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7章 運命の日
15.卒業課題
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もうすぐ魔術師科の五年間も終わり、卒業を迎える時期になる。
その前に卒業するための課題を仕上げて提出しなければいけない。
私、ルリナ、レイニード、ファルカの順で、魔術書の作成が終わり、
今日はその提出した結果を聞きに学園長室に行くことになっていた。
迎えが来るまでは地下の休憩場で待機するようにとのことだったので、
四人でお茶を飲みながらプロイム先生が来るのを待っていた。
「結局、俺が一番最後かよ~。」
「ファルカが遅かったのは、難しいことに挑戦していたせいね。
よく完成が間に合ったと思うわよ?」
出来上がりが一番遅かったファルカが悔しそうに言うが、
ファルカの作った魔術は大地を蘇らせるというもので、とても高度な技術だった。
どうやら薬草を作り続けていると畑の栄養素が偏ってしまい、
数年で違う畑を用意しなければいけなくなるらしい。
新しい畑を一から作るというのは大変な作業で、場所選びも毎回困るという。
ルリナのそんな悩みを解決するために、
ファルカは数年使用した薬草畑の栄養素を元に戻す術を開発したのだ。
これを使えばルリナは畑を変えることなく同じ場所で薬草を栽培することができる。
ルリナ自身が作り出した、同じ薬草から何度も薬効を取り出せる魔術を使えば、
さらに多くの薬を作り出すことができるようになるだろう。
ルリナの家が薬草から薬を作る仕事をしていると聞いたが、
この二つの魔術があれば助かるに違いない。
どちらかといえばルリナを守るため攻撃魔術に強いファルカが、
こうして生活魔術に近いものを作り出すとは思っていなかった。
それだけルリナとのこれからの生活を大事に思っているということなのだろう。
「…ルリナにあげるために作ったんだ。
求婚するために…。」
「え?求婚?」
「…ファルカ、まだ求婚してなかったのか?
卒業したら結婚する予定って言ってたよな?」
ファルカが真っ赤になってそう話すから驚いてしまった。
卒業後はルリナとファルカは結婚するものだとずっと思っていたのに、
この魔術は求婚するためのものだった?どういうこと?
「うちの一族は、求婚するときに相手が喜びそうな魔術を贈るんだ。
自分で作れない奴は作れる人に依頼したりするんだけど…。
俺はルリナに自分で作った術を贈りたくて…ずいぶん悩んだ。
これからルリナと一緒に生きていくうえで、
必要とするもの、役に立つものにしようって決めて。
卒業までに間に合ってよかったよ…。」
「そんな理由があったんだ。」
「そうだったんだ。それはすごく素敵ね。
ねぇ、ルリナはファルカの求婚を承諾したってことでいいのよね?」
今ここでその話をしているということは受けたのだと思うけれど、
ルリナからも聞かなければわからない。
一度もルリナのファルカへの思いを聞いたことがないこともあって、
きちんと確認したかった。
「うん。この魔術を受け取った時に求婚の返事をしたわ。
実はね…私はファルカの兄弟四人の中から選ぶように言われていたの。
だから婚約者候補が四人いるような状態で育ったのよ。」
「え?どういうこと?」
ルリナの婚約者候補が四人?それもファルカの兄弟が四人とも?
首をかしげている私とレイニードを見て、ファルカが詳しく説明してくれる。
「血の一族の中で魔力の強いものは白髪赤目で産まれてくるって話はしただろう?
特にそれが女の子だった場合、さらわれないように気を付けて育てるんだ。
産まれた家だけで守り切るのは難しいから、生家の他に守りの家を二つ決めて、
その守りの家の男子は婚約者候補とされる。
まぁ、守りの家以外と結婚しちゃダメってわけでもないけどね、
なんとなくそんな感じになってる。」
「その守りの家の一つがファルカの家だったってこと?」
その前に卒業するための課題を仕上げて提出しなければいけない。
私、ルリナ、レイニード、ファルカの順で、魔術書の作成が終わり、
今日はその提出した結果を聞きに学園長室に行くことになっていた。
迎えが来るまでは地下の休憩場で待機するようにとのことだったので、
四人でお茶を飲みながらプロイム先生が来るのを待っていた。
「結局、俺が一番最後かよ~。」
「ファルカが遅かったのは、難しいことに挑戦していたせいね。
よく完成が間に合ったと思うわよ?」
出来上がりが一番遅かったファルカが悔しそうに言うが、
ファルカの作った魔術は大地を蘇らせるというもので、とても高度な技術だった。
どうやら薬草を作り続けていると畑の栄養素が偏ってしまい、
数年で違う畑を用意しなければいけなくなるらしい。
新しい畑を一から作るというのは大変な作業で、場所選びも毎回困るという。
ルリナのそんな悩みを解決するために、
ファルカは数年使用した薬草畑の栄養素を元に戻す術を開発したのだ。
これを使えばルリナは畑を変えることなく同じ場所で薬草を栽培することができる。
ルリナ自身が作り出した、同じ薬草から何度も薬効を取り出せる魔術を使えば、
さらに多くの薬を作り出すことができるようになるだろう。
ルリナの家が薬草から薬を作る仕事をしていると聞いたが、
この二つの魔術があれば助かるに違いない。
どちらかといえばルリナを守るため攻撃魔術に強いファルカが、
こうして生活魔術に近いものを作り出すとは思っていなかった。
それだけルリナとのこれからの生活を大事に思っているということなのだろう。
「…ルリナにあげるために作ったんだ。
求婚するために…。」
「え?求婚?」
「…ファルカ、まだ求婚してなかったのか?
卒業したら結婚する予定って言ってたよな?」
ファルカが真っ赤になってそう話すから驚いてしまった。
卒業後はルリナとファルカは結婚するものだとずっと思っていたのに、
この魔術は求婚するためのものだった?どういうこと?
「うちの一族は、求婚するときに相手が喜びそうな魔術を贈るんだ。
自分で作れない奴は作れる人に依頼したりするんだけど…。
俺はルリナに自分で作った術を贈りたくて…ずいぶん悩んだ。
これからルリナと一緒に生きていくうえで、
必要とするもの、役に立つものにしようって決めて。
卒業までに間に合ってよかったよ…。」
「そんな理由があったんだ。」
「そうだったんだ。それはすごく素敵ね。
ねぇ、ルリナはファルカの求婚を承諾したってことでいいのよね?」
今ここでその話をしているということは受けたのだと思うけれど、
ルリナからも聞かなければわからない。
一度もルリナのファルカへの思いを聞いたことがないこともあって、
きちんと確認したかった。
「うん。この魔術を受け取った時に求婚の返事をしたわ。
実はね…私はファルカの兄弟四人の中から選ぶように言われていたの。
だから婚約者候補が四人いるような状態で育ったのよ。」
「え?どういうこと?」
ルリナの婚約者候補が四人?それもファルカの兄弟が四人とも?
首をかしげている私とレイニードを見て、ファルカが詳しく説明してくれる。
「血の一族の中で魔力の強いものは白髪赤目で産まれてくるって話はしただろう?
特にそれが女の子だった場合、さらわれないように気を付けて育てるんだ。
産まれた家だけで守り切るのは難しいから、生家の他に守りの家を二つ決めて、
その守りの家の男子は婚約者候補とされる。
まぁ、守りの家以外と結婚しちゃダメってわけでもないけどね、
なんとなくそんな感じになってる。」
「その守りの家の一つがファルカの家だったってこと?」
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