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4章 三学年そして15歳
3.出会いたくない人
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貴族科の授業を受ける初日、緊張しながら教室に入ると、
教室内にいた令嬢や令息から一斉に注目される。
どうしても魔術師科のローブ姿でいれば目立ってしまう。
数人ほどお茶会で会ったことのある令嬢を見つけ、軽く会釈しておく。
レイニードも知り合いがいたようだが、特に声をかけることもなく席に座った。
六か国地理の授業が始まり教室内を見渡すと、
同じ教室には第二王子も男爵令嬢もいない。
あの二人とは違うクラスだとわかって、少しだけ安心する。
このクラスで六か国史、サウンザード史、文学史も受けることになる。
領地経営の授業は第二王子と男爵令嬢は必須授業ではないので受けない。
これなら顔を合わせることなく済みそうだと思い、
ようやく気持ちを落ち着けることができた。
午前中最後の授業まで無事に終わり、教室からでる。
午後は魔術師科のほうにいることになるので、すぐに移動しようと校舎の外に出た。
「そこの…銀の女神。」
誰かの声がして、後ろから人が来る気配を感じる。
何かと思って振り返ると、
見覚えのある人が数人の令息とこちらへと向かって来るのが見えた。
金髪に琥珀の目、長身で筋肉がついた身体、第二王子のフレデリック様だった。
「そこの君、銀の女神の君だよ!」
銀の…って銀髪のこと?
私とレイニード、どちらも銀髪だけど、女神ってことは女性…。
まさか私のことでは無いと思うけど…
そんな風に思いながら、近づいてくる第二王子には少し恐怖を感じる。
第二王子がすぐ近くまで来ると、完全に私と視線が合ってるのがわかる。
一体何の用だろう…初対面のはずなのに。
「ねぇ、銀の女神。君の名前は?」
「銀の女神…?もしかして私に聞いていますか?」
「あぁ、そうだよ。
その素晴らしい銀髪が光り輝いて、遠くからでも美しさがわかったよ。
思わず振り向かせてみれば、前から見ても美しい。
君の名前が知りたいんだ。教えてくれ。」
「…エミリア・エンドソンと申します。」
「エミリア!名前も美しいね。
これから昼食に行くのだが、君も来たまえ。」
「え?」
「あぁ、僕はフレデリック・サウンザード。第二王子だ。
遠慮しなくていいよ。さぁ行こうか。」
「あの、困ります!」
「第二王子様、そこまでにしてもらえますか?」
勢いのまま私の腕をつかんで連れて行こうとしたフレデリック様に、
レイニードがすかさず止めに入った。
フレデリック様の伸ばされた手は、レイニードが受け止めている。
そのことにイラついたのか、フレデリック様の顔が歪む。
「お前は何だ?なぜ邪魔をする。」
「レイニード・ジョランドと申します。
エミリアの婚約者です。
いくら王子でも、婚約者がいる令嬢の腕に軽々しくふれてはいけません。」
「なんだと?婚約者!?」
「それに、私たちは貴族科ではありません。
これから魔術師科に帰るところです。
昼食を一緒に取るような時間の余裕はありません。
それでは、失礼します。」
「あ、おい!」
呼び止められるのも聞かず、レイニードに肩を抱かれて歩き出す。
後ろでフレデリック様が他の令息たちに止められているのが聞こえる。
さすがに婚約者のいる令嬢に声をかけるのはまずいと思ったのだろう。
「なんだったんだ…あれは?」
「フレデリック様って、ああいう人だった?」
「…いや、令嬢に自分から声かけるようなことは無かったと思う。」
「じゃあ、なんだったの?」
「わからないけど…ライニードに言っておいた方がいいかもしれない。」
教室内にいた令嬢や令息から一斉に注目される。
どうしても魔術師科のローブ姿でいれば目立ってしまう。
数人ほどお茶会で会ったことのある令嬢を見つけ、軽く会釈しておく。
レイニードも知り合いがいたようだが、特に声をかけることもなく席に座った。
六か国地理の授業が始まり教室内を見渡すと、
同じ教室には第二王子も男爵令嬢もいない。
あの二人とは違うクラスだとわかって、少しだけ安心する。
このクラスで六か国史、サウンザード史、文学史も受けることになる。
領地経営の授業は第二王子と男爵令嬢は必須授業ではないので受けない。
これなら顔を合わせることなく済みそうだと思い、
ようやく気持ちを落ち着けることができた。
午前中最後の授業まで無事に終わり、教室からでる。
午後は魔術師科のほうにいることになるので、すぐに移動しようと校舎の外に出た。
「そこの…銀の女神。」
誰かの声がして、後ろから人が来る気配を感じる。
何かと思って振り返ると、
見覚えのある人が数人の令息とこちらへと向かって来るのが見えた。
金髪に琥珀の目、長身で筋肉がついた身体、第二王子のフレデリック様だった。
「そこの君、銀の女神の君だよ!」
銀の…って銀髪のこと?
私とレイニード、どちらも銀髪だけど、女神ってことは女性…。
まさか私のことでは無いと思うけど…
そんな風に思いながら、近づいてくる第二王子には少し恐怖を感じる。
第二王子がすぐ近くまで来ると、完全に私と視線が合ってるのがわかる。
一体何の用だろう…初対面のはずなのに。
「ねぇ、銀の女神。君の名前は?」
「銀の女神…?もしかして私に聞いていますか?」
「あぁ、そうだよ。
その素晴らしい銀髪が光り輝いて、遠くからでも美しさがわかったよ。
思わず振り向かせてみれば、前から見ても美しい。
君の名前が知りたいんだ。教えてくれ。」
「…エミリア・エンドソンと申します。」
「エミリア!名前も美しいね。
これから昼食に行くのだが、君も来たまえ。」
「え?」
「あぁ、僕はフレデリック・サウンザード。第二王子だ。
遠慮しなくていいよ。さぁ行こうか。」
「あの、困ります!」
「第二王子様、そこまでにしてもらえますか?」
勢いのまま私の腕をつかんで連れて行こうとしたフレデリック様に、
レイニードがすかさず止めに入った。
フレデリック様の伸ばされた手は、レイニードが受け止めている。
そのことにイラついたのか、フレデリック様の顔が歪む。
「お前は何だ?なぜ邪魔をする。」
「レイニード・ジョランドと申します。
エミリアの婚約者です。
いくら王子でも、婚約者がいる令嬢の腕に軽々しくふれてはいけません。」
「なんだと?婚約者!?」
「それに、私たちは貴族科ではありません。
これから魔術師科に帰るところです。
昼食を一緒に取るような時間の余裕はありません。
それでは、失礼します。」
「あ、おい!」
呼び止められるのも聞かず、レイニードに肩を抱かれて歩き出す。
後ろでフレデリック様が他の令息たちに止められているのが聞こえる。
さすがに婚約者のいる令嬢に声をかけるのはまずいと思ったのだろう。
「なんだったんだ…あれは?」
「フレデリック様って、ああいう人だった?」
「…いや、令嬢に自分から声かけるようなことは無かったと思う。」
「じゃあ、なんだったの?」
「わからないけど…ライニードに言っておいた方がいいかもしれない。」
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