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4章 三学年そして15歳
4.悩み事
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ライニードがジョージア様を連れて魔術師科の校舎まで来たのは、
次の日の授業前の時間だった。
昨日のうちにライニードから連絡があり、今日は早めに学園へと来ていた。
ジョージア様は以前の時のにこやかな顔とは違い、
まだ朝だというのに少し疲れた顔をしている。
「ライニードから聞いて驚いたよ。すまなかったね。」
「いえ、ジョージア様が謝ることでは…。」
本当に申し訳ないといった表情でジョージア様に謝られると恐縮してしまう。
それにジョージア様が悪いわけではないのに、なぜ代わりに謝るのだろう。
「ジョージア様、第二王子はどうしたのですか?
父上から騎士団で訓練している話を聞く限り、
令嬢に声をかけるような人ではないと思っていたのですが。」
以前は護衛騎士として2年以上も近くにいたレイニードは、
昨日のフレデリック様の行動が理解できないらしい。
ライニードに急いで連絡をしたのも、
何かおかしなことが起きているのではないかと思ったからだった。
「うん、そういうやつじゃなかったんだが…。
ごめんね、おかしなことになってしまって。
どうやら、フレデリックはエミリアに一目惚れしてしまったようなんだ。
初恋だそうだよ…。おかげで昨日は大変だった…。」
「一目惚れ、ですか…。大変とは?」
「どうしてもエミリアを自分の婚約者にしたいと言い出してね…。
あ、レイニード、怒らないで。そんなこと絶対にしないから!」
自分の発言で、レイニードの表情が変わったのを見たのか、慌てて否定している。
さすがに王子だからと言って、公爵家次男の婚約者を取るようなことは無理だろう。
それでも、言い出されたら周りは気を遣うだろうし、
もしかしたら家には秘密裏に打診されているかもしれない。
「わかっていると思いますが、私たちは婚約の儀式をしています。
それに、魔術師協会に所属しております。
エミリアは王族との結婚はできませんよ。」
「もちろん、俺はわかっている。
だが、それをフレデリックに言っても話を聞かなくてな…。」
「はぁ…そうですか。
どうするおつもりですか?」
「あきらめるまでしつこく説得を続けるしかない。
あと、念のためにレイニードには俺から許可を出す。
何かあったら相手がフレデリックでも容赦しなくていい。
婚約者を守ることを認める。」
「わかりました。俺がエミリアのそばを離れることはないので、
大丈夫だとは思いますが、何かあれば容赦しません。
怪我くらいなら許されると思っていいということですね?」
「ああ。あまりひどくしないように頼む。
怪我くらいは…仕方ないだろう。あいつも騎士団の一員だ。
本気で来られたら、怪我をさせずに抑えるのは無理だろうから。」
「できるかぎりエミリアには会わないようにします。」
「ああ、すまないな。二人とも…。」
「レイニード、父上と母上はレイニードとエミリアを守るって言ってた。
家のことは心配しなくていいから、エミリアをちゃんと守るんだぞ。」
「あぁ、わかった。」
忙しいだろうにこのために魔術師科の校舎まで来てくれたのかと思ったが、
どうやらアヤヒメ先輩とジングラッド先輩にも用があったらしい。
「そろそろお互いの関係をはっきりして、その上で仲良くしていこうと思ってね。
二人そろって夜会に出てもらうタイミングを相談しているんだ。」
「そうだったんですか。」
「…レイニードとエミリアも今年が夜会デビューか。
それまでにフレデリックを何とかしないとな…。」
悩みごとが増えたようで、ジョージア様は顔色を悪くして去って行った。
ライニードも困った顔をしていたから、
よほどフレデリック様の説得が大変なんだろう。
「大丈夫だよ。何があっても守るから。」
「うん。」
まだ不安そうな私を心配したのか、レイニードに抱き寄せられる。
髪を梳かすように撫でられているうちに、少しずつ不安は消えていった。
次の日の授業前の時間だった。
昨日のうちにライニードから連絡があり、今日は早めに学園へと来ていた。
ジョージア様は以前の時のにこやかな顔とは違い、
まだ朝だというのに少し疲れた顔をしている。
「ライニードから聞いて驚いたよ。すまなかったね。」
「いえ、ジョージア様が謝ることでは…。」
本当に申し訳ないといった表情でジョージア様に謝られると恐縮してしまう。
それにジョージア様が悪いわけではないのに、なぜ代わりに謝るのだろう。
「ジョージア様、第二王子はどうしたのですか?
父上から騎士団で訓練している話を聞く限り、
令嬢に声をかけるような人ではないと思っていたのですが。」
以前は護衛騎士として2年以上も近くにいたレイニードは、
昨日のフレデリック様の行動が理解できないらしい。
ライニードに急いで連絡をしたのも、
何かおかしなことが起きているのではないかと思ったからだった。
「うん、そういうやつじゃなかったんだが…。
ごめんね、おかしなことになってしまって。
どうやら、フレデリックはエミリアに一目惚れしてしまったようなんだ。
初恋だそうだよ…。おかげで昨日は大変だった…。」
「一目惚れ、ですか…。大変とは?」
「どうしてもエミリアを自分の婚約者にしたいと言い出してね…。
あ、レイニード、怒らないで。そんなこと絶対にしないから!」
自分の発言で、レイニードの表情が変わったのを見たのか、慌てて否定している。
さすがに王子だからと言って、公爵家次男の婚約者を取るようなことは無理だろう。
それでも、言い出されたら周りは気を遣うだろうし、
もしかしたら家には秘密裏に打診されているかもしれない。
「わかっていると思いますが、私たちは婚約の儀式をしています。
それに、魔術師協会に所属しております。
エミリアは王族との結婚はできませんよ。」
「もちろん、俺はわかっている。
だが、それをフレデリックに言っても話を聞かなくてな…。」
「はぁ…そうですか。
どうするおつもりですか?」
「あきらめるまでしつこく説得を続けるしかない。
あと、念のためにレイニードには俺から許可を出す。
何かあったら相手がフレデリックでも容赦しなくていい。
婚約者を守ることを認める。」
「わかりました。俺がエミリアのそばを離れることはないので、
大丈夫だとは思いますが、何かあれば容赦しません。
怪我くらいなら許されると思っていいということですね?」
「ああ。あまりひどくしないように頼む。
怪我くらいは…仕方ないだろう。あいつも騎士団の一員だ。
本気で来られたら、怪我をさせずに抑えるのは無理だろうから。」
「できるかぎりエミリアには会わないようにします。」
「ああ、すまないな。二人とも…。」
「レイニード、父上と母上はレイニードとエミリアを守るって言ってた。
家のことは心配しなくていいから、エミリアをちゃんと守るんだぞ。」
「あぁ、わかった。」
忙しいだろうにこのために魔術師科の校舎まで来てくれたのかと思ったが、
どうやらアヤヒメ先輩とジングラッド先輩にも用があったらしい。
「そろそろお互いの関係をはっきりして、その上で仲良くしていこうと思ってね。
二人そろって夜会に出てもらうタイミングを相談しているんだ。」
「そうだったんですか。」
「…レイニードとエミリアも今年が夜会デビューか。
それまでにフレデリックを何とかしないとな…。」
悩みごとが増えたようで、ジョージア様は顔色を悪くして去って行った。
ライニードも困った顔をしていたから、
よほどフレデリック様の説得が大変なんだろう。
「大丈夫だよ。何があっても守るから。」
「うん。」
まだ不安そうな私を心配したのか、レイニードに抱き寄せられる。
髪を梳かすように撫でられているうちに、少しずつ不安は消えていった。
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