お姫さまになれなかった僕は今日も学ランに袖を通す

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「んんっ……」


水越くんが、キスをしながら僕の股間に手を伸ばす。
そして、ソコの形を縁どるように指先でなぞって来る。
そんな風にされて、僕は自分のソコが少し膨らんでいたことに気が付いた。


「ふ、あっ……」


すりすりとズボンの上から摩られて、もどかしい微弱な快楽が与えられた。
他人からこんなことをされたのは初めてだった。
キスだって、これが初めてだった。
僕は妙に興奮してしまって、色々なことを頭から追いやって与えられる快楽に集中した。
微弱な刺激を拾うことに必死だった。
自ら腰を動かして、水越くんの手に股間を擦り付ける。
すると、水越くんは唇を離して、にったりと不気味な笑みを浮かべた。


「キモチイイ? 欲しくなっちゃったの?」


「みず、こし、くん……っ、なんで、こんなことを……?」


僅かに残った理性で、疑問符を投げかけた。
本能は性的快感を求めていたが、理性もまだ残っている。
学校なんかで、ただのクラスメイトとこんなことをしてはダメだ。
頭の中に残った知的生命体としての理性が、そう叫んでいた。


「言ったでしょ? ずっと、ずっと、好きだったの。
 知世ともよくんのことが。だから、あんなオンナと付き合っちゃイヤだよ。
 僕と付き合ったらいいよ」


何故彼は、ほとんど話したこともない僕なんかを好きなのだろう。
水越くんとは席も遠いから、挨拶すらすることがほぼなかった。
僕は特に取り柄もない平凡な男だし、彼に好かれる理由が分からない。
ああ、でも、そうだ。
一回だけ、泣いている水越くんに声をかけたことがあったんだった。
あの時、僕はなんて言ったんだっけ?
泣いている彼を、ちゃんと励ましてあげられたんだっけ?


「知世くんは、僕の王子さまなんだ」

「オウジサマ?」


水越くんが、そんなことを言ったが、意味が分からなかった。


「もっと気持ちよくしてあげるね」


水越くんは膝を突き、座る。
丁度、水越くんの顔の前に僕の少し勃起したモノが来るような位置だった。
そして、ベルトに手をかけ、丁寧に外していく。


「ちょっ…… ダメだよっ」


僕の制止は無視された。
あっという間にチャックまで下ろされ、下着を露出させられる。
僕のおちんちんは勃起して、下着を押し上げていた。
そのせいで、下着と肌の間に空間が出来ている。


「ふふ、かぁわいい。おちんちん勃ってる。気持ちよくなりたいの?」

「だ、誰か来るかも……」


僕は正直すごく興奮していた。
これから起こることへの期待で、身体が火照る。
同級生の間では、もう付き合っている子たちも居て、
それは、もちろん男女の組み合わせだったけれど、
僕は、友達からそんな噂話を聞くたびに、ドキドキしていたんだ。

「2組の中川が年上の女とヤったんだって」
「あそこの二人も出来てるらしいけど、もうヤったんかな?」
「こないだアイツらがキスしてるとこ見ちゃった」
「俺、この前童貞捨てたんだ」
「マジ!? どうだった?」
「凄かった! でもマンコって思ってたよりグロくて……」
「でも、気持ちよかったんだろ?」
「まあな。超良かった」

クラスメイトがそんな話をしているのを聞いて、興奮していた。
その日の夜はこっそりエッチな動画を見て、オナニーをした。
それでもムラムラが収まらなくって……。
僕もセックスがしてみたかった。
キスをして、女の子の身体に触ってみたかった。
女の人の、おっぱいや、おまんこを見てみたかった。触りたかった。
匂いを嗅いで、舐めて、舐められて、気持ちよくなりたかった。
僕は人より性欲が強いのかと、変態なのかと悩んだけれど、
クラスメイトの男の子たちはみんな毎日下ネタやエッチな話で盛り上がっているし、
きっと僕くらいの年ごろの男子ってみんなこんな感じなんだろうと思う。
多分だけれど、僕が特別スケベなわけじゃない。


「あっ」


あれこれ考えているうちに、下着がズラされ、そのままぱくりと性器を銜えられた。
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