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2章 旅の始まり

17.落ち着ける場所

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「で、この後は国に戻って後処理の続きか?」

「うん、せっかくだから、その周りの貴族たちも一斉に処罰しようと思って。
 貴族が力を持ち過ぎたんだよ。
 おかげで、平民たちが暮らしにくくなっている。
 王家の力を強くしたいわけじゃないけど、
 平民を虐げる貴族をすぐに処罰できるくらいには、
 僕は力を持っていたいんだ。」

「ジョエルらしいわ。
 そうね、持ち過ぎた力は制御するのが難しいけれど、
 ジョエルなら大丈夫だわ。」

「そうだな。俺たちは権力から逃げてしまったけど、
 そういう使い方なら悪くないと思うよ。」

「二人はもう王宮には戻らないの?」

「俺たちは居ない方が、この国が正常になると思う。
 それに、俺たちは王族じゃなくても魔術師として力を持ってる。
 何かあれば魔術師として動くよ。」


「ああ、そうだな。今回みたいに、でしょ。」

「そうよ。だから、もし何かあれば相談してね。
 友達なんだから。」

「ありがとう!…頑張ってみるよ。
 そうだな、逃げていた婚約者選び、
 さすがにこれで逃げられなくなりそうなんだ。
 4人に紹介できるような令嬢を探してみるよ。」

「楽しみにしてるわ。」

「まぁ、リリーみたいなのはいないだろうけど。」

「姫さまみたいな令嬢はいませんよ。」「いないな。」

「俺のリリーは特別だからな。」

レオ、そこでそんな風にいうのは反則です。
もう何も言えなくなってしまって、目の前のパイを頬張る。
たぶん、顔が赤くなっちゃってるけど、気にしないんだから!


お腹いっぱいパイを食べたジョエルは満足そうに帰って行った。
私たちも、魔女の森に戻らないと。
軽く片付けて、マジックハウスをしまう。
どうやら魔女の馬車はマジックハウスをしまうと、一緒にしまえるようだ。

「じゃあ、転移して帰ろう?」

「うん。」

レオと手をつないで魔女の森へと転移する。
後からシーナとシオンも転移して来てる。

数日ぶりなのに、なんだか久しぶりに戻ってきた気がする。
また同じ場所にマジックハウスを設置すると、ようやく落ち着いた気持ちになる。

「なんだか、疲れちゃったね。」

「大量にパイを食べたから夕ご飯はいらないよね。
 じゃあ、もう寝ようか。」

そう言いながら、ひょいと抱き上げられる。
え?と思ってるうちに、レオの部屋に連れていかれた。
…説教の続き?とか思っちゃダメだった。

ジョエルの正妃にって話、かなり気にしていたんだ。
思ってた以上にレオの気持ちがゆらいでいたみたい。
きつく抱きしめられて、背中のボタンをはずされていく。
ここにいるよ、私はレオのものだよって、何度も言いながら。
お互いを確かめ合って、深く眠った。
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