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26.嫌な思い

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ちょうど話が終わるころ、ジルが戻って来たけれど、厳しい表情をしている。
何か問題でも起きたのだろうか?


「どうしたの、ジル?使者の話で何かあった?」

「うん。一応の報告として、
 シャハルたちは一週間の謹慎処分で済ませて学園に戻している。
 もちろん、あんなことがもう無いようにリアには近づけない誓約魔術をさせてある。
 それで学園に戻したのはいいんだけど、リア…落ち着いて聞いて?」

「はい?」

「リアの義妹が学園に来ているそうだ。」

「…え?」

カミーラが学園に来ている?どうして?
せっかくレミアスからカルヴァインに来て、
あんなことはあったけどジルと向き合おうと思って、
これからのことを考えようとしているのに、また邪魔されるの?
どうして?どこに行っても逃げられないって言うの?

「リア、落ち着いて。大丈夫、大丈夫だよ。」

レミアスにいた頃の暗い気持ちが一気に押し寄せて、目の前が見えなくなる。
ソファに座っているはずなのに、自分の位置が定まらない。
倒れそうになるのをジルが抱き寄せ、頬に手を当て目を合わせようとしてくる。
ジルの声が遠い。何度も呼びかけられるけれど、声がうまく出せない。

「大丈夫だよ。何があっても守る。俺はリアの側にいるよ。」

「…ジル。離さないで?」

「ああ。リアから離れることはないよ。だから、不安があるなら全部話して。」

「…怖いの。カルヴァインで新しい生活を始めようとしているのに、
 またすべてをぐちゃぐちゃにされてしまうんじゃないかって。
 ジルも友達もいない生活に戻ってしまったら、私どうしていいのかわからない。」

たくさんの人が周りにいるのに、あんなに人が多い学園だったのに、
私の周りには誰もいなかった。
話しかけてくるのはカミーラの取り巻きの嫌がらせだけ。
大事なものを作ってもすぐに壊される。何をしても無駄だった頃に戻りたくない。

「俺が離れることはないよ。リア、ちゃんと俺を見て。
 信じてくれないか?俺が好きなのはリアだよ。
 絶対に離れることなんて無いよ。」

落ち着いた紫の目が少しだけ不安げに揺れる。
これはジルの気持ちを疑った私のせい?悲しい思いをさせた?

「ごめんなさい。強くなりたいのに、また怖くなってしまって。」

「いいよ。不安があればいくらでも言って?
 その度に俺がそばにいるって伝えるから。ね?」

「うん。ありがとう。…ねぇ、カミーラはなぜ学園にいるの?」

「それがわからないんだ。レミアスにも問い合わせたんだが、
 向こうでは行方不明扱いだったらしい。
 すぐに迎えに来るそうだが、数日はかかってしまうだろう。
 明後日からは俺たちも学園に行くし、もしかしたら会うかもしれないが…。
 どうする?」

「…もし会うことがあれば話してみるわ。でも、ジルは近寄らないでくれる?
 疑ってるわけじゃないの。でも、話させたくないの…。」

「わかった。でも、危険があればすぐに引き離すからね?」

「ええ。ありがとう。」





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