神の審判でやり直しさせられています

gacchi

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4章 三学年そして15歳

34.侍女と女官

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「陛下は…ビクトリア王女の侍女をすべて取り上げた。
 言いなりになっていた者は家に帰した。
 脅されていた者は王妃付きになって指導の受け直しをしている。
 つけこまれるような後ろ暗いところがあるものもいるからね。
 王女の私物に勝手にふれたものとかもいるようだから。」

侍女たちも家に帰れば裕福な生活の者が多い。
それでも王女の私物となれば高級品なのはもちろん、
一点ものなど他で見ることができないものが多い。
思わず手に取って見ていたところを咎められたというのもありえる。
もちろん注意されるし、場合によっては配置換えも考えられる。
だからといって、脅されるほどのことかというとそうでもない…。
王女が脅すのがうまいから?

それはともかく。
今、すごいことを聞いた気がする。
全ての侍女を取り上げた??


「侍女をすべて取り上げ?それってできるの?
 着替えや湯あみの手伝いは誰がするの?」

「女官が交代でしている。専属のお付きはつけないことにしたそうだ。
 専属になると、付け込まれる機会も増えてしまうだろう?
 女官たちは…侍女の仕事などしたことないだろうけどね…。
 世話される方も大変かもしれないけど、まぁ、そこは王女の自業自得?」

「えええぇ。」


侍女と女官は同じ場で働くこともあるが、役割はかなり違う。
着替えや湯あみの手伝い、食事の準備など、
実際に動いて王女の身の回りの世話をするのは侍女の仕事。
王女の話し相手になるのも侍女としての仕事に含まれるため、
仲良くなることもあるし、それが原因でこうなっていることもある。
女官は王宮の職員として働いているため、
王女が慰問に行く際に付き添ったり予定の調整をしたり、
王女が仕事をするのを補佐するのが女官だ。
必要がなければ王女のそばにいることもないのが普通だろう。

文官に騎士の仕事を手伝わせるようなものだろうか。
…分野が違うことをさせているのだとしたら、
女官たちにとっても嫌だろうし、慣れないものにお世話される王女も大変になる。
それをわかっていて侍女を取り上げたのは、
やはり女官だと付け込まれる心配が無いということかもしれない。

「しかも、ほとんどが勤務20年以上の女官で、女官長が育てた女官たちらしい。
 王族相手でも厳しくて有名らしいね…女官長。
 ジョージア様の教育係でもあったそうだけど。」

「あぁ、わかったわ。
 ジョージア様だけまともで優秀って言うのは女官長のおかげなのね。」

「うん。そうみたい。
 だからこそ、ジョージア様の仕事の邪魔ばかりしている王女には、
 いろいろと思うところがあるみたいでね。
 今までは陛下の病気のこともあってそっちの補佐もしていたから、
 女官長も余裕がなかったみたいだけど、陛下は回復されたしね。
 今まで放っておくしかできなかった王女の教育に全力でいくつもりらしいよ。

 …これで少しは王女もマシになると良いんだけど。
 ほら、もう少ししたら王女も入学するからね。
 学園内で関わることになると思うと…今から頭が痛いよ。」

来年度はビクトリア王女の他にエリザベスも入学してくる。
私とレイニードは貴族科の授業が無くなるので、魔術師科から出ることは無い。
だけど、同じ貴族科にいるライニードはそういうわけにもいかない。
ジョージア様の隣にいるのなら、なおのこと会う機会も多い。

ライニードもジョージア様も最終学年になるので、王女と重なるのは一年だけ。
ジョージア様の結婚はリリーナ様が卒業するのを待ってからと聞いているので、
あと三年は時間があることになる。
王女のことで悩むくらいの余裕はあるだろうけれど、出来ればしたくないだろう。



「…そういえば、ライニード。
 ミリーナ嬢とはうまくいってると聞いたが、どうなんだ?」

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