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3章 魔術師科二階の学年
13.修行
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突然現れたエミリアの祖父に連れられて修練場の中に入ったが、
これほどまでにこの修練場がすごいとは知らなかった。
いつもは修練場の中で一人で素振りしたり、型を練習して終わっていた。
一人で出来ることは限られている。
騎士団の時の訓練と違い、基本的なものだけだった。
エミーレ様の作った修練場。
本来は剣ではなく魔術を訓練するために作られた施設。
それを実感するものだった。
「こういう使い方をしたことはないだろう。」
「…はい。」
「ここは魔術を練習する場所だけではない。
魔術を利用して、戦う想定の場を作ることもできる。」
その言葉通り、今俺の目の前には土で作られた騎士や騎馬が立っている。
土で作られているはずなのに、その身体は柔軟に動き、剣をこちらに向けて動く。
各騎士、各騎馬が違う動きをしてくるので、対応するのが難しい。
なんとか剣で対抗していると、後ろからも魔術が飛んでくる。
振り向くとジョセフ様が俺に向かって魔力封じをこめた刃を飛ばしていた。
これにぶつかってしまうと、一時的に魔力を失うものだ。
通常の魔術師なら一枚飛ばすのがやっとなはずの風刃を、
ただの風を操るように数十枚の刃を同時に飛ばしてくる。
剣で切ると効果は無くなるようだが、前からの騎士を倒しつつ、
後ろから来る刃を切るのは至難の業だった。
エンドソン家が魔術師の名門だとは知っていたが、
ジョセフ様がここまで攻撃魔術に特化した魔術師だとは思わなかった。
「ほら。攻撃が前からとは限らないぞ。
後ろからだって攻撃は飛んでくる。」
「はい!」
「お前は騎士なのか、魔術師なのか、どっちなんだ!」
「魔術師です!」
「じゃあ、何で生身の剣で戦おうとしているんだ。
せめて魔力をまとえ。
剣と身体に魔力を乗せて防御し、剣から魔術を発動させながら切れ。」
「ええ!?」
魔力を剣にまとわせろ?身体を防御するのはわかるけど、剣にも防御?
しかも防御しつつ、剣先から魔術を発動させる?
悩んでいる間も土騎士から切りつけられるし、
土騎馬が斜め前から体当たりしてこようとしている。
「遅い!早くしろ!」
「はいっ!」
何とか剣先から出た炎は騎士をかすめただけで当たらなかった。
そのまま炎が壁にあたったが吸収されて一瞬で消えていくのを見て、
この修練場は失敗しても大丈夫な場所だったことを思い出す。
…そうか。俺とジョセフ様しかいない。ジョセフ様なら簡単に避けるはずだ。
思いきりぶつけてもいいのか。
制御しなければ暴発しそうになるほどの魔力量を持て余し、
全力で発動させることは無かった。
学園には広い練習場は無いし、エミリアにケガをさせる心配もあった。
そのため、剣の練習ばかりしていたが…俺は魔術師だった。
「…制御、外します。」
そう言うとジョセフ様がにやりと笑うのがわかった。
宣言するのとほぼ同時に剣に炎をまとわせたうえで風を起こす。
修練場の土騎士と土騎馬を一気に燃え上がらせると、無数の風刃で粉々に切り壊す。
結界を張った中でボロボロになって崩れていくのを見てほっとするが、
次の瞬間、今度は鉛色の騎士と騎馬が次々と立ち上がる。
「一段階目は突破したな。さぁ、次はどうする。」
どうやら…まだまだ修行は序の口だったようだ。
長丁場になりそうな予感を胸に、剣を握り直した。
これほどまでにこの修練場がすごいとは知らなかった。
いつもは修練場の中で一人で素振りしたり、型を練習して終わっていた。
一人で出来ることは限られている。
騎士団の時の訓練と違い、基本的なものだけだった。
エミーレ様の作った修練場。
本来は剣ではなく魔術を訓練するために作られた施設。
それを実感するものだった。
「こういう使い方をしたことはないだろう。」
「…はい。」
「ここは魔術を練習する場所だけではない。
魔術を利用して、戦う想定の場を作ることもできる。」
その言葉通り、今俺の目の前には土で作られた騎士や騎馬が立っている。
土で作られているはずなのに、その身体は柔軟に動き、剣をこちらに向けて動く。
各騎士、各騎馬が違う動きをしてくるので、対応するのが難しい。
なんとか剣で対抗していると、後ろからも魔術が飛んでくる。
振り向くとジョセフ様が俺に向かって魔力封じをこめた刃を飛ばしていた。
これにぶつかってしまうと、一時的に魔力を失うものだ。
通常の魔術師なら一枚飛ばすのがやっとなはずの風刃を、
ただの風を操るように数十枚の刃を同時に飛ばしてくる。
剣で切ると効果は無くなるようだが、前からの騎士を倒しつつ、
後ろから来る刃を切るのは至難の業だった。
エンドソン家が魔術師の名門だとは知っていたが、
ジョセフ様がここまで攻撃魔術に特化した魔術師だとは思わなかった。
「ほら。攻撃が前からとは限らないぞ。
後ろからだって攻撃は飛んでくる。」
「はい!」
「お前は騎士なのか、魔術師なのか、どっちなんだ!」
「魔術師です!」
「じゃあ、何で生身の剣で戦おうとしているんだ。
せめて魔力をまとえ。
剣と身体に魔力を乗せて防御し、剣から魔術を発動させながら切れ。」
「ええ!?」
魔力を剣にまとわせろ?身体を防御するのはわかるけど、剣にも防御?
しかも防御しつつ、剣先から魔術を発動させる?
悩んでいる間も土騎士から切りつけられるし、
土騎馬が斜め前から体当たりしてこようとしている。
「遅い!早くしろ!」
「はいっ!」
何とか剣先から出た炎は騎士をかすめただけで当たらなかった。
そのまま炎が壁にあたったが吸収されて一瞬で消えていくのを見て、
この修練場は失敗しても大丈夫な場所だったことを思い出す。
…そうか。俺とジョセフ様しかいない。ジョセフ様なら簡単に避けるはずだ。
思いきりぶつけてもいいのか。
制御しなければ暴発しそうになるほどの魔力量を持て余し、
全力で発動させることは無かった。
学園には広い練習場は無いし、エミリアにケガをさせる心配もあった。
そのため、剣の練習ばかりしていたが…俺は魔術師だった。
「…制御、外します。」
そう言うとジョセフ様がにやりと笑うのがわかった。
宣言するのとほぼ同時に剣に炎をまとわせたうえで風を起こす。
修練場の土騎士と土騎馬を一気に燃え上がらせると、無数の風刃で粉々に切り壊す。
結界を張った中でボロボロになって崩れていくのを見てほっとするが、
次の瞬間、今度は鉛色の騎士と騎馬が次々と立ち上がる。
「一段階目は突破したな。さぁ、次はどうする。」
どうやら…まだまだ修行は序の口だったようだ。
長丁場になりそうな予感を胸に、剣を握り直した。
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