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7章 運命の日

18.学園長室

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「まず、結果から話そうか。
 四人とも合格だ。
 文句のつけようがないくらい素晴らしい魔術だった。
 これほど質のいい魔術書がそろったのは久しぶりに見たよ。」

合格だという言葉に、誰かがほっと息を吐くのが聞こえた。
これで問題なく卒業できる。その安心感でいっぱいになる。

「面白かったのは、全員の魔術書が同じ場所に飛んで行った。
 まずはこの学園の図書室。魔術師協会の図書室。
 まぁ、ここまでは当然だけど、そしてエミリア。
 君の家の、エンドソン家の図書室。
 ここもまぁエミリアがいるからね。納得できる。」

この三か所の図書室は私たちが予想した通りだった。
では、残りの二か所は?

「イストーニア国の魔術師協会の図書室。
 これは去年の卒業生ジングラッドのおかげかな。」

あぁ、ジングラッド先輩のいる場所に飛んで行ったのならわかる。
イストーニアにはアヤヒメ先輩もいるだろうし、
私たちが作り出した魔術書を読んでもらえたらうれしい。

…残りの一か所は。
どこだろうと思って考えていると、学園長はニヤッと笑った。
初めて学園長の顔に感情が見えて、そのことに驚いてしまう。

「ふふ。よくやったよ。四人とも。
 もう一か所はジンガ国の図書の森だ。」

「ええ!?」「うそっ!」

ファルカとルリナが驚いて声を上げたが、私とレイニードはきょとんとしてしまう。
ジンガ国の図書の森…?図書室じゃなくて、森?

「あぁ、そうか。
 エミリアとレイニードはあまり魔術師について詳しくないんだったな。
 ジンガ国の図書の森は、六か国すべての魔術師のあこがれの図書室だ。
 最古の魔術書からおいてあると言われているが、
 その中には選ばれたものしか入ることはできない。
 その選ばれる基準が、自分で作った魔術書を収めることなんだ。
 ただし、今までにない魔術書で、上級書に限られているし、
 図書の森が呼ばなければ収めることはできない。
 このサウンザード国でも数人のものしか収めていない。」

図書の森に呼ばれなければ、魔術書をおさめることができない。
サウンザード国でも数人しか収めていない。

「…それって、ものすごく名誉なことです、よね?」

「そのとおりだ。よくやった!」

「あ、ありがとうございます。」

図書の森のことは知らなかったけれど、それほどすごい図書室ならば行ってみたい。
収めてあるのが上級魔術書のみということは、中に入っても読めるとは限らないけれど…。
最古の魔術書か…どんな魔術なんだろう。


「四人にはそのうち図書の森から入館証が送られてくるだろう。
 ジンガ国は少し遠いが、いつか行ってみるといい。
 図書の森は…何年通っても読み切れる場所ではないが、
 魔術師として入館証があるのなら一度は行ってみるべきだと思う。」

その口ぶりだと、学園長も図書の森に魔術書を収めているのだろう。
何年通っても読み切れないほどの魔術書…聞いただけでわくわくする。

ルリナもファルカも目を輝かせて話を聞いている。
レイニードはと思って顔を向けると、何か考え込んでいるように見える。
私がレイニードを見ているのにも気が付いていないようだ。

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