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24.罠と怒り
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「リディ様が番契約するまでの間でいいの。
ルーク様を共有させてほしいのよ」
「は?……共有?」
「ええ、そうよ。ルーク様は竜人だもの。
愛人を持つことは許されているはず。
リディ様だって、ルーク様に我慢させるのは嫌でしょう?」
「我慢ってどういうこと?」
「だって、リディ様が成人するまで何年もあるでしょう?
それまで番契約もせず、結婚もできない。
身体をお慰めするものが必要でしょう?
それを私に任せてほしいのよ」
「身体を慰める……」
意味はわかる。たとえば、王族の婚約者で年齢差があった場合、
妃を娶るまでの間、愛妾を置いておくことは婚約を維持するためにも必要なことだ。
だけど、ルークに必要って……
その理由に気がついて、怒りで身体が震えそうになる。
「ね、悪い話じゃないでしょう?
私はリディ様がルーク様と番契約する時は、
きっぱり別れて子どもと一緒に国に帰るから。
竜人と結婚できなくても、竜人との子がいるだけでも違うのよ」
「コリンヌ様、それは無理な話だわ」
「どうして?」
にやりと笑うコリンヌ様にわかってて言ってるのだと気がついた。
この人、本音で話してない。
子どもができればいいなんて、少しも思ってないんだ。
「私はコリンヌ様と同じ十八歳よ」
「でも、結婚は数年待つと聞いたわ」
「成人するのを待っているわけじゃないわ」
いや、竜化するのを待っているのだから、
成人するのを待っているのと変わらないかも。
だからといって、それをコリンヌ様に説明することはない。
「どっちでもいいわ。
その数年間、共有させてくれればいいのよ」
「断るわ」
「わがままなのね」
「わがままでもいいわ。
ルークが他の女性はいらないと言ってるのだから」
「そこをうまく宥めるのがあなたの仕事じゃない」
「そんなことをする気はないわ」
なぜルークが嫌がっているのに、
わざわざ愛人を作るように説得しなければいけないのか。
それも面倒なコリンヌ様を愛人にするなんて。
「私を愛人にすれば、オリアン国からの支援が受けられるわよ。
ルーク様の出世のために役に立つじゃない」
「ルークはそんなこと望んでいないわ。
それに、竜王様はそんなことで出世させたりしない」
「そんなこと、あなたにはわからないでしょう」
「わかるわよ。私は側近なんだから」
同盟国や属国とのつきあいが面倒だと言っている竜王様は、
同盟国の支援だなんて望んでいないはず。
むしろ、そんなことをすればルークを叱るんじゃないだろうか。
「どうしても嫌だと言うの?」
「嫌よ」
「そう……残念だわ。あなたが悪いのよ?」
「何をする気なの」
コリンヌ様が侍女に目くばせしたと思ったら、
ソファに押しつけられるように侍女二人に抑え込まれる。
魔術が使える状態ならなんとでもなるけれど、
今は魔術を使わないようにと言われている。
同じ女性でも二人に抑えられたら身動きできない。
「ねぇ。ルーク様に会いたくなくなるようにしてあげる。
顔をぐちゃぐちゃにされるのと、身体を汚されるのどっちがいい?」
「……どっちも嫌よ」
「あら、まだ強がっていられるのね。
じゃあ、どっちもにしてあげる」
どこに隠れていたのか、部屋の中に三人の男たちが現れる。
貴族令息のような服装だが、下卑た笑いを浮かべて近づいてくる。
「コリンヌ様、顔を溶かすのは後でにしてくださいよ」
「そうですよ。さすがに顔のない女を抱くのはキツイです」
「それもそうね。隣の部屋を使ってちょうだい。
もう二度とルーク様に会えないように、徹底的に汚してやって」
「ふふふ。わかってますよ」
侍女が手を離したと思ったら、男に腕を掴まれる。
そのまま部屋の外に引きずっていかれ、
男がドアを開けようとした時、騎士たちがなだれ込んでくる。
「な!?」
「リディ様の手を離せ!」
すぐさま騎士が男の腕に切りつけ、私の前に立ちはだかる。
すかさず、違う騎士が私を保護してくれた。
「なんなの!?騎士なんて呼んでないわよ!」
「私が連れてきたのよ。会話も全部聞いてもらったわ。
騎士たち、この部屋にいる者、全員貴族牢に連れて行って」
「「「「はっ!」」」」
「嫌よ!離しなさい!」
「コリンヌ様!?」
屈強な騎士たちに追いかけられ、コリンヌ様と侍女たち、
忍び込んでいた男三人はすぐに捕まった。
あまりにもうるさいものだから、全員の口に布を巻いてもらう。
「一人ずつ、貴族牢に入れてちょうだい。
あとで一人ずつ取り調べすることになるから会話させないで」
「わかりました」
縛られても抵抗しているコリンヌ様を騎士が担ぐようにして連れて行く。
それと入れ違うようにして、ルークが部屋に入ってきた。
「リディ!」
「あ、ルーク。早かったね」
ルークには置手紙を残してきた。
コリンヌ様に一人で来るようにと呼び出されたけれど、
罠だと思うからこっそり騎士たちを連れて行くと。
「無事なのか!?」
「うん、コリンヌ様は私の顔を薬品で溶かすか、
男たちに襲わせようとしてたみた…え?」
説明の途中で無表情になったルークに抱きかかえられる。
「お前たち、あとは任せたぞ」
「「「「はい!」」」」
なぜか怒っているルークにそのまま連れ出され、本宮へと戻る。
執務室に戻るのかと思いきや、そこは知らない部屋だった。
「ルーク……ここどこ?」
ルーク様を共有させてほしいのよ」
「は?……共有?」
「ええ、そうよ。ルーク様は竜人だもの。
愛人を持つことは許されているはず。
リディ様だって、ルーク様に我慢させるのは嫌でしょう?」
「我慢ってどういうこと?」
「だって、リディ様が成人するまで何年もあるでしょう?
それまで番契約もせず、結婚もできない。
身体をお慰めするものが必要でしょう?
それを私に任せてほしいのよ」
「身体を慰める……」
意味はわかる。たとえば、王族の婚約者で年齢差があった場合、
妃を娶るまでの間、愛妾を置いておくことは婚約を維持するためにも必要なことだ。
だけど、ルークに必要って……
その理由に気がついて、怒りで身体が震えそうになる。
「ね、悪い話じゃないでしょう?
私はリディ様がルーク様と番契約する時は、
きっぱり別れて子どもと一緒に国に帰るから。
竜人と結婚できなくても、竜人との子がいるだけでも違うのよ」
「コリンヌ様、それは無理な話だわ」
「どうして?」
にやりと笑うコリンヌ様にわかってて言ってるのだと気がついた。
この人、本音で話してない。
子どもができればいいなんて、少しも思ってないんだ。
「私はコリンヌ様と同じ十八歳よ」
「でも、結婚は数年待つと聞いたわ」
「成人するのを待っているわけじゃないわ」
いや、竜化するのを待っているのだから、
成人するのを待っているのと変わらないかも。
だからといって、それをコリンヌ様に説明することはない。
「どっちでもいいわ。
その数年間、共有させてくれればいいのよ」
「断るわ」
「わがままなのね」
「わがままでもいいわ。
ルークが他の女性はいらないと言ってるのだから」
「そこをうまく宥めるのがあなたの仕事じゃない」
「そんなことをする気はないわ」
なぜルークが嫌がっているのに、
わざわざ愛人を作るように説得しなければいけないのか。
それも面倒なコリンヌ様を愛人にするなんて。
「私を愛人にすれば、オリアン国からの支援が受けられるわよ。
ルーク様の出世のために役に立つじゃない」
「ルークはそんなこと望んでいないわ。
それに、竜王様はそんなことで出世させたりしない」
「そんなこと、あなたにはわからないでしょう」
「わかるわよ。私は側近なんだから」
同盟国や属国とのつきあいが面倒だと言っている竜王様は、
同盟国の支援だなんて望んでいないはず。
むしろ、そんなことをすればルークを叱るんじゃないだろうか。
「どうしても嫌だと言うの?」
「嫌よ」
「そう……残念だわ。あなたが悪いのよ?」
「何をする気なの」
コリンヌ様が侍女に目くばせしたと思ったら、
ソファに押しつけられるように侍女二人に抑え込まれる。
魔術が使える状態ならなんとでもなるけれど、
今は魔術を使わないようにと言われている。
同じ女性でも二人に抑えられたら身動きできない。
「ねぇ。ルーク様に会いたくなくなるようにしてあげる。
顔をぐちゃぐちゃにされるのと、身体を汚されるのどっちがいい?」
「……どっちも嫌よ」
「あら、まだ強がっていられるのね。
じゃあ、どっちもにしてあげる」
どこに隠れていたのか、部屋の中に三人の男たちが現れる。
貴族令息のような服装だが、下卑た笑いを浮かべて近づいてくる。
「コリンヌ様、顔を溶かすのは後でにしてくださいよ」
「そうですよ。さすがに顔のない女を抱くのはキツイです」
「それもそうね。隣の部屋を使ってちょうだい。
もう二度とルーク様に会えないように、徹底的に汚してやって」
「ふふふ。わかってますよ」
侍女が手を離したと思ったら、男に腕を掴まれる。
そのまま部屋の外に引きずっていかれ、
男がドアを開けようとした時、騎士たちがなだれ込んでくる。
「な!?」
「リディ様の手を離せ!」
すぐさま騎士が男の腕に切りつけ、私の前に立ちはだかる。
すかさず、違う騎士が私を保護してくれた。
「なんなの!?騎士なんて呼んでないわよ!」
「私が連れてきたのよ。会話も全部聞いてもらったわ。
騎士たち、この部屋にいる者、全員貴族牢に連れて行って」
「「「「はっ!」」」」
「嫌よ!離しなさい!」
「コリンヌ様!?」
屈強な騎士たちに追いかけられ、コリンヌ様と侍女たち、
忍び込んでいた男三人はすぐに捕まった。
あまりにもうるさいものだから、全員の口に布を巻いてもらう。
「一人ずつ、貴族牢に入れてちょうだい。
あとで一人ずつ取り調べすることになるから会話させないで」
「わかりました」
縛られても抵抗しているコリンヌ様を騎士が担ぐようにして連れて行く。
それと入れ違うようにして、ルークが部屋に入ってきた。
「リディ!」
「あ、ルーク。早かったね」
ルークには置手紙を残してきた。
コリンヌ様に一人で来るようにと呼び出されたけれど、
罠だと思うからこっそり騎士たちを連れて行くと。
「無事なのか!?」
「うん、コリンヌ様は私の顔を薬品で溶かすか、
男たちに襲わせようとしてたみた…え?」
説明の途中で無表情になったルークに抱きかかえられる。
「お前たち、あとは任せたぞ」
「「「「はい!」」」」
なぜか怒っているルークにそのまま連れ出され、本宮へと戻る。
執務室に戻るのかと思いきや、そこは知らない部屋だった。
「ルーク……ここどこ?」
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