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3章 将軍っていらないよね
15.王妃でいる理由
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ここまで言われてもどうして?って顔してるけど、
やっぱりこの人を王妃にしちゃダメだったんだろうな。
義姉さん、ジョセフィーヌ王女は、隣国リハエレール国の第二王女だった。
リハエレール国はもとはレフィーロ国の辺境伯領地だった。
レフィーロ国に反発して何代も前に独立した小国だ。
だが、もともと大きくない辺境地で王が貴族を増やした結果、
王族が貴族たちを管理できなくなった。
貴族たちが私腹を肥やした結果、民が流出していくようになったのだ。
そこで、レフィーロ国に戻りたいと、前国王から申し出があった。
リハエレール国を無くしレフィーロ国に吸収合併するために、
第二王女が兄貴に輿入れする形になった。
当初の予定では側妃として受け入れるはずであった。
第二王女は愛妾の娘だからか王族教育を受けていない上に、
気弱で人の上に立てるような令嬢ではなかった。
だが、一目でジョセフィーヌ王女を気に入ってしまった兄貴が、
反対する議会の声も聞かずに王妃にしてしまった。
俺としても王妃以外娶りたくないという気持ちがわかるがゆえに、
当時は反対しなかったのだが…。
こうなると、議会の声が正しかったと認めるしかなかった。
「子どもを産むのは、王妃じゃなくてもいい。側妃でも公妾だってかまわない。
つまり、王妃の仕事をやらずに人任せにして、
子どもを産むことしかしていない義姉さんは、近いうちに側妃に変えられる。
そして、兄貴は新しい王妃を娶ることになるだろう。」
「そんな!嫌よ!」
「嫌って言っても、だって王妃の仕事しないじゃないか。」
「だから、王妃の仕事はリリーアンヌ様が代理でしてくれれば…。」
まだわかってないのか。
「あのな、今陛下が仕事している状況で、リリーを王妃代理にしてみろ。
リリーを俺と別れさせて陛下の王妃にって期待されることになるぞ。」
「え?どうして?」
「王妃の仕事をしているのがリリーなら、
リリーが王妃で良いじゃないかって思うだろう。
国民も王宮のものも、みんなそう思ってるんだからな。」
「…そんな。」
「義姉さんがそうやって他の者に任せようとするから、
議会だって遠慮せずに王妃を探してくるだろう。
だって、子どもを産むのは他の妃でもいいけど、
王妃は変わりがいないのが普通だからな。
王妃自ら、自分じゃなくてもいいだなんて、
そんなことを言う王妃はこの国ではいらないんだよ。」
「…そんな。リーンハルト、そんなことないわよね?」
すがるように兄貴に問いかけるけど、兄貴は目をそらしたままだ。
その姿に、俺の話が本当だと気が付いたんだろう。
今度は俺のほうにすがるように見てくる。
「お願い!助けて!レオルド様なら議会を黙らせられるでしょう?
嫌よ、私以外の妃なんて。」
「無理だよ。俺はもう王弟じゃない。貴族の中の一人だ。
議会の決定に反対するような力は無いし、反対する理由もない。」
「どうして?どうして反対してくれないの?」
「じゃあ、どうして、仕事もしないで泣き暮らしている王妃が、
他の者たちに認められると思ってるんだ?
それなら側妃になって、ずっと後宮にいればいいって思うだろう?
義姉さんが王妃の仕事をしないことで、
国中の孤児院や救済院や修道院が困ってるんだぞ。
それを考えたことも無いだろう?最初から王妃に向いてなかったんだよ。
もうあきらめて、側妃になって静かに暮らしなよ。」
「…そんな!嫌よ!」
「じゃあ、今から毎日王妃として仕事できるのか?」
「…。」
「あれも嫌これも嫌じゃ、王妃は務まらないんだよ。」
やっぱりこの人を王妃にしちゃダメだったんだろうな。
義姉さん、ジョセフィーヌ王女は、隣国リハエレール国の第二王女だった。
リハエレール国はもとはレフィーロ国の辺境伯領地だった。
レフィーロ国に反発して何代も前に独立した小国だ。
だが、もともと大きくない辺境地で王が貴族を増やした結果、
王族が貴族たちを管理できなくなった。
貴族たちが私腹を肥やした結果、民が流出していくようになったのだ。
そこで、レフィーロ国に戻りたいと、前国王から申し出があった。
リハエレール国を無くしレフィーロ国に吸収合併するために、
第二王女が兄貴に輿入れする形になった。
当初の予定では側妃として受け入れるはずであった。
第二王女は愛妾の娘だからか王族教育を受けていない上に、
気弱で人の上に立てるような令嬢ではなかった。
だが、一目でジョセフィーヌ王女を気に入ってしまった兄貴が、
反対する議会の声も聞かずに王妃にしてしまった。
俺としても王妃以外娶りたくないという気持ちがわかるがゆえに、
当時は反対しなかったのだが…。
こうなると、議会の声が正しかったと認めるしかなかった。
「子どもを産むのは、王妃じゃなくてもいい。側妃でも公妾だってかまわない。
つまり、王妃の仕事をやらずに人任せにして、
子どもを産むことしかしていない義姉さんは、近いうちに側妃に変えられる。
そして、兄貴は新しい王妃を娶ることになるだろう。」
「そんな!嫌よ!」
「嫌って言っても、だって王妃の仕事しないじゃないか。」
「だから、王妃の仕事はリリーアンヌ様が代理でしてくれれば…。」
まだわかってないのか。
「あのな、今陛下が仕事している状況で、リリーを王妃代理にしてみろ。
リリーを俺と別れさせて陛下の王妃にって期待されることになるぞ。」
「え?どうして?」
「王妃の仕事をしているのがリリーなら、
リリーが王妃で良いじゃないかって思うだろう。
国民も王宮のものも、みんなそう思ってるんだからな。」
「…そんな。」
「義姉さんがそうやって他の者に任せようとするから、
議会だって遠慮せずに王妃を探してくるだろう。
だって、子どもを産むのは他の妃でもいいけど、
王妃は変わりがいないのが普通だからな。
王妃自ら、自分じゃなくてもいいだなんて、
そんなことを言う王妃はこの国ではいらないんだよ。」
「…そんな。リーンハルト、そんなことないわよね?」
すがるように兄貴に問いかけるけど、兄貴は目をそらしたままだ。
その姿に、俺の話が本当だと気が付いたんだろう。
今度は俺のほうにすがるように見てくる。
「お願い!助けて!レオルド様なら議会を黙らせられるでしょう?
嫌よ、私以外の妃なんて。」
「無理だよ。俺はもう王弟じゃない。貴族の中の一人だ。
議会の決定に反対するような力は無いし、反対する理由もない。」
「どうして?どうして反対してくれないの?」
「じゃあ、どうして、仕事もしないで泣き暮らしている王妃が、
他の者たちに認められると思ってるんだ?
それなら側妃になって、ずっと後宮にいればいいって思うだろう?
義姉さんが王妃の仕事をしないことで、
国中の孤児院や救済院や修道院が困ってるんだぞ。
それを考えたことも無いだろう?最初から王妃に向いてなかったんだよ。
もうあきらめて、側妃になって静かに暮らしなよ。」
「…そんな!嫌よ!」
「じゃあ、今から毎日王妃として仕事できるのか?」
「…。」
「あれも嫌これも嫌じゃ、王妃は務まらないんだよ。」
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