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ジョージアという魔術師

23.レイナ

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「マリー、準備できてる?」

陛下とのお茶が終わったのだろう。ジョージア様が迎えに来た。
レイフィア様の診察は週一から週二に増やされていた。
すこしだけ魔力の乱れが見つかったからだ。
急激に減るようなことがあれば治療しなければいけない。
この分だと、診察が週三になるかもしれなかった。


準備できていますと返事をするよりも前に、レイナが先に動いた。

「あの!ジョージア様ですよね!
 私、今日から王宮医術士になったレイナと言います。」

「ああ、二人入ったんだな。もう一人は?」

「マリリアと申します。」

「わかった。二人ともよろしく。
 マリー、行ける?」

「はい。」

「え?ジョージア様とマリーさん、どこに行くんですか?」

「ん?仕事だけど?」

「私もついて行っていいですか?」

「なんで?」

「え?」

「仕事だって言ってんのに、何でついてくるんだ?」

レイナの積極的な誘いだったが、ジョージア様は冷たくあしらった。
学園時代、ものすごい数の令嬢、たくさんの美女を断って来たジョージア様だ。
断るのには慣れているのだろう。

一方のレイナは断られるとは思っていなかったようだ。
目に涙を浮かべたと思ったら、なぜか私がにらまれた。
そんなにらまれても、仕事だって言っているのに…大丈夫なんだろうか、この子。
あまりの幼稚さに驚いてしまう。

「…助手として!」

「いらないよ?」

「じゃあ、見学させてください。勉強になると思うので。」

「悪いけど、新人が行けるような場所じゃないし、連れて行く気ないよ。
 医術士局での仕事もあるし、そっちをやっていてよ。
 …マリー、行くよ?」

最後にはもう会話を無理やり切るような形で言い切ったジョージア様に、
さすがにレイナもそれ以上はお願いできないようだった。
何事も無かったように私に話しかけてくるジョージア様に、ため息をつきそうになる。
こんな感じでずっと追いかけられていたら、女性嫌いになっても仕方ないかも。
同情する気持ちと、それに私が巻き込まれてしまったことへの憂鬱さで、
早くここから出ていきたかった。


「じゃあ、行ってきます。マリリア、レイナ、処方があると思うから頑張って。
 私は帰ってこないから、他の医術士の指示に従ってね。」


まだにらんでいるレイナと置いて行かれる犬のような目をしているマリリア。
二人とも大丈夫なのか心配になってしまう。


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