてくれた。
「ありがとう……」
お礼を言ったら、少し驚いた感じだったけれど、
その後はうれしそうに笑ってくれた。
何かあればお呼びくださいと言ってマリーナさんは出ていく。
気がついてなかったけれど、のどが渇いていたみたいで美味しい。
すごくよく気が利く侍女。
この屋敷は、というよりも、ジルベール様の身分は高いのでは……。
「それで、何があったのか説明できるか?」
「……」
どうしよう。どう説明していいかわからない。
異母妹に殺されかけたなんて言っていいんだろうか。
困っていると、ジルベール様も察してくれたようだ。
「すぐには話せないか。俺のことがわからないだろうしな。
俺はジルベール・ロジュロ。ロジュロ侯爵家の当主だ」
「侯爵家!しかも当主ですか?」
「ああ。両親が早く引退したいと言って押しつけられた。
俺も魔術院の研究があるから、当主の仕事は早く放棄したいのだが」
「魔術院!?」
二十代に見えるジルベール様が侯爵家の当主というのも驚いたけれど、
魔術院って、魔術師でもめったに入れない研究所だったはず。
「魔術院に入って、もう十五年だ。当主になったよりも先だな」
「十五年って、ジルベール様は何歳なのですか?」
「二十七だ。魔術院に入ったのは十二だった」
「……すごいのですね」
十二歳でなんて。学園も十五歳からだったはず。
私は学園すら通っていないから、詳しいことはわからないけれど。
「だから、その状態になった経緯も気になるし、
どうやったら解呪できるかも気になる」
「あぁ、なるほど」
「事情があるのはわかった。言えるようになったら言ってくれ。
好きなだけここにいていい」
「ここにいていいのですか?」
「研究対象になる礼だと思えばいい」
「あ、はい」
そういうことなら……こんな姿じゃどこにもいけないし、
猫耳に尻尾があって、三歳くらいの大きさ。
この状態じゃ別荘に戻っても、私だとわかってもらえない気がする。
それに、戻ったら今度こそドリアーヌに殺されてしまうかもしれない。
……私なんていなくなっても、誰も困らないだろう。
せめてこの姿がどうにかなるまで、ここにいさせてもらおう。
「それで、名前を何て呼べばいい?」
「名前は……シャルリーヌです」
「シャルリーヌ?」
嘘をついても仕方ないし、それほど珍しい名前でもない。
平民でもあり得る名前だし、家名を言わなければ大丈夫なはず。
私は学園にも行ってないし、お茶会にも夜会にも出たことがない。
ジルベール様が私のことを知っているわけもない。
ジルベール様は少し考えるような感じだったけれど、
ふっと笑って私の頭を撫でた。
「よし、今日からシャルと呼ぼう」
「みぃ!?」
猫耳に手がふれて、思わず鳴いてしまう。
どうやら、猫としてここに置いてもらうことになりそうだ……。
「み?(え?)」
「解術と言ってもいいんだが、
こんな風に人を他の生き物に変えてしまう魔術は知らない。
悪意がありそうだし、魔術とは違うものを感じるんだ。
だから、解呪と言ったんだ」
「みぃぃ……(悪意……)」
私を殺そうとしていたんだから、間違いなく悪意だよね。
あれ?だけど、ドリアーヌは火属性の魔術しか使えないって……。
黒猫に変える魔術なんて使えるんだろうか?
「すぐ終わるから、そこを動くなよ」
見たことのない模様が空中に浮かんでいる。
くるりと回ったその模様に包まれた後、身体が伸びていくのを感じる。
見上げるほど大きかったジルベール様が、
少しずつ縮んでいくように見える。
実際には、大きくなっているのは私だろうけど。
私の身体の大きさが、ジルベール様の半分近くになって、
ぴたりと動きが止まる。あれ?
「解呪できなかったのか……」
「きゃあ!?」
人に戻って大きくなったのはいいけれど、裸だった。
服はドリアーヌの火球で燃やされてしまっていたのを忘れていた。
「……? ああ、もしかして、恥ずかしいのか?」
「あ、あたりまえでしゅ!」
「ぷっ」
噛んだ!しかも笑われた!
「お前、自分の身体を見てみろ」
「え?」
浴室にある鏡を示され見てみると、
そこには三歳ほどの大きさの裸の女の子が立っていた。
え?小さい……それに、これって。
「猫耳!?」
「尻尾も残ったようだぞ」
「尻尾!?」
あわてておしりを見ようとしたら、勢い良すぎてくるりと前に倒れてしまう。
浴室の床に顔をぶつけてしまう前、ジルベール様が抱き上げてくれた。
「え?え?」
「猫耳と尻尾のせいでうまく動けないんだろう」
「わ、私、このままなんですか?」
「完全に解呪する方法を見つけない限りはそうだろうな」
「そんなぁ」
小さくなって、猫耳と尻尾がついている。
死ななくて良かったとは思ったけれど、どうなるの?これ。
呆然としていたら、ジルベール様がシャツを脱いでいる。
「え?」
「ほら、風呂に入るぞ」
「うそ!?」
「お前が暴れるから俺までずぶぬれになってしまっただろう」
それは!急になでまわされて洗われたから!
慌てているうちに、ジルベール様は裸になっている!
嘘でしょう!?
見ないように後ろを向いて逃げようとしたら、
ひょいとそのまま抱き上げられる。
「一人で動けないんだから、あきらめろ。
ほら、風呂に入るぞ」
「いやぁ!?」
抱きかかえられたまま、二人で湯船につかる。
洗われているうちに身体が冷えていたようで、
お湯の熱さに身体がぶるりと震える。
「くくっ。耳も動くのか」
わかった。この人は猫になった私を面白がってるんだ。
だけど、裸のまま抱きしめられてお風呂にって!?
「は、離れてください。一人で入れます!」
「こんな小さいのに一人で入れると思うのか。
溺れるに決まってるだろう。
さっき転びそうになったの忘れたのか?」
「え……」
「気にするな。ほら、肩まで入れ」
「ううう……」
小さくなった私の裸を見ても何も思わないのは当然だったとしても、
私がジルベール様の裸を見てしまうのは問題です!
さっき、ちょっとだけ見てしまったけれど、もう絶対に振り返らない。
どうしよう……本当は十八歳ですって言ったら、怒られる?
頭がグルグルしている間に、時間は過ぎた。
「もういいか。上がるぞ」
「え」
当然のように、抱きかかえられたまま風呂から上がる。
大きなバスタオルを頭から被され、身体を拭かれる。
「じ、自分でできます!」
「できないことは言うな。おとなしくしておけ。
身体が冷えたら、もう一度入らせるぞ」
「う……」
それはもう嫌だと黙る。
せめてジルベール様の裸は見ないように目を閉じてたら、
ジルベール様は夜着に着替えたようだ。
私はジルベール様のものらしきシャツに着替えさせられる。
さすがに子ども用の服は置いてないのだろう。
シャツを一枚羽織っただけなので、下着はなく、おしりが落ち着かない。
着替えた後はまた抱き上げられて運ばれ、
ソファに座らされたら、ジルベール様は部屋の外に声をかける。
「マリーナ」
「はい。失礼いたします」
マリーナと呼ばれた侍女は、私を見て驚いたようだが、
にっこり笑って挨拶してくれる。
茶髪のマリーナは、ジルベール様よりも少し薄い緑目。
さっきはしっかりした人に見えたけれど、笑うと可愛らしくなる。
私よりも年上の人だと思うけれど。
「マリーナと申します。この屋敷で侍女をしております。
何か御用があればいつでも申しつけください」
「あ、はい」
猫耳の幼女が主人の部屋にいても動じないらしい。
まだ若い侍女なのに、すごい。
「マリーナ、こいつの服を手配してくれ」
「かしこまりました。寸法を測ってもよろしいですか?」
「はい」
「失礼しますね」
マリーナさんは私の寸法を手早く測ると、ペコリと礼をして出ていく。
少しして、冷たいレモン水を持ってきてくれた。
「ありがとう……」
お礼を言ったら、少し驚いた感じだったけれど、
その後はうれしそうに笑ってくれた。
何かあればお呼びくださいと言ってマリーナさんは出ていく。
気がついてなかったけれど、のどが渇いていたみたいで美味しい。
すごくよく気が利く侍女。
この屋敷は、というよりも、ジルベール様の身分は高いのでは……。
「それで、何があったのか説明できるか?」
「……」
どうしよう。どう説明していいかわからない。
異母妹に殺されかけたなんて言っていいんだろうか。
困っていると、ジルベール様も察してくれたようだ。
「すぐには話せないか。俺のことがわからないだろうしな。
俺はジルベール・ロジュロ。ロジュロ侯爵家の当主だ」
「侯爵家!しかも当主ですか?」
「ああ。両親が早く引退したいと言って押しつけられた。
俺も魔術院の研究があるから、当主の仕事は早く放棄したいのだが」
「魔術院!?」
二十代に見えるジルベール様が侯爵家の当主というのも驚いたけれど、
魔術院って、魔術師でもめったに入れない研究所だったはず。
「魔術院に入って、もう十五年だ。当主になったよりも先だな」
「十五年って、ジルベール様は何歳なのですか?」
「二十七だ。魔術院に入ったのは十二だった」
「……すごいのですね」
十二歳でなんて。学園も十五歳からだったはず。
私は学園すら通っていないから、詳しいことはわからないけれど。
「だから、その状態になった経緯も気になるし、
どうやったら解呪できるかも気になる」
「あぁ、なるほど」
「事情があるのはわかった。言えるようになったら言ってくれ。
好きなだけここにいていい」
「ここにいていいのですか?」
「研究対象になる礼だと思えばいい」
「あ、はい」
そういうことなら……こんな姿じゃどこにもいけないし、
猫耳に尻尾があって、三歳くらいの大きさ。
この状態じゃ別荘に戻っても、私だとわかってもらえない気がする。
それに、戻ったら今度こそドリアーヌに殺されてしまうかもしれない。
……私なんていなくなっても、誰も困らないだろう。
せめてこの姿がどうにかなるまで、ここにいさせてもらおう。
「それで、名前を何て呼べばいい?」
「名前は……シャルリーヌです」
「シャルリーヌ?」
嘘をついても仕方ないし、それほど珍しい名前でもない。
平民でもあり得る名前だし、家名を言わなければ大丈夫なはず。
私は学園にも行ってないし、お茶会にも夜会にも出たことがない。
ジルベール様が私のことを知っているわけもない。
ジルベール様は少し考えるような感じだったけれど、
ふっと笑って私の頭を撫でた。
「よし、今日からシャルと呼ぼう」
「みぃ!?」
猫耳に手がふれて、思わず鳴いてしまう。
どうやら、猫としてここに置いてもらうことになりそうだ……。
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