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5章 地下の学年
10.対決の終わり
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「あら。六か国法も国内法も王族なら十歳になる前に覚えることよね?
まぁ王族じゃなくても普通の貴族令嬢なら知っていることだけれど。
それを知らないなら、まだ勉強する前なのではないの?」
「…何を?」
「公式なお茶会での魔術の発動は前もって許可されている以外は使用禁止よ。
王宮内でのお茶会なら王女ではなく、陛下の許可が必要だわ。
前もって許可が必要なのは、当日の護衛の計画があるからよ。
それに他国の王族が招待されているお茶会では原則認められないわ。
暗殺を疑われる行為よ。
これは常識だと思っていたけれど、王女は知らなかったのでしょう?
だからまだ勉強する前なのね?と言ったのよ。」
「…。」
「ましてや、エミリアは魔術師協会に所属する魔術師なのに、
王女の指示に従う理由も無いわ。
それなのに魔術を使用するように無理強いするなんて…。
ここまで法を無視した行動をするなんて信じられない。
あなたは王族を名乗る資格は無いわね。」
「なんですって!?」
「まだ言われている意味が理解できないの?
ジンガ国の王女として、この者は王女と認めないわ。
お茶会の招待も今後一切受けないから。
エミリア、帰りましょう。」
「はい、アヤヒメ先輩。」
「…っ。なんなのよ!帰ればいいじゃない!」
始まったばかりなのに、退出するのか…ジンガ国からの抗議来るだろうな…。
そう思いながら席を立つと、なぜかリリーナ様も席を立った。
「皆様、今日のお茶会はこれでお開きとします。
すみやかに退出をお願いしますね?」
「何勝手に言ってるの!?」
「第一王子ジョージア様の婚約者として、
ジンガ国の王族であるアヤヒメ様が退出されるようなことが起きた場合は、
すぐさまお茶会をお開きにするようにと言われております。
わたくしはこのまま陛下へと報告にあがります…
アヤヒメ様、ご無礼をお許しください。
正式な謝罪は後程陛下からあると思います。」
「リリーナ様が気にすることではないわ。
でも、そうね、陛下に伝えてくれる?
わたくしへの謝罪よりも、魔術師協会への謝罪が問題じゃないかしら?と。」
「わかりました…そのように報告致します。」
リリーナ様がアヤヒメ先輩や他の令嬢方に対応しているというのに、
それを見たビクトリア様は怒って先に出て行った。
主催なのにアヤヒメ先輩を見送ることも無く先に退出されるとは。
リリーナ様のせいではないけれど、ビクトリア様は将来の義妹になる。
だからこそこうやって対応されているのだろうけれど…。
どう考えてもジョージア様と一緒に困っている姿が想像できる。
お互いに弟妹で苦労しているって聞いているし、
どうにかしてあげたい気持ちはあるけれど…。
私には何もできなかった。
ライニードにも頼まれていたのに、アヤヒメ先輩を守れていない。
問題を増やしただけの結果になってしまった気がする。
ため息をつきながらアヤヒメ先輩に続いて中庭を後にした。
「すみません…また私のことで巻き込んでしまったようです。
ビクトリア様があんなことを言いだすとは思ってもいませんでした。
もっとしっかり対応出来たら良かったのですけど…」
「あら。ちゃんと断れるようになったじゃない。
あの場で王女相手に断るの大変だったでしょう?」
「え?
…断るくらいしかできませんでしたけど。」
「何言ってるの?上出来だわ。
王女相手なのよ。侯爵家の令嬢が強く言えるわけ無いじゃない。
あの場で対等以上の立場だったのは私だけなのよ。
リリーナ様もまだ婚約して間もないし、あの王女を止めるのは無理でしょう。
サウンザード国は…これからどうするのかしらね。」
「あのままだと困りますよね…。」
「困るだけならいいけど、きっと何か大きな問題を起こすわ。」
「それは…ありえます。そうならないといいのですけど。」
思わず二人でため息が重なる。
とりあえず今日できることはもう何もない。
また後日学園で話をすることにして帰宅することにした。
まぁ王族じゃなくても普通の貴族令嬢なら知っていることだけれど。
それを知らないなら、まだ勉強する前なのではないの?」
「…何を?」
「公式なお茶会での魔術の発動は前もって許可されている以外は使用禁止よ。
王宮内でのお茶会なら王女ではなく、陛下の許可が必要だわ。
前もって許可が必要なのは、当日の護衛の計画があるからよ。
それに他国の王族が招待されているお茶会では原則認められないわ。
暗殺を疑われる行為よ。
これは常識だと思っていたけれど、王女は知らなかったのでしょう?
だからまだ勉強する前なのね?と言ったのよ。」
「…。」
「ましてや、エミリアは魔術師協会に所属する魔術師なのに、
王女の指示に従う理由も無いわ。
それなのに魔術を使用するように無理強いするなんて…。
ここまで法を無視した行動をするなんて信じられない。
あなたは王族を名乗る資格は無いわね。」
「なんですって!?」
「まだ言われている意味が理解できないの?
ジンガ国の王女として、この者は王女と認めないわ。
お茶会の招待も今後一切受けないから。
エミリア、帰りましょう。」
「はい、アヤヒメ先輩。」
「…っ。なんなのよ!帰ればいいじゃない!」
始まったばかりなのに、退出するのか…ジンガ国からの抗議来るだろうな…。
そう思いながら席を立つと、なぜかリリーナ様も席を立った。
「皆様、今日のお茶会はこれでお開きとします。
すみやかに退出をお願いしますね?」
「何勝手に言ってるの!?」
「第一王子ジョージア様の婚約者として、
ジンガ国の王族であるアヤヒメ様が退出されるようなことが起きた場合は、
すぐさまお茶会をお開きにするようにと言われております。
わたくしはこのまま陛下へと報告にあがります…
アヤヒメ様、ご無礼をお許しください。
正式な謝罪は後程陛下からあると思います。」
「リリーナ様が気にすることではないわ。
でも、そうね、陛下に伝えてくれる?
わたくしへの謝罪よりも、魔術師協会への謝罪が問題じゃないかしら?と。」
「わかりました…そのように報告致します。」
リリーナ様がアヤヒメ先輩や他の令嬢方に対応しているというのに、
それを見たビクトリア様は怒って先に出て行った。
主催なのにアヤヒメ先輩を見送ることも無く先に退出されるとは。
リリーナ様のせいではないけれど、ビクトリア様は将来の義妹になる。
だからこそこうやって対応されているのだろうけれど…。
どう考えてもジョージア様と一緒に困っている姿が想像できる。
お互いに弟妹で苦労しているって聞いているし、
どうにかしてあげたい気持ちはあるけれど…。
私には何もできなかった。
ライニードにも頼まれていたのに、アヤヒメ先輩を守れていない。
問題を増やしただけの結果になってしまった気がする。
ため息をつきながらアヤヒメ先輩に続いて中庭を後にした。
「すみません…また私のことで巻き込んでしまったようです。
ビクトリア様があんなことを言いだすとは思ってもいませんでした。
もっとしっかり対応出来たら良かったのですけど…」
「あら。ちゃんと断れるようになったじゃない。
あの場で王女相手に断るの大変だったでしょう?」
「え?
…断るくらいしかできませんでしたけど。」
「何言ってるの?上出来だわ。
王女相手なのよ。侯爵家の令嬢が強く言えるわけ無いじゃない。
あの場で対等以上の立場だったのは私だけなのよ。
リリーナ様もまだ婚約して間もないし、あの王女を止めるのは無理でしょう。
サウンザード国は…これからどうするのかしらね。」
「あのままだと困りますよね…。」
「困るだけならいいけど、きっと何か大きな問題を起こすわ。」
「それは…ありえます。そうならないといいのですけど。」
思わず二人でため息が重なる。
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