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4章 三学年そして15歳
8.男爵令嬢
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「あなたがエミリアさん?
私と一緒に来てくれる?」
初対面なはずなのに、名乗りもせずに、爵位が上の私にさん付け。
この時点でおかしいのに、一緒に来てくれる?え?
あまりのおかしさに答えが遅れたら、
まだ教室内に残っていた令嬢たちが一斉に男爵令嬢を攻撃し始めた。
「まぁ、エミリア様にさん付けですって!」
「あの方、名乗りもしませんでしたわ。」
「なんて礼儀知らずな方なの。信じられませんわ。」
周りの令嬢たちに攻撃され、冷たい目で見られているのに、
男爵令嬢は全く気にしているそぶりがなかった。
ただ私の返事を待っているようだ。
「あの…どなたなのか知りませんが、お断りします。」
周りの令嬢たちが私の答えを聞いて、ほらねといった顔をする。
それでも男爵令嬢は断られたのが信じられないように驚いた。
「ええ!?どうして?
フレデリック様が呼んでいるのよ?
だから一緒に来て?」
フレデリック様の名前が出たところで周りの令嬢たちは口をつぐんだ。
これ以上攻撃をしてフレデリック様に何か言われても困るのだろう。
「それでも、お断りしますわ?」
だけど、フレデリック様の名前が出ようとも、私の返事は変わらなかった。
「フレデリック様が呼んでいるのにどうして!?」
断られるとは思っていないのだろう。
大きな声になっている男爵令嬢にもわかるように、一つずつ説明をしていく。
「まず、私はあなたを知りません。
知らない相手に呼ばれてついていく令嬢はいません。
フレデリック様がと言われても、あなたが信用できないので、意味はありません。
それに、たとえそれが本当にフレデリック様が呼んでいるのだとしても、
私はお断りします。」
「私はジュリア・ニール。いつもフレデリック様と一緒にいるの。
だから、フレデリック様にエミリアさんを呼んでくるように頼まれたのよ。
どうしてついてきてくれないの?」
「なぜ、私が行かなければいけないのですか?」
「え?」
「どうして婚約者のいる私が、他の令息に呼ばれて行かなければならないのです。
そのようなふしだらな行動はできません。
呼ぶ方もおかしな話です。
何か御用があるのなら、正式に家に連絡を下さればいい話です。
そうでなければ行く理由がありません。」
これはまっとうな理由だ。
周りで聞いている令嬢たちも私の説明で頷いている。
たとえ王族が相手であろうと、
婚約者がいる令嬢が他の令息の呼び出しに応えることはありえない。
下手したら不貞を疑われてしまうようなことだ。
ここまで説明したらいくら何でもわかるだろうと思ったのに、
男爵令嬢はそうではないようだ。
「いいから、一緒に来て!」
私の腕を掴んで連れて行こうとするので、さすがに実力行使をすることにする。
男爵令嬢の手を凍らせて、さっと手を離して距離を取った。
「え?えええ!何これ!凍ってる!」
「魔術師に乱暴なことをするとは、命知らずですね…?」
そう言って微笑むと、さすがに顔色が変わった。
私が魔術師科だということを知らなかったのだろうか。
「ご存じでしょうが、魔術師は攫われる危険もあるために、
自分の身を護るための魔術を使うことを許されています。
それはここ学園でも同じです。
これ以上、私に何かするつもりなら、こちらも容赦しません。
…次は、全身を凍らせてみましょうか?」
「…っ!」
真っ青な顔になった男爵令嬢は半泣きなままで教室から出て行った。
ようやくあきらめてくれたようだ。
ほっと一息ついて、ここが教室内で他にも令嬢が残っていることを思い出した。
「みなさま、お騒がせして申し訳ありません。」
そう言って目を伏せたら、逆に令嬢たちに謝られた。
「いいえ、私たちもお助けできずに申し訳ありません。
あの令嬢はいつも第二王子様と一緒にいるので、ためらってしまったのです。」
「ええ、悪いのはどう考えてもあちらです。
エミリア様の掴まれた腕は大丈夫でしたか?」
「次からはこのようなことがないように、皆様でお守りいたしましょう?」
「そうですわ。いくらなんでもエミリア様に失礼過ぎます。」
あたたかい言葉をかけられて、思わず涙が出そうになる。
この教室の令嬢たちに魔術師としての私が受け入れられた、
そんな気持ちでいっぱいになった。
私と一緒に来てくれる?」
初対面なはずなのに、名乗りもせずに、爵位が上の私にさん付け。
この時点でおかしいのに、一緒に来てくれる?え?
あまりのおかしさに答えが遅れたら、
まだ教室内に残っていた令嬢たちが一斉に男爵令嬢を攻撃し始めた。
「まぁ、エミリア様にさん付けですって!」
「あの方、名乗りもしませんでしたわ。」
「なんて礼儀知らずな方なの。信じられませんわ。」
周りの令嬢たちに攻撃され、冷たい目で見られているのに、
男爵令嬢は全く気にしているそぶりがなかった。
ただ私の返事を待っているようだ。
「あの…どなたなのか知りませんが、お断りします。」
周りの令嬢たちが私の答えを聞いて、ほらねといった顔をする。
それでも男爵令嬢は断られたのが信じられないように驚いた。
「ええ!?どうして?
フレデリック様が呼んでいるのよ?
だから一緒に来て?」
フレデリック様の名前が出たところで周りの令嬢たちは口をつぐんだ。
これ以上攻撃をしてフレデリック様に何か言われても困るのだろう。
「それでも、お断りしますわ?」
だけど、フレデリック様の名前が出ようとも、私の返事は変わらなかった。
「フレデリック様が呼んでいるのにどうして!?」
断られるとは思っていないのだろう。
大きな声になっている男爵令嬢にもわかるように、一つずつ説明をしていく。
「まず、私はあなたを知りません。
知らない相手に呼ばれてついていく令嬢はいません。
フレデリック様がと言われても、あなたが信用できないので、意味はありません。
それに、たとえそれが本当にフレデリック様が呼んでいるのだとしても、
私はお断りします。」
「私はジュリア・ニール。いつもフレデリック様と一緒にいるの。
だから、フレデリック様にエミリアさんを呼んでくるように頼まれたのよ。
どうしてついてきてくれないの?」
「なぜ、私が行かなければいけないのですか?」
「え?」
「どうして婚約者のいる私が、他の令息に呼ばれて行かなければならないのです。
そのようなふしだらな行動はできません。
呼ぶ方もおかしな話です。
何か御用があるのなら、正式に家に連絡を下さればいい話です。
そうでなければ行く理由がありません。」
これはまっとうな理由だ。
周りで聞いている令嬢たちも私の説明で頷いている。
たとえ王族が相手であろうと、
婚約者がいる令嬢が他の令息の呼び出しに応えることはありえない。
下手したら不貞を疑われてしまうようなことだ。
ここまで説明したらいくら何でもわかるだろうと思ったのに、
男爵令嬢はそうではないようだ。
「いいから、一緒に来て!」
私の腕を掴んで連れて行こうとするので、さすがに実力行使をすることにする。
男爵令嬢の手を凍らせて、さっと手を離して距離を取った。
「え?えええ!何これ!凍ってる!」
「魔術師に乱暴なことをするとは、命知らずですね…?」
そう言って微笑むと、さすがに顔色が変わった。
私が魔術師科だということを知らなかったのだろうか。
「ご存じでしょうが、魔術師は攫われる危険もあるために、
自分の身を護るための魔術を使うことを許されています。
それはここ学園でも同じです。
これ以上、私に何かするつもりなら、こちらも容赦しません。
…次は、全身を凍らせてみましょうか?」
「…っ!」
真っ青な顔になった男爵令嬢は半泣きなままで教室から出て行った。
ようやくあきらめてくれたようだ。
ほっと一息ついて、ここが教室内で他にも令嬢が残っていることを思い出した。
「みなさま、お騒がせして申し訳ありません。」
そう言って目を伏せたら、逆に令嬢たちに謝られた。
「いいえ、私たちもお助けできずに申し訳ありません。
あの令嬢はいつも第二王子様と一緒にいるので、ためらってしまったのです。」
「ええ、悪いのはどう考えてもあちらです。
エミリア様の掴まれた腕は大丈夫でしたか?」
「次からはこのようなことがないように、皆様でお守りいたしましょう?」
「そうですわ。いくらなんでもエミリア様に失礼過ぎます。」
あたたかい言葉をかけられて、思わず涙が出そうになる。
この教室の令嬢たちに魔術師としての私が受け入れられた、
そんな気持ちでいっぱいになった。
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