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26.回想 3日目

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「大丈夫?」

勝負の10日間が始まって3日目。
私だけがぐったりしていた。どうしてこうなったんだろう。
レオが心配してそばに来るけど、何もできない。
ソファに座って、そこからもう少しも動けなくなっていた。

「うん、多分、平気。
 でも、あともうちょっと休ませて?」

魔女の力を受け止める、修行はそれだけだった。
魅了の力を封じるには、まず自分が魔女並みに強くなるしかない、そう言われた。
とにかく魔女の魔力を自分の身体で受け止める修行だった。

「器は十分なのよ。私より大きいくらいだわ。
 だけど、魔力を作り出す強さがないのね。
 器の半分も魔力が入ってなかったわ。」

「魔力を作り出す強さ?」

「そう。欲望、渇望、何かを求める強さ。
 魔女はたいてい何かを失い、その代わりを強く求めることで生まれる。
 あなたは何かを求めることをあきらめているのね。
 だけど、今はそんなこと言ってられないから、とにかく力を受け止めて!」

魔力が身体の中で暴れる。その力を自分の中で制御しようとして、
代わりに体力を根こそぎ持って行かれる。
あぁもう。どうしたらいいんだろう。


「リリー、ご飯、食べよう?スープだけでも。」

レオがスープをスプーンですくって差し出してくれる。
ぐったりしすぎて、嫌がることもできない。
仕方なく口を大きめに開ける。
こぼさないように、ゆっくりとスプーンを差し込んでスープを口に入れてくれた。
もぐもぐもぐ。疲れすぎて味もよくわからない。

「か、かわいい…。」

レオが何か言ってるけど、絶対に聞かない。
こっちはもうそれどころじゃない…。


「じゃあ、姫様が食べてるうちに報告しますよ~。
 たぶん、食べ終わったらすぐ寝ちゃうと思うので~。
 学園ですけど、もうメチャクチャです。
 ほとんどの高位貴族の令息が魅了の力に負けました。
 その婚約者の令嬢たちが結束して、
 あの令嬢の排除に乗り出そうとしています。
 今日は大丈夫でしたけど、明日あたり、
 令嬢側から婚約破棄を申し出ることもあり得ますね。」

「そうなるだろうな。我が国と同じ流れだ。
 ただ、この国は国王じゃなく女王だ。
 王子が魅了されても殺し合いにならないあたり、まだ良かったというか。」

「その女王に話がいかなければいいけどな。ただでさえ体調があれなのに。」

「そうだな…。今、国王が交代になったらまずいな。
 第一王子は議会が止めても無視して、伯爵令嬢を正妃にするかもしれない。
 あと一週間、何とかなると良いんだが。」

残り一週間。
たった3日でこの混乱状態になったことを考えると、
令嬢の魅了を封じたとしても、しばらくは混乱が続きそうだと思った。
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