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20.ただ、ただ

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目が覚めたら、抱きしめられているままだった。
こんな気だるさの中でレオを感じて起きるのは、いつぶりだろう。
息がかかったら、くすぐったいかな、なんて思うほど近くにレオの素肌がある。
どうしよう、レオを起こしたくない。
でも、顔が見たい。
どうにか身をよじって、顔を出す。
そこには笑いをこらえたレオの顔があった。

「やだ。起きてたのなら、腕をゆるめてよ。」

「だめ。俺の腕の中に、ずっと閉じ込めておきたい。
 逃げていいって言ったけど、捕まえるって言ったよ?」

「もう…ごめんってば。
 逃げないよ、もう。
 だから、意地悪しないで?」

昨日のレオは泣きながら私を抱いた。
そんなことは今まで無かった。それだけレオを傷つけたのだと思った。
私が寂しかった以上に、レオが寂しかったのかもしれない。
そんなのは思い上がりかもしれないけど、そうとしか思えなかった。

「意地悪じゃないよ。
 抱きしめていちゃだめ?リリー。
 俺の腕の中に、いてほしいだけなんだ。」

そんな風に言われたら、もうダメだ。
こんなに好きな人に、そんな風に言われて、逆らえる人なんているんだろうか?

「わかった。
 このままでいいよ。
 でも、私もレオの顔が見たいから、すこしだけ緩めて?ね?」

腕は緩めてくれたけど、そのままキスされて、
ちっとも顔が見れなくなった。

でも、何も抵抗する気なんてない。
息苦しくても、快感が過ぎても、抱きしめる腕の力が強すぎても。
レオが隣にいてくれる。それ以上に理由は無かった。
良かった。良かった。ただ、そうとしか思えなかった。
あまりの安心感で、昨日の夜にいつ気を失ったのかもわからない。


起きたら、レオがいた。
レオがいた。
それが、ただ、うれしかった。



お昼もとっくに過ぎて、空腹が我慢できなくなって起きたら、
シオンとシーナがご飯を準備して待っていてくれた。

「ようやく起きたか~。」
「遅いです~姫様。お腹すきましたよ~。」

どうやら二人ともお昼ご飯を食べずに、私たちを待っていてくれたらしい。

「ごめんごめん。じゃあ、食べながら話そうか。」

レオがそう言って、みんなで席に着いた。
話したいことは多いけど、この空腹には勝てず、
用意してもらったご飯を食べることにした。

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