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4章 三学年そして15歳
12.手合わせ
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「出て来い、レイニード!」
力強いフレデリック様の声が会場中に響き渡る。
帰ろうとしていた学生たちも何事かと足を止めてフレデリック様を見た。
中央に立ったままのフレデリック様が特別観覧室のガラス窓に向かって叫んでいる。
広いガラス窓の中にレイニードや私がいるのが、学生たちからも見えているだろう。
「…っ!あの馬鹿!」
ジョージア様が立ち上がり、ぎりっと歯を鳴らした。
「なんのために学生を退出させてからと言ったと思っているんだ…!」
悔しそうなジョージア様にレイニードが冷静な声で問いかけた。
「こうなったら仕方ないですよね?
俺は呼ばれたので行ってきます。」
「…ああ。もうこれ以上は無理だ。
好きなようにしてくれてかまわない。」
「わかりました。では。」
レイニードはそう言って立ち上がると、
特別観覧室のガラス窓の横にある小さな扉から闘技場へと入っていく。
ゆっくりと中央へと歩いていくのを学生たちが面白がって拍手で迎え入れる。
フレデリック様はレイニードが拍手で迎え入れられたのが気に入らないのか、
苛立ったようにレイニードへと剣を向けた。
「やっと出て来たか。
剣術大会に参加しろと言ったのに出ないとは。
もう逃がさないぞ。この大勢の者たちが見ている前でお前を倒す。
そしてエミリアを自由にするのだ!」
その言葉を聞いて学生たちがざわめきだす。
おそらく学生たちはレイニードが剣術大会に参加する資格がないことを知っている。
そして、私を自由にするといった言葉の意味を理解できずにいるだろう。
「第二王子、何度も言っていますが、エミリアは自由です。
そのうえで俺との婚約をしているんです。」
「ふざけるな!そんなわけないだろう!」
「…はぁぁ。
俺が勝ったら、もう二度とエミリアには近づかないでください。」
「そんなわけないな。俺が勝って、エミリアを自由にする。
そして俺と婚約を結ぶのだから。」
「…俺が負けたら、エミリアを自由にするのは認めましょう。
だから俺が勝ったら、第二王子もエミリアに近付かないと誓ってください。」
「そんなわけは無いといっているだろうが、まぁいいだろう。
俺が負けたらエミリアには近づかない。これでいいか。始めよう。
さぁ、剣を持て。」
フレデリック様が持っていた木剣が一本レイニードへと投げてよこされる。
それをレイニードが片手で受け取り、剣を構えた。
両者が剣を構えたところで、審判が試合の開始を宣言した。
先に動いたのはフレデリック様だった。
勢いよく剣ごとレイニードに体当たりして来ようとする。
おそらくそのままレイニードを吹っ飛ばすつもりなのだろう。
さらっとレイニードが左に避けて、フレデリック様の剣の手元を払うように叩く。
バシィンと音が鳴るが、フレデリック様はなんとかこらえている。
フレデリック様の顔つきが変わったように思ったが、
レイニードは気にせずにフレデリック様の剣へ突きを入れる。
これも剣の手元あたりの中心をまっすぐに突きが入る。
その剣に受けた重みをそのまま身体で受けてしまい、
フレデリック様の身体が後ろに飛ぶ。
宙を舞った身体を立て直し、少しよろけたがなんとか転ばずに踏みとどまった。
その表情は驚きなのか、畏怖なのか、明らかにこわばっていた。
「いつ降参してくれてもかまいません。」
そうレイニードが涼しい声で言うと、フレデリック様の顔が真っ赤になった。
「誰が降参するか!」
力強いフレデリック様の声が会場中に響き渡る。
帰ろうとしていた学生たちも何事かと足を止めてフレデリック様を見た。
中央に立ったままのフレデリック様が特別観覧室のガラス窓に向かって叫んでいる。
広いガラス窓の中にレイニードや私がいるのが、学生たちからも見えているだろう。
「…っ!あの馬鹿!」
ジョージア様が立ち上がり、ぎりっと歯を鳴らした。
「なんのために学生を退出させてからと言ったと思っているんだ…!」
悔しそうなジョージア様にレイニードが冷静な声で問いかけた。
「こうなったら仕方ないですよね?
俺は呼ばれたので行ってきます。」
「…ああ。もうこれ以上は無理だ。
好きなようにしてくれてかまわない。」
「わかりました。では。」
レイニードはそう言って立ち上がると、
特別観覧室のガラス窓の横にある小さな扉から闘技場へと入っていく。
ゆっくりと中央へと歩いていくのを学生たちが面白がって拍手で迎え入れる。
フレデリック様はレイニードが拍手で迎え入れられたのが気に入らないのか、
苛立ったようにレイニードへと剣を向けた。
「やっと出て来たか。
剣術大会に参加しろと言ったのに出ないとは。
もう逃がさないぞ。この大勢の者たちが見ている前でお前を倒す。
そしてエミリアを自由にするのだ!」
その言葉を聞いて学生たちがざわめきだす。
おそらく学生たちはレイニードが剣術大会に参加する資格がないことを知っている。
そして、私を自由にするといった言葉の意味を理解できずにいるだろう。
「第二王子、何度も言っていますが、エミリアは自由です。
そのうえで俺との婚約をしているんです。」
「ふざけるな!そんなわけないだろう!」
「…はぁぁ。
俺が勝ったら、もう二度とエミリアには近づかないでください。」
「そんなわけないな。俺が勝って、エミリアを自由にする。
そして俺と婚約を結ぶのだから。」
「…俺が負けたら、エミリアを自由にするのは認めましょう。
だから俺が勝ったら、第二王子もエミリアに近付かないと誓ってください。」
「そんなわけは無いといっているだろうが、まぁいいだろう。
俺が負けたらエミリアには近づかない。これでいいか。始めよう。
さぁ、剣を持て。」
フレデリック様が持っていた木剣が一本レイニードへと投げてよこされる。
それをレイニードが片手で受け取り、剣を構えた。
両者が剣を構えたところで、審判が試合の開始を宣言した。
先に動いたのはフレデリック様だった。
勢いよく剣ごとレイニードに体当たりして来ようとする。
おそらくそのままレイニードを吹っ飛ばすつもりなのだろう。
さらっとレイニードが左に避けて、フレデリック様の剣の手元を払うように叩く。
バシィンと音が鳴るが、フレデリック様はなんとかこらえている。
フレデリック様の顔つきが変わったように思ったが、
レイニードは気にせずにフレデリック様の剣へ突きを入れる。
これも剣の手元あたりの中心をまっすぐに突きが入る。
その剣に受けた重みをそのまま身体で受けてしまい、
フレデリック様の身体が後ろに飛ぶ。
宙を舞った身体を立て直し、少しよろけたがなんとか転ばずに踏みとどまった。
その表情は驚きなのか、畏怖なのか、明らかにこわばっていた。
「いつ降参してくれてもかまいません。」
そうレイニードが涼しい声で言うと、フレデリック様の顔が真っ赤になった。
「誰が降参するか!」
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