神の審判でやり直しさせられています

gacchi

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5章 地下の学年

12.エリザベス

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ようやくこの時が来た。
15歳になって、やっと王宮での夜会に出席することができた。
きらびやかな廊下を通り、夜会が行われる広間へと向かう。
色とりどりのドレスを着た令嬢たちの合間をぬって、中央へと進む。

あぁ、こういう場所こそ、選ばれた人だけがいる空間こそが私にふさわしいわ。
思い出すのも忌々しい、暗くじめじめとした牢の記憶が一瞬頭をかすめる。


あの時の悔しさを忘れることは出来ない。
お母様が伯母様に用があるといってエンドソン侯爵家を訪ねたが、
一度目はすんなり通してもらえたのに、二度目からは門番に止められた。
侯爵夫人の妹と姪であり伯爵家の者だというのに、
門番には理由を告げられることなく帰るように言われる。
お母様は門番に文句を言っていたが、それでも中には入れてもらえなかった。

それからしばらくして、もう一度侯爵家に行くことができた。
正門からではなく、裏門から騎士団の人たちと一緒に中に入ることができた。
お母様の知り合いのつてで騎士団の人に紹介してもらえたらしい。

馬車で侯爵家に向かう間に近くにいた騎士たちと仲良くなり、
レイニードの話になったから教えてあげた。
一度目に侯爵家に行った時に会えたから、この侯爵家にいるはずよって。
だけどエミリアっていうわがままな令嬢がレイニードを縛り付けているから、
騎士団に入りたくても入れないだろうって。だって婿だもの。
エミリアが嫌なことはできないよね、レイニードも可哀そうだわって。
そしたら騎士たちが怒りだして、説得しに行くって言うから場所も教えてあげた。
特別な図書室の中にいると思うわよって。

レイニードに会わせて説得してもらえばレイニードは騎士になるかもしれないし、
エミリアから助けてあげたら恩を感じてくれるかもしれない。
お母様が侯爵家は私が継ぐことになるって言ってたし、
それなら私がレイニードと結婚してあげてもいいって思ってたから。

それなのに気がついたら騎士たちに追いかけられて捕まえられるし、
お母様は毒殺未遂で警吏に連れて行かれていた。


私までじめじめした牢にいれられて、すぐに迎えに来てくれる人もいなかった。
お世話になっていたお母様の生家の侯爵家は伯父様が意地悪だった。

お母様と伯父様は仲が悪かったみたいで、
お母様とエンドソン侯爵のお見合いの時に、
わざわざ伯母様を付き添いにしたのも伯父様だったって。
伯父様はお母様が自分よりも上の侯爵家に嫁ぐのを面白くなく思ってたって。
それでお見合いの時にエンドソン侯爵よりも年上の伯母様まで会わせたんだって。
そのせいでお母様じゃなく伯母様がエンドソン家に嫁ぐことになった。
侯爵家でお世話になることが決まった時に、
お母様と伯父様がそのことでケンカしていたから本当の話なんだと思う。

その伯父様に警吏が連絡して引き取るように言ったらしいけど、拒否されたって。
実姉を殺そうとするような者の娘はいらないと言っていたと聞いた。
…それほど恨むようなことになったのは伯父様のせいなのに。

犯罪人用の牢からは一日で出れたけど、引き取ってくれる人がいなかった。
行き先が無いからと近くの孤児院に預けられて一週間が過ぎた頃、
お父様の弟夫妻が私を引き取りに来た。

お父様の後を継いで伯爵になった叔父夫妻には子が無かったから。
叔父は良い人だったけれど、夫人のほうはあまり好きじゃなかった。
引き取られてからも文句ばかり。
何で人殺しの娘なんて引き取らなきゃいけないのって言われたから、
あなたが子を産めなかったからでしょう?って言ったら殴られた。
先に言ってはいけないことを言ったのは夫人の方なのに。
叔父には謝られたけれど、私も夫人に謝らせられた。
夫人は一言も謝らなかったのに。

…こんな家、継ぐわけ無いじゃない。最悪だわ。
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