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3章 将軍っていらないよね

1.出かける

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「起きた?」

眠そうな顔でリリーが掛け布から顔を出す。
柔らかい髪が頬にかかってるのを直すとくすぐったそうにする。
まだ起きないだろうと思っていたけど、ちょうど良かった。

「ちょっと王宮行って、軍に顔出してくる。リリーは寝てて?」

「軍?辺境からの軍の派遣要請が王宮に届かなかった理由わかったの?」

「うん、多分だけど。だから、ちょっと掃除してくる。」

「…一緒に行っちゃダメ?」

リリーからのおねだりに一瞬考えたけど、無理だなと思う。

「王宮に顔出すから、リリーは女官に泣きつかれるよ?
 俺と違って、女官たちに冷たい対応できないよね?
 …兄貴はなんとか国王の仕事してるけど、王妃のほうはダメらしい。
 どうやら身ごもっているらしくて、つわりで寝てるとか…。
 そんな時にリリーが王宮に行ったら、絶対につかまるでしょ?
 だから、今日はここで留守番してて。」

「…わかった。早く帰って来てね?」

さすがに女官たちに泣きつかれるのは嫌なんだろう。
渋々といった感じで、留守番を了承した。

それにしても、王妃が2人目を妊娠か。
これで生まれたのが王子なら、側妃をとらなくて済むかもしれないな。
おそらくそれもあって、後宮に隠れていたんだろう。
側妃を娶りたくない気持ちはよくわかるけど…貴族たちはうるさいだろうな。
せめて、軍のほうは俺が黙らせてくるか…。

また寝ようとしているリリーの頭を撫でて、額にキスをする。
本当は俺もまだ一緒に寝ていたい気持ちはあるけど…。
早めに解決しないとまずい気がするんだよね。

「じゃあ、いってくるね。」



階段を降りるとシオンが待っていた。

「これ、王宮からの報告が届いている。」

報告書を読むと、だいたい俺の予想通りの結果だったようだ。

「うん、俺の予想が当たったよ。ちょっと軍を何とかしてくる。
 リリーはまだ起きないと思うけど、おとなしく留守番させておいて?」

「ああ、わかった。
 どうせ魔女にお礼するとか言うだろうから、お菓子作りさせておくよ。」

「よろしくな。」


兄貴のいる場所へと転移すると、王宮の執務室に出た。
急に現れた俺に兄貴が驚いて、椅子から落ちそうになる。

「ああ、驚かせた?悪い。」

「レオ!帰って来てくれたのか!」

「いや、帰ってこないよ。」

「そんな~。」

いや、そんな情けない顔されても困るんだよね。
一応仕事はしているって聞いたから大丈夫だろうと思ったのに、
俺に頼るその姿勢は変わらないんだな…。
執務室に文官たちがいなかったのは良かった。
俺がいることを気が付かれる前に、さっさと用件を済ませたい。

「ちょっとほしいものがあって来たんだ。
 俺に将軍の地位をくれないか?」

「は?」

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