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4章 三学年そして15歳
11.剣術大会
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剣術大会の会場は騎士科の校舎にある闘技場だ。
普段は騎士科の校舎に貴族科の学生が立ち入ることは出来無い。
年に一度の剣術大会および棒術大会の時だけ、
この騎士科の校舎にある闘技場に来ることができる。
もともと剣術大会も棒術大会も騎士科の学生のための大会だった。
この大会で上位16人に入賞できれば、王宮騎士団へ推薦される。
ほとんどが平民の騎士科にとっては、
王宮騎士団への入団試験を受けることすら難しい。
入賞者の16人はその入団試験を受けずに入団することができるため、
騎士科の学生のほとんどが参加する大会となっている。
貴族科の学生が参加することは可能だが、
騎士団への入団試験を必要としない貴族科の学生が、
わざわざこの大会に参加する意味はほとんどない。
そのため上位に入賞しても、
その資格を放棄するということで大会に出場することになる。
だが、たとえ放棄することがわかっていても、
騎士科にとって入団する気も無い貴族科に参加されることは面白くない。
貴族科の学生が参加しても、全力で騎士科の学生に潰されるため、
ここ数年で上位に入った貴族科の学生はいなかった。
もうすでに大会が始まっている闘技場に入ると、
ちょうど準決勝が終わったところだった。
勝ったのはフレデリック様で、負けた騎士科の学生がうなだれている。
第二王子が勝ったというのに、
会場から送られる拍手はまばらで、王子の人気の無さがわかる。
ただでさえ男爵令嬢をそばにい置いているだけで評判は悪かったのだが、
婚約しているエミリアを別れさせて奪おうとしていることが噂になり、
第二王子の評価は地に落ちていた。
その上、このような騎士科の大会に出てきている。
貴族科からも騎士科からも第二王子を応援するものなどいなかったのだ。
いつもフレデリック様のそばにいる学友と男爵令嬢が、
観客席の最前列に陣取って応援しているのが見えた。
その集団は周りから敬遠されているのか、遠巻きにされていた。
「この分ならフレデリック様が決勝も勝つのかしら。」
「そうだろうね。準決勝もあっという間に終わったようだ。
決勝もすぐに終わるのかもしれない。
特別観覧室の方に行って待っていよう。」
ここに来たのはジョージア様に呼ばれたからだった。
この剣術大会が終わった後、観客の学生を退出させ、
この場で手合わせする予定になっていた。
闘技場の一階にある特別観覧室は、
もとは騎士団長が騎士科の学生を見に来るためにある場所だ。
今は上位16人と決まっているが、昔はそうではなかったらしい。
騎士団長が直接試合を観に来て、認めたものだけが推薦されていたという。
その特別観覧室のドアをノックするとライニードが出迎えてくれた。
「まだ少し時間があるから、中に入って待っていて。」
「ああ。」
中に入ると、壁一面がガラス張りになっていて、闘技場が良く見えた。
決勝が間もなく始まる。フレデリック様が中央に出てくるのがわかった。
「二人とも、すまないな。
どうやらフレデリックが優勝しそうだから、終わるまで待っていてくれ。」
「わかりました。」
レイニードと二人でジョージア様が座っていた隣のソファに座る。
横並びに大きなソファが3つ並べてあり、広々としている。
座って闘技場を見ると、一瞬だけフレデリック様がこちらを見たような気がした。
「…気がついたな。」
「え?」
「今、フレデリック様と目が合った。」
決勝の勝負は一瞬で終わった。
フレデリック様と剣を合わせた騎士科の学生が、
勢いを殺せずにそのまま後ろに飛ばされ、持っていた剣を弾かれた。
くるくると剣が回り、闘技場の端の方に突き刺さったところで審判が終わりを告げる。
剣術の大会だから、剣を落としたり弾かれたら終わりなのだろう。
まったく試合にもならなかったことで、騎士科の学生たちが静まり返っている。
フレデリック様も優勝したというのに笑顔も無く、
剣を持って中央に立ったままだった。
負けた側の騎士科の学生は、もうすでに礼をして去っている。
フレデリック様が去らないのを見て、会場の学生たちが騒ぎ始めた。
その中でフレデリック様がこちらに向かって大声で叫んだ。
「出て来い、レイニード!」
普段は騎士科の校舎に貴族科の学生が立ち入ることは出来無い。
年に一度の剣術大会および棒術大会の時だけ、
この騎士科の校舎にある闘技場に来ることができる。
もともと剣術大会も棒術大会も騎士科の学生のための大会だった。
この大会で上位16人に入賞できれば、王宮騎士団へ推薦される。
ほとんどが平民の騎士科にとっては、
王宮騎士団への入団試験を受けることすら難しい。
入賞者の16人はその入団試験を受けずに入団することができるため、
騎士科の学生のほとんどが参加する大会となっている。
貴族科の学生が参加することは可能だが、
騎士団への入団試験を必要としない貴族科の学生が、
わざわざこの大会に参加する意味はほとんどない。
そのため上位に入賞しても、
その資格を放棄するということで大会に出場することになる。
だが、たとえ放棄することがわかっていても、
騎士科にとって入団する気も無い貴族科に参加されることは面白くない。
貴族科の学生が参加しても、全力で騎士科の学生に潰されるため、
ここ数年で上位に入った貴族科の学生はいなかった。
もうすでに大会が始まっている闘技場に入ると、
ちょうど準決勝が終わったところだった。
勝ったのはフレデリック様で、負けた騎士科の学生がうなだれている。
第二王子が勝ったというのに、
会場から送られる拍手はまばらで、王子の人気の無さがわかる。
ただでさえ男爵令嬢をそばにい置いているだけで評判は悪かったのだが、
婚約しているエミリアを別れさせて奪おうとしていることが噂になり、
第二王子の評価は地に落ちていた。
その上、このような騎士科の大会に出てきている。
貴族科からも騎士科からも第二王子を応援するものなどいなかったのだ。
いつもフレデリック様のそばにいる学友と男爵令嬢が、
観客席の最前列に陣取って応援しているのが見えた。
その集団は周りから敬遠されているのか、遠巻きにされていた。
「この分ならフレデリック様が決勝も勝つのかしら。」
「そうだろうね。準決勝もあっという間に終わったようだ。
決勝もすぐに終わるのかもしれない。
特別観覧室の方に行って待っていよう。」
ここに来たのはジョージア様に呼ばれたからだった。
この剣術大会が終わった後、観客の学生を退出させ、
この場で手合わせする予定になっていた。
闘技場の一階にある特別観覧室は、
もとは騎士団長が騎士科の学生を見に来るためにある場所だ。
今は上位16人と決まっているが、昔はそうではなかったらしい。
騎士団長が直接試合を観に来て、認めたものだけが推薦されていたという。
その特別観覧室のドアをノックするとライニードが出迎えてくれた。
「まだ少し時間があるから、中に入って待っていて。」
「ああ。」
中に入ると、壁一面がガラス張りになっていて、闘技場が良く見えた。
決勝が間もなく始まる。フレデリック様が中央に出てくるのがわかった。
「二人とも、すまないな。
どうやらフレデリックが優勝しそうだから、終わるまで待っていてくれ。」
「わかりました。」
レイニードと二人でジョージア様が座っていた隣のソファに座る。
横並びに大きなソファが3つ並べてあり、広々としている。
座って闘技場を見ると、一瞬だけフレデリック様がこちらを見たような気がした。
「…気がついたな。」
「え?」
「今、フレデリック様と目が合った。」
決勝の勝負は一瞬で終わった。
フレデリック様と剣を合わせた騎士科の学生が、
勢いを殺せずにそのまま後ろに飛ばされ、持っていた剣を弾かれた。
くるくると剣が回り、闘技場の端の方に突き刺さったところで審判が終わりを告げる。
剣術の大会だから、剣を落としたり弾かれたら終わりなのだろう。
まったく試合にもならなかったことで、騎士科の学生たちが静まり返っている。
フレデリック様も優勝したというのに笑顔も無く、
剣を持って中央に立ったままだった。
負けた側の騎士科の学生は、もうすでに礼をして去っている。
フレデリック様が去らないのを見て、会場の学生たちが騒ぎ始めた。
その中でフレデリック様がこちらに向かって大声で叫んだ。
「出て来い、レイニード!」
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