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7章 運命の日
1.運命の日が始まる
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新年を祝う夜会の日は朝から忙しい。
お父様とお母様、私とレイニード、四人が夜会に出席することで、
屋敷の使用人たちがあわただしく動いている。
「エミリア様、朝食を食べたら湯あみしますね。」
「ええ、わかったわ。」
今朝はカミラが来る前に、早起きしたレイニードは自分の部屋に戻っていった。
気が付かれていないはずだけど、なんとなく使用人たちが私を見る目があやしい。
見られている気がしてそちらを向くと、すっと視線をそらされる。
それに、笑うのを我慢しているような顔をしているのはどうしてだろう…。
一緒の寝台で寝てたけど、そういうんじゃないのに。
カミラに言ってしまいたかったが、
バレていないはずなので自分から言うわけにもいかない。
結果、なんとも居心地の悪い状態になっていた。
まぁ、そのうち本当にそんな朝が来るんだと思えば、これは練習かな。
そんなことを思ってしまい、急に恥ずかしくなった。
そんな朝って何!
…もう学園を卒業したら婚姻するのに何の問題もない。
あと三か月もしたら卒業だというのに、そのことに気が付いていなかった。
おそらくもうすぐ婚姻することになるから、使用人たちは何も言わない。
にやにやしているカミラが何も言わないのもそのせいだった。
…しっかりしよう。
この夜会を乗り越えないとレイニードとの婚姻もない。
今ふぬけているわけにはいかない。
湯あみを終えるころには、なんとか冷静な状態に戻ることができた。
紫色のレースを重ねたドレスは胸の下で切り替えてあり、
やはり軽くて裾が広がらないものを選んだ。
ふわふわした素材で作られているが、
たとえ走ったとしても裾が巻き上がらないようになっている。
夜会の最中に何が起きるかわからないため、
見た目も大事だが動きやすいドレスのほうがいい。
靴も走りやすいようにヒールが低く安定したものにした。
左腕には紫貴石が数個はめ込まれた腕輪を付ける。
この腕輪型の魔術具はレイニードとおそろいで作ったものだ。
毒無効のものと物理攻撃を跳ね返すものの二連でできている。
これで少しは危険を減らすことができるはずだ。
部屋のドアがノックされたと思ったら、
レイニードが濃いグレーのタキシードを着て迎えに来てくれた。
その胸に赤紫のチーフが飾られているのを見て、少しうれしくなる。
よく見ると、長い銀髪を束ねた飾り紐にも赤紫の貴石が使われていた。
「今日のドレス姿もとても綺麗だ。
エミリアが着たらどんなドレスでも似合うと思うけど、
やっぱり紫のドレスを着てくれるのがうれしい。
今の俺の色に合わせてくれたんだろう?
とてもよく似合ってる。」
「ふふ、ありがとう。
レイニードもよく似合っているわ。
そのチーフと飾り紐、もしかして私の色?」
「うん、そうだよ。今のエミリアの瞳の色。
これで俺がエミリアのものだってみんな見てわかるだろう?」
「うん、うれしい。ありがとう。」
これから大変なことが待っているとしても、恋人として夜会に出るのはうれしい。
誰から見ても二人は婚約しているだけじゃなく、
心から想いあっていると示すような衣装だった。
「エミリア様、レイニード様、馬車の用意が整いました。
そろそろお時間ですよ…?」
レイニードから目が離せずに見つめあっていたら、
カミラがコホンと咳払いをして馬車の準備ができたことを告げてくる。
またやってしまったと思いながらも、
カミラたちに見送られて馬車は王宮へと出発した。
レイニードに合わせて公爵家の順番で入場するため、
夜会の広間はもうすでに貴族たちであふれていた。
今日の目的はエリザベスとジュリアを監視して、
ことが起きた後ちょうどいいタイミングで助けること。
そのため、ライニードの行動がよく見える場所で待つことにした。
お父様とお母様、私とレイニード、四人が夜会に出席することで、
屋敷の使用人たちがあわただしく動いている。
「エミリア様、朝食を食べたら湯あみしますね。」
「ええ、わかったわ。」
今朝はカミラが来る前に、早起きしたレイニードは自分の部屋に戻っていった。
気が付かれていないはずだけど、なんとなく使用人たちが私を見る目があやしい。
見られている気がしてそちらを向くと、すっと視線をそらされる。
それに、笑うのを我慢しているような顔をしているのはどうしてだろう…。
一緒の寝台で寝てたけど、そういうんじゃないのに。
カミラに言ってしまいたかったが、
バレていないはずなので自分から言うわけにもいかない。
結果、なんとも居心地の悪い状態になっていた。
まぁ、そのうち本当にそんな朝が来るんだと思えば、これは練習かな。
そんなことを思ってしまい、急に恥ずかしくなった。
そんな朝って何!
…もう学園を卒業したら婚姻するのに何の問題もない。
あと三か月もしたら卒業だというのに、そのことに気が付いていなかった。
おそらくもうすぐ婚姻することになるから、使用人たちは何も言わない。
にやにやしているカミラが何も言わないのもそのせいだった。
…しっかりしよう。
この夜会を乗り越えないとレイニードとの婚姻もない。
今ふぬけているわけにはいかない。
湯あみを終えるころには、なんとか冷静な状態に戻ることができた。
紫色のレースを重ねたドレスは胸の下で切り替えてあり、
やはり軽くて裾が広がらないものを選んだ。
ふわふわした素材で作られているが、
たとえ走ったとしても裾が巻き上がらないようになっている。
夜会の最中に何が起きるかわからないため、
見た目も大事だが動きやすいドレスのほうがいい。
靴も走りやすいようにヒールが低く安定したものにした。
左腕には紫貴石が数個はめ込まれた腕輪を付ける。
この腕輪型の魔術具はレイニードとおそろいで作ったものだ。
毒無効のものと物理攻撃を跳ね返すものの二連でできている。
これで少しは危険を減らすことができるはずだ。
部屋のドアがノックされたと思ったら、
レイニードが濃いグレーのタキシードを着て迎えに来てくれた。
その胸に赤紫のチーフが飾られているのを見て、少しうれしくなる。
よく見ると、長い銀髪を束ねた飾り紐にも赤紫の貴石が使われていた。
「今日のドレス姿もとても綺麗だ。
エミリアが着たらどんなドレスでも似合うと思うけど、
やっぱり紫のドレスを着てくれるのがうれしい。
今の俺の色に合わせてくれたんだろう?
とてもよく似合ってる。」
「ふふ、ありがとう。
レイニードもよく似合っているわ。
そのチーフと飾り紐、もしかして私の色?」
「うん、そうだよ。今のエミリアの瞳の色。
これで俺がエミリアのものだってみんな見てわかるだろう?」
「うん、うれしい。ありがとう。」
これから大変なことが待っているとしても、恋人として夜会に出るのはうれしい。
誰から見ても二人は婚約しているだけじゃなく、
心から想いあっていると示すような衣装だった。
「エミリア様、レイニード様、馬車の用意が整いました。
そろそろお時間ですよ…?」
レイニードから目が離せずに見つめあっていたら、
カミラがコホンと咳払いをして馬車の準備ができたことを告げてくる。
またやってしまったと思いながらも、
カミラたちに見送られて馬車は王宮へと出発した。
レイニードに合わせて公爵家の順番で入場するため、
夜会の広間はもうすでに貴族たちであふれていた。
今日の目的はエリザベスとジュリアを監視して、
ことが起きた後ちょうどいいタイミングで助けること。
そのため、ライニードの行動がよく見える場所で待つことにした。
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