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4章 王妃と側妃
10.王女と従者
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「私はこの侍従、カインを愛しています。
ですが、伯爵家の三男のカインでは降嫁できないのです。
一緒に逃げることも考えましたが、その時に陛下との話が来て。
陛下と今の王妃の恋愛物語は有名な話です。
他に娶るのが嫌な陛下なら、
この願いを聞いてくれるのではないかと思いました。」
…えーっと。侍従が恋人で、その侍従と一緒にいたいと。
だから形だけの王妃にして、侍従を公妾にしたいってことなのかな。
そうか、この王女の目は恋に溺れている者の目だ。
それだけ周りが見えていないんだろう。
俺も王妃との結婚前はこんな感じに見えていたのかな…。
「…そうですね。話は分かりました。
それを受け入れるかどうかはこれから考えます。」
「考えてくれるだけでもうれしいです。ありがとうございます。」
ただ、この王女は、どこまで考えて言いだしたのだろうか。
何も考えていないとは思いたくないが…。
「王女が留学中には答えを出します。
その間、王女も考えてもらえませんか?」
「考える、ですか?」
「まず、初夜は誤魔化せません。今、王女は純潔ですか?それも確認されます。
初夜で間違いなく契ったということを医術士が確認します。
それをもって婚姻が認められるからです。我が国で白い結婚は認められません。
…一度でも、俺としなくてはならない。その彼は、それを我慢できますか?」
「…。」
「それに王妃として嫁いでくるわけです。不貞は許されません。
公妾を持てるのは、子どもができない場合で5年後。
俺と閨を共にしていない場合でも3年待たなければいけません。
その3年間は、彼をそばに置いておくことは出来ません。
何かあれば、彼を処刑しなければいけなくなります。
…そういうことを、わかって願い出ましたか?」
わかって、なかったな。王女の顔色が悪いだけでなく、侍従の顔色も悪い。
何かを我慢するように手を握りしめているが、それはそうだろう。
目の前の男に好きな女を差し出さなければいけない。
そう言われて我慢できる男はいない。
「返事は留学が終わる前に聞きます。
ですが、この国にいる間に逃げ出すようなことは止めてくださいね。
外交問題になりますし、下手したら戦争の原因になります。
くれぐれも、馬鹿な真似だけはしないでください。
俺は王女が嫌なら、妃にすると言う申し出は断りますから。」
「…わかりました。」
「ああ。それと、この国にいる間はずっと監視されていると思ってください。
そちらの彼との行動も筒抜けですので、気を付けてくださいね。」
「…はい。」
大丈夫かな、この王女と侍従。
留学期間はまだ決めていないけど、早めに帰ってもらおうかな。
王妃としての仕事だけしてもらえるならありがたいけど、
これ以上ややこしい問題は起こさないでほしい。
公爵家との話し合いの前に、重い課題を持ち込まれてしまった。
ですが、伯爵家の三男のカインでは降嫁できないのです。
一緒に逃げることも考えましたが、その時に陛下との話が来て。
陛下と今の王妃の恋愛物語は有名な話です。
他に娶るのが嫌な陛下なら、
この願いを聞いてくれるのではないかと思いました。」
…えーっと。侍従が恋人で、その侍従と一緒にいたいと。
だから形だけの王妃にして、侍従を公妾にしたいってことなのかな。
そうか、この王女の目は恋に溺れている者の目だ。
それだけ周りが見えていないんだろう。
俺も王妃との結婚前はこんな感じに見えていたのかな…。
「…そうですね。話は分かりました。
それを受け入れるかどうかはこれから考えます。」
「考えてくれるだけでもうれしいです。ありがとうございます。」
ただ、この王女は、どこまで考えて言いだしたのだろうか。
何も考えていないとは思いたくないが…。
「王女が留学中には答えを出します。
その間、王女も考えてもらえませんか?」
「考える、ですか?」
「まず、初夜は誤魔化せません。今、王女は純潔ですか?それも確認されます。
初夜で間違いなく契ったということを医術士が確認します。
それをもって婚姻が認められるからです。我が国で白い結婚は認められません。
…一度でも、俺としなくてはならない。その彼は、それを我慢できますか?」
「…。」
「それに王妃として嫁いでくるわけです。不貞は許されません。
公妾を持てるのは、子どもができない場合で5年後。
俺と閨を共にしていない場合でも3年待たなければいけません。
その3年間は、彼をそばに置いておくことは出来ません。
何かあれば、彼を処刑しなければいけなくなります。
…そういうことを、わかって願い出ましたか?」
わかって、なかったな。王女の顔色が悪いだけでなく、侍従の顔色も悪い。
何かを我慢するように手を握りしめているが、それはそうだろう。
目の前の男に好きな女を差し出さなければいけない。
そう言われて我慢できる男はいない。
「返事は留学が終わる前に聞きます。
ですが、この国にいる間に逃げ出すようなことは止めてくださいね。
外交問題になりますし、下手したら戦争の原因になります。
くれぐれも、馬鹿な真似だけはしないでください。
俺は王女が嫌なら、妃にすると言う申し出は断りますから。」
「…わかりました。」
「ああ。それと、この国にいる間はずっと監視されていると思ってください。
そちらの彼との行動も筒抜けですので、気を付けてくださいね。」
「…はい。」
大丈夫かな、この王女と侍従。
留学期間はまだ決めていないけど、早めに帰ってもらおうかな。
王妃としての仕事だけしてもらえるならありがたいけど、
これ以上ややこしい問題は起こさないでほしい。
公爵家との話し合いの前に、重い課題を持ち込まれてしまった。
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