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2章 学園編

11.ミーアの思い

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「ごめんなさいっ!遅れちゃいましたぁ!」

怒られる前に謝ってしまおう。
そうしたら、そんなに怒られないはずだから。
もう何度も家庭教師の先生たちに怒られ過ぎて、
怒られるのにも慣れてしまった。

そう思いながら教室に飛び込んだ先に、王子様がいた。

銀色の髪を後ろで結んだ、青く光る切れ長の目が綺麗な…王子様。
姿勢よく座る姿が気品あふれていて、王子様にしか見えなかった。
でも魔術師科に貴族はいないはず。
だから、王子様に見えても身分は変わらないから、大丈夫。
私が声かけたら、きっと喜んでくれるよね。


話しかけたら、その隣に女の子がいるのに気が付いた。
同じような銀色の髪がキラキラしている。
王子様と同じ髪の色だなんてイラつく。
もしかして、親族なのかもしれない。
魔術師は遺伝することが多いから親族であることも多いって聞いた。
王子様に隠れるようにいた女の子が、
まるで王子様に守られているようでますますイラついてしまう。
親族だからって親に頼まれているのかもしれないけど、なれなれしいんじゃない?
王子様にそんな風に頼りきりなのは良くない。
…私が解放してあげなくちゃ。

そう思ってたのに、二人でどこかに行ってしまった。

その後ろの白髪の男の子も、王子様ほどじゃないけどかっこよかった。
でも、その隣には同じ白髪の女の子がいるのがわかって、この子もかと思った。
親族だからって頼りすぎるのは良くないと思う。
そんな風にその男の子に言ったら、同意してくれると思ったのに、
俺たちには話しかけるなと言われ、その二人もどこかに行ってしまった。


もうなんなの?
親族の男の子に頼ってるような子が魔術師になれるの?
魔術師になるのって大変なんでしょう?

せっかく、この魔術師科で一番のお金持ちの私が話しかけてあげているのに。
男の子たちだって、お金持ちと結婚したいはずよ。
どうして邪魔するのだろう…もしかして嫉妬されている?
だから私が男の子たちと話すのを邪魔するの?
だけど、そんなことで男の子たちの未来を縛るのは良くないわ。

なんとか助けてあげなきゃ。
王子様も白髪の男の子も。
このクラスには男の子は二人しかいないみたいだもの。
女の子たちも、男の子に頼らないで頑張れるようにしないとね。


そう思ってたのに…なんなの?4人とも。
魔術書って、公式語が全部できてないと読めないんじゃないの?
おかしい…あの家庭教師が間違ったことを教えたの?
もしかしてファラー語が出来たら、読めるんじゃないの?

そうじゃなかったら、王子様はともかく、
あのエミリアって子はどうして魔術書を読んでいるの?
あと二冊だけって、どう考えてもおかしいもの!
何かズルしてるに違いない…絶対に認めたりしないんだから!





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