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5章 地下の学年

1.新しい教室

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新しい学年になって最初の日、
魔術師科の校舎の下でプロイム先生が私たちを待っていた。
四学年になると教室が変わるため、また新しいバッジが必要になるらしい。
私とレイニード、ルリナとファルカに一つずつ手渡され、それを制服の襟につける。

「よし、バッジは付けたな。
 じゃあ、四学年の教室に行くぞ。」

先生の後に続いて校舎の中に入る。
上の階に行く階段の横で止まると、その隣に地下へ降りる階段があらわれていた。
上の階に行く階段と同様で、バッジをつけることによって見える仕組みのようだ。

階段を降りていくと、広い場所に着いた。
どうやらここは休憩する場所のようだ。
校舎の外に置いてあるのと同じテーブルセットが三つ置いてある。
その奥に長い長い通路があるのが見える。
通路はその一本だけで、奥が見えないほど長い。どこまで続いているのだろう。

「ここは休憩場所だ。勉強するのに使っても構わない。
 奥の通路を挟んで両脇に修練場が四十ある。」

「四十もですか!?」

「ああ。一つの修練場の大きさは、今まで使っていた練習場の三倍はあるな。
 それが温度や地形などの条件が違ったものが四十種類ある。」

「…そんなに。」

「四学年の一年でお前たちがするのは、
 今まで覚えてきた魔術書をすべて使えるようにすること。
 そのために各魔術に適した修練場が用意されている。
 なぜそこまでしなければいけないかと言うと、その次の五学年のためだ。
 五学年、つまり卒業するためには新しい魔術書を作ってもらう。
 一種類の魔術書を五冊。
 新しい魔術を作り上げ、それを魔術書にするのは誰でもできるわけではない。
 だが、お前たちなら出来るだろう。」

「新しい魔術を?」「しかも魔術書まで作るの?」

レイニードと私は驚くが、ルリナとファルカは驚いていない。
兄たちから聞いて知っているのだろう。

「ちなみに…五学年の教室もここになるが、今使っているのはあの二人だけだ。」

「アヤヒメ先輩とジングラッド先輩だけですか?」

「ああ。他の者たちは在籍だけして留学している。
 魔術書を作るには才能が必要だし、すべての魔術師に必要な技術ではない。
 だから、魔術書を作るのは難しいと思った学生のために、
 最終試験の代わりにジンガ国へ留学するという手段も用意している。
 学園長や俺も留学して卒業したものだ。その方が多いだろう。
 魔術書を作るよりは楽とは言え、早くても二年。遅いと五年は戻ってこれない。
 それでも作れない魔術書を作るよりはと留学するものがほとんどなんだ。」

「なるほど…だから魔術師科の説明には、
 卒業は最短で五年とだけしか書かれてなかったんですね。」

「お前たちなら五年で卒業できると思うよ。
 まぁ、そういうわけで、四学年の間ずっと修練なのは、
 自分がどちらを選ぶべきなのかを考えさせるためでもある。
 一年間は自由だ。好きな修練場で魔術を磨いてくれ。
 あぁ、一つだけ。一人で修練場を使うのだけは禁止だ。
 魔力切れで倒れても見回りは来ないからな。
 ほっといてそのまま…なんてこともありうる。
 二人以上で使用すること。以上。」

「「「「はい!」」」」

説明が終わるとうんうん頷きながら先生は上の階へと戻って行った。
これから他の学年へと説明しに行くのかもしれない。
他の学年もきっと説明されるまで何もできずに待っているのだろうから。
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