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4章 三学年そして15歳
18.魔術師協会の人
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陛下との約束の日レイニードと二人で王宮へと上がると、
通された待合室にはリシャエルさんが待っていた。
白髪を一つに結んだ白のローブ姿のリシャエルさんは、
私たちに気がつくとうれしそうに笑った。
「久しぶりだね。二人とも元気そうで良かった。
弟に渡した手紙は届いた?」
「はい。ファルカから受け取りました。
魔術師協会の立会人ってリシャエルさんだったんですね。」
「あぁ、知ってる人が来た方が良いだろうってことで俺が来たんだ。
いろいろと頼み込んですまないね。
本当なら魔術師協会の方でどうにか出来たら良かったんだけど、
陛下の体調のことを俺たちは知らないことになっている。
過去にいろいろあったこともね。
そんなこともあって、こちらから治療しましょうとは言えないんだよね…。
二人には迷惑をかけるけど、
ここで陛下を治療しないとヤバいことになるみたいんだ。」
王宮の使用人達へと聞こえないように、防音結界を張った中で、
それでも少し小声でリシャエルさんが教えてくれる。
事情はだいたい手紙に書いてあったが、ヤバいことになるというのは初耳だった。
手紙に書いてあった、ジョージア様が成人するまで陛下の体調が持たないかもしれないということだろうか。
「リシャエルさん、ヤバいって言うのは具体的には?」
同じことを思っていたのかレイニードが聞いた。
「…魔術師長は先見の力があるようなんだ。
その力は魔術ではないから、公表されていないので内緒だよ?
それで、今陛下が倒れてジョージア様が王弟殿下の後見下で国王になると、
ジョージア様と王弟殿下は亡くなって、フレデリック様は幽閉される。
それで、ビクトリア様が女王になるんだが…その結果戦争が起きるらしい…。」
「戦争!?」
「そんな!」
そこまでこの国が荒れてしまうことになるとは…。
手紙にも陛下とジョージア様は治療がうまくいっても、
ビクトリア王女によって毒殺される可能性があるとは書いてあった。
それはこういう理由からだったんだ…。
「そういうわけで、二人に頼ることになった。
直接会えば陛下の体調が悪いのはすぐにわかる。
学生で貴族の子である二人が、ちょっとした善意で治療して、お守りを渡す。
これくらいなら六か国法に反しない。
で、魔術具はできた?できなかったら、俺が作ってきたのもあるけど…。」
「一応、二種類作ってきました。
解毒用の魔術具は腕輪にして、その後の毒無効化のものは
ペンダントにして隠してつけられるようにしてあります。」
「どれどれ。おお、すごいね。よくできてる。
俺が作ったのよりも効果がありそうだな…。
ここまで期待してなかったけど、これならちゃんと回復できそうだ。」
私が作ってきた魔術具をリシャエルさんに確認してもらうと、
そのままで大丈夫だと保証される。
お祖母様に指導してもらって以来、自分でいろいろと作るようにはなっていたが、
それを誰かに渡して使わせるような機会は無かった。
動作確認はしてきたけれど、使用するのが王族の二人だから心配は尽きない。
リシャエルさんに確認してもらうことで少しは安心することができた。
「陛下が謁見室に入って、王座に座ったら呼ばれるらしい…。
なるべく負担を減らしたいから、呼ばれたらすみやかに入室してほしいそうだよ。
俺にまで隠さないということは、もうよっぽどのことだろうね。」
「…そうですか。」
ちょうどその時に女官が呼びに来た。
国王陛下がお待ちですと。
少しでも待たすことの無いように、すぐさま移動して謁見室にはいる。
謁見室に入ると香水のにおいに混じって、何か腐ったような臭いがした。
通された待合室にはリシャエルさんが待っていた。
白髪を一つに結んだ白のローブ姿のリシャエルさんは、
私たちに気がつくとうれしそうに笑った。
「久しぶりだね。二人とも元気そうで良かった。
弟に渡した手紙は届いた?」
「はい。ファルカから受け取りました。
魔術師協会の立会人ってリシャエルさんだったんですね。」
「あぁ、知ってる人が来た方が良いだろうってことで俺が来たんだ。
いろいろと頼み込んですまないね。
本当なら魔術師協会の方でどうにか出来たら良かったんだけど、
陛下の体調のことを俺たちは知らないことになっている。
過去にいろいろあったこともね。
そんなこともあって、こちらから治療しましょうとは言えないんだよね…。
二人には迷惑をかけるけど、
ここで陛下を治療しないとヤバいことになるみたいんだ。」
王宮の使用人達へと聞こえないように、防音結界を張った中で、
それでも少し小声でリシャエルさんが教えてくれる。
事情はだいたい手紙に書いてあったが、ヤバいことになるというのは初耳だった。
手紙に書いてあった、ジョージア様が成人するまで陛下の体調が持たないかもしれないということだろうか。
「リシャエルさん、ヤバいって言うのは具体的には?」
同じことを思っていたのかレイニードが聞いた。
「…魔術師長は先見の力があるようなんだ。
その力は魔術ではないから、公表されていないので内緒だよ?
それで、今陛下が倒れてジョージア様が王弟殿下の後見下で国王になると、
ジョージア様と王弟殿下は亡くなって、フレデリック様は幽閉される。
それで、ビクトリア様が女王になるんだが…その結果戦争が起きるらしい…。」
「戦争!?」
「そんな!」
そこまでこの国が荒れてしまうことになるとは…。
手紙にも陛下とジョージア様は治療がうまくいっても、
ビクトリア王女によって毒殺される可能性があるとは書いてあった。
それはこういう理由からだったんだ…。
「そういうわけで、二人に頼ることになった。
直接会えば陛下の体調が悪いのはすぐにわかる。
学生で貴族の子である二人が、ちょっとした善意で治療して、お守りを渡す。
これくらいなら六か国法に反しない。
で、魔術具はできた?できなかったら、俺が作ってきたのもあるけど…。」
「一応、二種類作ってきました。
解毒用の魔術具は腕輪にして、その後の毒無効化のものは
ペンダントにして隠してつけられるようにしてあります。」
「どれどれ。おお、すごいね。よくできてる。
俺が作ったのよりも効果がありそうだな…。
ここまで期待してなかったけど、これならちゃんと回復できそうだ。」
私が作ってきた魔術具をリシャエルさんに確認してもらうと、
そのままで大丈夫だと保証される。
お祖母様に指導してもらって以来、自分でいろいろと作るようにはなっていたが、
それを誰かに渡して使わせるような機会は無かった。
動作確認はしてきたけれど、使用するのが王族の二人だから心配は尽きない。
リシャエルさんに確認してもらうことで少しは安心することができた。
「陛下が謁見室に入って、王座に座ったら呼ばれるらしい…。
なるべく負担を減らしたいから、呼ばれたらすみやかに入室してほしいそうだよ。
俺にまで隠さないということは、もうよっぽどのことだろうね。」
「…そうですか。」
ちょうどその時に女官が呼びに来た。
国王陛下がお待ちですと。
少しでも待たすことの無いように、すぐさま移動して謁見室にはいる。
謁見室に入ると香水のにおいに混じって、何か腐ったような臭いがした。
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