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21.毒なのは
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応接室に着くと、そこには誰もいなかった。
護衛が各場所に配置されているはずなのに、誰もいない。
いつもなら応接室か執務室にいる時間なのに、執事すらいなかった。
いったい、何が起きているというのだろう。
どこにお母様がいるのかと屋敷内を順に探していくと、
屋敷の奥の方に人の気配がした。お父様とお母様の私室があるあたりだった。
近付くと、そこはお母様の私室で、中から何かが暴れている音が聞こえた。
ノックもせずにドアを開けると、
ソファに座るお母様に叔母様が馬乗りになっていた。
叔母様は何かをお母様の口に押し付けて、無理やり食べさせようとしている。
「何しているの!?やめて!」
私が叫んだ声に反応してこちらを向いた叔母様を、
レイニードが勢いよく体当たりしてお母様の上から横に飛ばした。
転がるように飛ばされた叔母様が見えたが、そのすきにお母様に駆け寄る。
口の周りに何か食べ物のかすのようなものが見える。
お母様はそれを手で払って、口から出そうとしている。
「お母様!何か口に入れられましたか!?」
「エミリア、義母上の口を水で漱がせるんだ!早く!」
「っ!お母様!こちらに!」
部屋の奥にある浴室まで連れて行き、洗面台のコップで口を漱がせる。
何度か口を漱ぐと、ようやくお母様は落ち着いたようだった。
「…ありがとう。何か焼き菓子のようなものを口に入れられて…。
抵抗しようとしたのだけど、力で敵わなくて…。
飲み込まないようにするので精一杯だったわ。
二人が来てくれて良かった…。」
「お母様…一応鑑定して治癒かけます。
少しじっとしていてください。」
覚えたばかりの上級薬物鑑定をかけると、お母様の口の周りに毒物は出なかった。
口の中にあった焼き菓子はすべて洗い流せたようだ。
そのことに安心はしたけど、少しでも体内に入っていたらと思うと安心はできない。
気休め程度だけど、初級治癒をかけておいた。
お母様を連れて浴室から出ると、叔母様が後ろ手で縛られていた。
部屋に戻った私たちを見て、憎々しげに睨みつけてくる。
レイニードが呼んだのか、護衛も部屋の中に入って、叔母様を押さえつけていた。
「…叔母様、どうしてこんなことを?」
「…ちょっと嫌がらせしただけじゃない。
お姉様が私の作った焼き菓子を食べないっていうから。
無理矢理食べさせたのは悪かったけど、こんな縛ることないじゃない!」
「…この焼き菓子に毒は?」
「毒なんてないわ!調べてもいいわよ!」
テーブルの上に置きっぱなしになっている焼き菓子を見ると、手作りのようだ。
その一つを手に取り、手のひらに乗せる。
成分の組み合わせまで検証する時間はない…。
叔母様のこの態度からすると、単純な毒ではないだろう。
上級薬物鑑定をかけると、
焼き菓子に入っていた材料がすべて頭の中に浮かんでくる。
確かに毒は無い…けれど、一つだけ引っかかるものがあった。
「雪蜂の蜜…?」
どうしてこんな高級食材が?普通の砂糖じゃなくて、わざわざ高級食材を使う?
そう思ってつぶやいたら、叔母様の身体がびくっと跳ねた。
これが毒になる…?
「…エミリア、それだ!それが毒だったんだ!」
「え?どういうこと?」
護衛が各場所に配置されているはずなのに、誰もいない。
いつもなら応接室か執務室にいる時間なのに、執事すらいなかった。
いったい、何が起きているというのだろう。
どこにお母様がいるのかと屋敷内を順に探していくと、
屋敷の奥の方に人の気配がした。お父様とお母様の私室があるあたりだった。
近付くと、そこはお母様の私室で、中から何かが暴れている音が聞こえた。
ノックもせずにドアを開けると、
ソファに座るお母様に叔母様が馬乗りになっていた。
叔母様は何かをお母様の口に押し付けて、無理やり食べさせようとしている。
「何しているの!?やめて!」
私が叫んだ声に反応してこちらを向いた叔母様を、
レイニードが勢いよく体当たりしてお母様の上から横に飛ばした。
転がるように飛ばされた叔母様が見えたが、そのすきにお母様に駆け寄る。
口の周りに何か食べ物のかすのようなものが見える。
お母様はそれを手で払って、口から出そうとしている。
「お母様!何か口に入れられましたか!?」
「エミリア、義母上の口を水で漱がせるんだ!早く!」
「っ!お母様!こちらに!」
部屋の奥にある浴室まで連れて行き、洗面台のコップで口を漱がせる。
何度か口を漱ぐと、ようやくお母様は落ち着いたようだった。
「…ありがとう。何か焼き菓子のようなものを口に入れられて…。
抵抗しようとしたのだけど、力で敵わなくて…。
飲み込まないようにするので精一杯だったわ。
二人が来てくれて良かった…。」
「お母様…一応鑑定して治癒かけます。
少しじっとしていてください。」
覚えたばかりの上級薬物鑑定をかけると、お母様の口の周りに毒物は出なかった。
口の中にあった焼き菓子はすべて洗い流せたようだ。
そのことに安心はしたけど、少しでも体内に入っていたらと思うと安心はできない。
気休め程度だけど、初級治癒をかけておいた。
お母様を連れて浴室から出ると、叔母様が後ろ手で縛られていた。
部屋に戻った私たちを見て、憎々しげに睨みつけてくる。
レイニードが呼んだのか、護衛も部屋の中に入って、叔母様を押さえつけていた。
「…叔母様、どうしてこんなことを?」
「…ちょっと嫌がらせしただけじゃない。
お姉様が私の作った焼き菓子を食べないっていうから。
無理矢理食べさせたのは悪かったけど、こんな縛ることないじゃない!」
「…この焼き菓子に毒は?」
「毒なんてないわ!調べてもいいわよ!」
テーブルの上に置きっぱなしになっている焼き菓子を見ると、手作りのようだ。
その一つを手に取り、手のひらに乗せる。
成分の組み合わせまで検証する時間はない…。
叔母様のこの態度からすると、単純な毒ではないだろう。
上級薬物鑑定をかけると、
焼き菓子に入っていた材料がすべて頭の中に浮かんでくる。
確かに毒は無い…けれど、一つだけ引っかかるものがあった。
「雪蜂の蜜…?」
どうしてこんな高級食材が?普通の砂糖じゃなくて、わざわざ高級食材を使う?
そう思ってつぶやいたら、叔母様の身体がびくっと跳ねた。
これが毒になる…?
「…エミリア、それだ!それが毒だったんだ!」
「え?どういうこと?」
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