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20.騙されているのは誰
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外から呼びかけられ、レイニードの顔色が変わった。
「騎士団のヨルダさんの声だ…どうしてここに。」
「呼ばれているよ?」
「ああ…。」
扉を開けて廊下に出ると、そこには騎士服を着た男性二人とエリザベスがいた。
黒とこげ茶色の髪の男性は…髪色から判断すると平民か下級貴族に見える。
どちらも怖い表情で、なぜか私が目を合わせるとにらまれてしまった。
いかにも騎士といった感じのたくましい男性の後ろから、
半分身体を隠すようにしてエリザベスの顔がのぞいている。
その顔はニヤニヤして、これから起きることが楽しみというような顔だった。
エリザベスがまた来ている?
もしかして叔母様も?
…護衛は付いているはずだけど、お母様が危ない。
そう思ってレイニードを見ると、レイニードも同じことに気が付いたようで、
小声で「早く会話を終わらせる」とつぶやいた。
「ヨルダさん、フィガさん、何か用ですか?」
「レイニード、お前騎士団に入らないなんて嘘だよな?」
「そうだよ、あんなに毎日訓練に参加してたじゃないか!」
「…それについては申し訳ないと思いますが、
俺はもう騎士にならないと決めました。
無いと思ってた魔力があったんです。
魔術師になろうと思ってるので、応援してもらえませんか?」
レイニードがそうはっきりと答えたのに、騎士たちは顔を見合わせた。
「やっぱり…その女に何か言わされているんだな?」
「は?」
「騙されてるんだ!お前がそんなことを言うわけがない!
あんなに騎士になりたいって言ってたのに!
その女にいろいろと吹き込まれたんだろう!?」
騎士たちの後ろでくすっと笑ったエリザベスを見て、あぁと思う。
エリザベスがこの騎士たちに何か言ったんだ。
おそらくレイニードが騎士にならないのは私のせいだとか…。
いや、でもそれは間違いじゃない。
私のせいで騎士にならないと決めたのは本当だから。
庇うように前に立つレイニードの後ろ姿しか見えなくて、
不安でレイニードの服をぎゅっと握ってしまう。
それに気が付いたのか、振り向いたレイニードが私に微笑みかけて、
手をつないでくれた。
「ヨルダさん、フィガさん、それ間違ってますよ。
どうせ、後ろの女にいいかげんなことを言われたのでしょう。
その女は侯爵家に出入り禁止にされている者です。
そのことを考えても、信用できるような者じゃないのはわかるでしょう?
勝手に引き入れたとなれば、処罰は免れない。
…残念ですが、もう騎士でいられるかもわかりませんね…。」
「なっ!俺は…お前が心配で!」
「そうだぞ!俺たちはお前が心配だからこうして!」
「その結果、侯爵が出入りを禁じた者を屋敷内に引き入れるとは。
修練場を借りている貴族の屋敷に、
危険な者を近づけることがどういうことかはわかるでしょう?
騎士としてどうなんですか?
許可なくここまで連れて来ているんですよね?
…父上に報告はしますよ。」
「待て!そんなことしたら、俺たちはどうなるんだ!」
「レイニード、俺たちを見捨てる気かよ!」
「はぁぁ。
見捨てるも何も、俺が騎士にならないのは俺と父上が決めたこと。
それを勝手に騙されたなんだと…侯爵令嬢に向かってその女呼ばわり。
俺の大事な人に向かって何を言ったかわかっているんですか?
あげくに身分もない女を許可なく侯爵家に引き入れたとなれば
…処罰は仕方ないでしょう。自業自得です。」
「そんな…。」
「処罰が軽くなるように、せめてその女を捕縛しておいた方がいいですよ。
逃がしたら、退団になるのは間違いないでしょうから。」
「え?私?…嘘っ。」
とっさに中庭に走って逃げたエリザベスをうちの護衛が追いかけていく。
その後ろを騎士の二人も必死になって追いかけて行った。
「よし、今のうちに行こう。義母上が危ない!」
「ええ!」
「騎士団のヨルダさんの声だ…どうしてここに。」
「呼ばれているよ?」
「ああ…。」
扉を開けて廊下に出ると、そこには騎士服を着た男性二人とエリザベスがいた。
黒とこげ茶色の髪の男性は…髪色から判断すると平民か下級貴族に見える。
どちらも怖い表情で、なぜか私が目を合わせるとにらまれてしまった。
いかにも騎士といった感じのたくましい男性の後ろから、
半分身体を隠すようにしてエリザベスの顔がのぞいている。
その顔はニヤニヤして、これから起きることが楽しみというような顔だった。
エリザベスがまた来ている?
もしかして叔母様も?
…護衛は付いているはずだけど、お母様が危ない。
そう思ってレイニードを見ると、レイニードも同じことに気が付いたようで、
小声で「早く会話を終わらせる」とつぶやいた。
「ヨルダさん、フィガさん、何か用ですか?」
「レイニード、お前騎士団に入らないなんて嘘だよな?」
「そうだよ、あんなに毎日訓練に参加してたじゃないか!」
「…それについては申し訳ないと思いますが、
俺はもう騎士にならないと決めました。
無いと思ってた魔力があったんです。
魔術師になろうと思ってるので、応援してもらえませんか?」
レイニードがそうはっきりと答えたのに、騎士たちは顔を見合わせた。
「やっぱり…その女に何か言わされているんだな?」
「は?」
「騙されてるんだ!お前がそんなことを言うわけがない!
あんなに騎士になりたいって言ってたのに!
その女にいろいろと吹き込まれたんだろう!?」
騎士たちの後ろでくすっと笑ったエリザベスを見て、あぁと思う。
エリザベスがこの騎士たちに何か言ったんだ。
おそらくレイニードが騎士にならないのは私のせいだとか…。
いや、でもそれは間違いじゃない。
私のせいで騎士にならないと決めたのは本当だから。
庇うように前に立つレイニードの後ろ姿しか見えなくて、
不安でレイニードの服をぎゅっと握ってしまう。
それに気が付いたのか、振り向いたレイニードが私に微笑みかけて、
手をつないでくれた。
「ヨルダさん、フィガさん、それ間違ってますよ。
どうせ、後ろの女にいいかげんなことを言われたのでしょう。
その女は侯爵家に出入り禁止にされている者です。
そのことを考えても、信用できるような者じゃないのはわかるでしょう?
勝手に引き入れたとなれば、処罰は免れない。
…残念ですが、もう騎士でいられるかもわかりませんね…。」
「なっ!俺は…お前が心配で!」
「そうだぞ!俺たちはお前が心配だからこうして!」
「その結果、侯爵が出入りを禁じた者を屋敷内に引き入れるとは。
修練場を借りている貴族の屋敷に、
危険な者を近づけることがどういうことかはわかるでしょう?
騎士としてどうなんですか?
許可なくここまで連れて来ているんですよね?
…父上に報告はしますよ。」
「待て!そんなことしたら、俺たちはどうなるんだ!」
「レイニード、俺たちを見捨てる気かよ!」
「はぁぁ。
見捨てるも何も、俺が騎士にならないのは俺と父上が決めたこと。
それを勝手に騙されたなんだと…侯爵令嬢に向かってその女呼ばわり。
俺の大事な人に向かって何を言ったかわかっているんですか?
あげくに身分もない女を許可なく侯爵家に引き入れたとなれば
…処罰は仕方ないでしょう。自業自得です。」
「そんな…。」
「処罰が軽くなるように、せめてその女を捕縛しておいた方がいいですよ。
逃がしたら、退団になるのは間違いないでしょうから。」
「え?私?…嘘っ。」
とっさに中庭に走って逃げたエリザベスをうちの護衛が追いかけていく。
その後ろを騎士の二人も必死になって追いかけて行った。
「よし、今のうちに行こう。義母上が危ない!」
「ええ!」
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