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5章 地下の学年
15.別れと出会い
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「報告ではエリザベス嬢がライニードに近付いたそうだよ。」
「エリザベスが?」
「ああ。夜会の途中でうまいこと出会いを演出したらしい。
夜会の最中に偶然ぶつかって、
ライニードが持っていた飲み物がエリザベス嬢のドレスにこぼれた。
その汚れを公爵家の控室で落としていたらしい。」
「そうですか…出会いを演出…。」
いかにもエリザベスがやりそうなことだった。
きっと誰の目から見ても清楚で真面目に見えただろうな…。
ライニード大丈夫だったかしら。
「なぁ、レイニード。ライニードに警告はしてなかったのか?」
「一応はしましたよ。
ビクトリア王女、エリザベス、ジュリアの三人が狙っていると。
警告はしたのであとは何とかするでしょう。」
「…それで大丈夫なのか?
挨拶したことはあるが、レイニードと違って頼りなさそうだったんだが…。」
「見た目はそうですね。鍛えていませんし…強くは無いです。
ですが、ライニードは俺よりも腹黒いですよ。」
「腹黒い…?」
「あの苦労人の王子が役に立たない男を側近にすると思いますか?
王太子の側近候補とは名ばかりで、
もうすでに王宮の執務室に出入りさせてこき使ってますよ。
将来の宰相候補だそうですからね…
ちゃんと腹黒いところを評価してもらっているはずです。」
「そうなのか…じゃあ、大丈夫か?」
「ええ。それにライニードも本物をずっと見てきていますし、
今は大事な人もいるようですからね。
偽物に惑わされたりしないと思いますよ。」
「あぁ、なるほど。それならいいか。」
わかったようなわからないような?
ライニードが大丈夫そうなのはわかったけれど。
ジングラッド先輩とレイニードだけで会話が終わってしまった。
隣にいるアヤヒメ先輩も納得したようなしてないような微妙な顔になっている。
「それにしてもあと二か月で卒業か…。
あっという間だったな。」
「どちらの国に帰るんですか?」
ジングラッド先輩とアヤヒメ先輩が婚約したのは知っているが、
結婚後はどちらの国に属することになるのだろう。
「最初はイストーニア国に戻るよ。
…実は王太子にも第二王子にも子が産まれていないんだ。
うちの国、厳格な一夫一妻制なのは知っているよね?
だから子が産まれない場合は国王になれない。
第一王子が王太子にはなっているけれど、それも仮の立場なんだ。
子が二人以上産まれないと国王の座に付けないことになっている。
さすがに第三王子の俺が結婚するまでは、
兄二人のどちらかに子が産まれているだろうと思ってたんだが…。
そのせいで俺が他国に行くわけにはいかなくなったんだ。
とりあえずイストーニア国に行って結婚する。
で、上二人のどちらかに子が産まれたら王族から抜けられるから、
その時はジンガ国に行こうと思っている。」
「そんなことができるんですか?」
「大丈夫よ。ジンガ国は王妃の子は無条件で王族に残れるの。
その上、ジンは優秀な魔術師でしょう?
お父様は喜んで王族に迎えるって言っているの。
だけど、ねぇ。イストーニア国に王子が生まれない限りは難しいのよね。」
「イストーニア国ではあまり魔術師であることは必要ないし、
あのお堅い国で俺が国王とかは無理だと思うんだよね。
早く兄貴たちに子が産まれればいいんだけど…。
あぁ、それで言っておきたかったんだ。
貴族科の一年に俺の弟が来ている。」
「「「「え?」」」」
「俺が貴族科の情報を知っていたのは弟がいたからだ。
王族が留学しているって周りに知られたら大変だろう?
だから問題児のフレデリック王子をイストーニア国で受け入れる代わりに、
弟の留学を内緒で受け入れてもらったんだ。」
「王族の身分を隠してってことですか?」
「そう。ビクトリア王女にも内緒でね。
だって見合い相手だっただろう?
無理に迫られても困るし、王族だってバレたら他の令嬢たちもめんどくさいし。
伯爵家の二男として入学させてもらっている。
もちろんあの三人には近寄らずに平和に学園生活を楽しんでいるようだよ。
ほら、弟だって嫁探ししなきゃいけないだろう?
魔力が少ないこともあって魔術師科ではないが、目的は嫁探しだからね。
貴族科のほうで性格の良さそうな令嬢を探すって言ってたよ。」
あぁ、そういえば。
イストーニア国は第一王子と第二王子の代に貴族たちの子が集中していて、
ジングラッド先輩の代には令嬢が少ないからと嫁探しに来たはず。
その時に第四王子の代にも令嬢がいないと言っていた。
「何かあったら弟に言ってくれれば俺たちに伝わるから。
弟は色を変えて茶髪茶目になっているが、顔は俺にそっくりだ。
ジルレッドという。
あいつにも言っておくからよろしくな。」
「わかりました。」
「エリザベスが?」
「ああ。夜会の途中でうまいこと出会いを演出したらしい。
夜会の最中に偶然ぶつかって、
ライニードが持っていた飲み物がエリザベス嬢のドレスにこぼれた。
その汚れを公爵家の控室で落としていたらしい。」
「そうですか…出会いを演出…。」
いかにもエリザベスがやりそうなことだった。
きっと誰の目から見ても清楚で真面目に見えただろうな…。
ライニード大丈夫だったかしら。
「なぁ、レイニード。ライニードに警告はしてなかったのか?」
「一応はしましたよ。
ビクトリア王女、エリザベス、ジュリアの三人が狙っていると。
警告はしたのであとは何とかするでしょう。」
「…それで大丈夫なのか?
挨拶したことはあるが、レイニードと違って頼りなさそうだったんだが…。」
「見た目はそうですね。鍛えていませんし…強くは無いです。
ですが、ライニードは俺よりも腹黒いですよ。」
「腹黒い…?」
「あの苦労人の王子が役に立たない男を側近にすると思いますか?
王太子の側近候補とは名ばかりで、
もうすでに王宮の執務室に出入りさせてこき使ってますよ。
将来の宰相候補だそうですからね…
ちゃんと腹黒いところを評価してもらっているはずです。」
「そうなのか…じゃあ、大丈夫か?」
「ええ。それにライニードも本物をずっと見てきていますし、
今は大事な人もいるようですからね。
偽物に惑わされたりしないと思いますよ。」
「あぁ、なるほど。それならいいか。」
わかったようなわからないような?
ライニードが大丈夫そうなのはわかったけれど。
ジングラッド先輩とレイニードだけで会話が終わってしまった。
隣にいるアヤヒメ先輩も納得したようなしてないような微妙な顔になっている。
「それにしてもあと二か月で卒業か…。
あっという間だったな。」
「どちらの国に帰るんですか?」
ジングラッド先輩とアヤヒメ先輩が婚約したのは知っているが、
結婚後はどちらの国に属することになるのだろう。
「最初はイストーニア国に戻るよ。
…実は王太子にも第二王子にも子が産まれていないんだ。
うちの国、厳格な一夫一妻制なのは知っているよね?
だから子が産まれない場合は国王になれない。
第一王子が王太子にはなっているけれど、それも仮の立場なんだ。
子が二人以上産まれないと国王の座に付けないことになっている。
さすがに第三王子の俺が結婚するまでは、
兄二人のどちらかに子が産まれているだろうと思ってたんだが…。
そのせいで俺が他国に行くわけにはいかなくなったんだ。
とりあえずイストーニア国に行って結婚する。
で、上二人のどちらかに子が産まれたら王族から抜けられるから、
その時はジンガ国に行こうと思っている。」
「そんなことができるんですか?」
「大丈夫よ。ジンガ国は王妃の子は無条件で王族に残れるの。
その上、ジンは優秀な魔術師でしょう?
お父様は喜んで王族に迎えるって言っているの。
だけど、ねぇ。イストーニア国に王子が生まれない限りは難しいのよね。」
「イストーニア国ではあまり魔術師であることは必要ないし、
あのお堅い国で俺が国王とかは無理だと思うんだよね。
早く兄貴たちに子が産まれればいいんだけど…。
あぁ、それで言っておきたかったんだ。
貴族科の一年に俺の弟が来ている。」
「「「「え?」」」」
「俺が貴族科の情報を知っていたのは弟がいたからだ。
王族が留学しているって周りに知られたら大変だろう?
だから問題児のフレデリック王子をイストーニア国で受け入れる代わりに、
弟の留学を内緒で受け入れてもらったんだ。」
「王族の身分を隠してってことですか?」
「そう。ビクトリア王女にも内緒でね。
だって見合い相手だっただろう?
無理に迫られても困るし、王族だってバレたら他の令嬢たちもめんどくさいし。
伯爵家の二男として入学させてもらっている。
もちろんあの三人には近寄らずに平和に学園生活を楽しんでいるようだよ。
ほら、弟だって嫁探ししなきゃいけないだろう?
魔力が少ないこともあって魔術師科ではないが、目的は嫁探しだからね。
貴族科のほうで性格の良さそうな令嬢を探すって言ってたよ。」
あぁ、そういえば。
イストーニア国は第一王子と第二王子の代に貴族たちの子が集中していて、
ジングラッド先輩の代には令嬢が少ないからと嫁探しに来たはず。
その時に第四王子の代にも令嬢がいないと言っていた。
「何かあったら弟に言ってくれれば俺たちに伝わるから。
弟は色を変えて茶髪茶目になっているが、顔は俺にそっくりだ。
ジルレッドという。
あいつにも言っておくからよろしくな。」
「わかりました。」
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