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――自分を愛してくれるなら、誰でも良かった。
ゴミクズみたいな俺を愛してくれる人なんか、今まで誰一人として居たことがなくって……
だから、当然これからもそんな人現れるわけないって、思ってた。
だけど……
「向井ってなんか良いよねー」
「なんか癒されるっていうかー」
「下の名前なんだっけ?」
「友明? じゃあともくんだねー」
「俺、向井のこと好きなんだ」
「……ねえ、俺と付き合って」
誰かに告白されたのは、初めてだった。
恋愛なんか、俺とは別の世界の人間の話だと思ってた。
恋人なんか、俺には無縁だった。
でも、俺は愛に飢えていた。
俺は、恋人どころか、友達すらほとんど居なかったから。
だから、誰でもいいから、誰かと繋がりを持ちたかった。
なんでもいいから、他人と縁を結びたい。
だから俺は、男同士だとか、そういう事を全部思考の外に追いやって、
そうした空っぽの頭で、ただ誰かと繋がりたいと言うだけで、その告白を受け入れたんだ。
――でも、それは間違いだったのだろうか。
「オナニーして」
――片桐 維弦……。
同じクラスで、ほとんど話したこともなかった男だけど……
……つい先日、何故か俺はコイツに告白された。
男同士で、しかも俺なんかに告白する意図が最初は全く分からなかったけど……
最近になってちょっと分かってきた気がする。
――コイツ、俺で遊んでる。
いじめみたいなものなんだ、これは。
「はやく。 できないの?」
「こ、ここ、教室だよ…………?」
片桐に性的な要求をされたのは、初めてじゃなかった。
片桐としては性奴隷と、暇つぶしの玩具が同時に手に入ってラッキーって感じか?
「やんないなら別れるよー」
「……ッ、や、やる、から……別れないで…………」
「うん、じゃあはやく」
「…………っ」
俺は、ゆっくりと、股間に手を伸ばした。
片桐と、別れたくなかった。
遊ばれてるって分かってても、片桐に見捨てられたくなかった。
だって、俺は今までずっと一人だったから。
教室で誰にも相手にされることのない俺に、声を掛けてくれた片桐……
片桐が相手にしてくれるんなら、例え遊びでもいい。
ストレスや性欲の捌け口にされるのだって、構わない。
それくらい俺は、誰かとの繋がりに飢えていた。
「……っ」
教室なんかで肌…… しかも性器を露出するのは嫌だから、ズボンの上からチンコを撫でた。
布越しに握って、布ごと扱く。
「そんなんでイケるのー?」
片桐が嘲笑しながら言う。
今は放課後だけど、それでもいつ誰が来るか分からない。
性器を露出した状態で、誰かが教室に入って来たらと思うと怖い……。
でも多分片桐は、俺がイクまでこの遊びを終わらせてくれない。
だったら、一刻でも早く終わらせてしまうほうがいいだろうか……。
「……ん…………」
意を決して、俺はベルトを緩めた。
チャックを降ろして、下着をずらし、性器を露出する。
まだ勃起していないチンコに、直接手で触れる。
片桐は俺の股間を凝視していて……
俺はこんな明るい場所で誰かに恥部を見られているという羞恥心で死にたくなった。
それにここは教室だ。
勉強をする場所でこんなことをしているという背徳感……。
「う……っ」
羞恥心と背徳感が混じり合って、興奮に変わる。
軽く添えた手の中で、俺のチンコは一回り大きくなった。
こんな状況で勃起するなんて、俺は変態だ。
片桐に性的に弄ばれるまで、自分がこんな変態だなんて気付かなかった。
「んん……」
早く終わらせたくて、必死に手を前後に動かす。
皮ごしに亀頭を扱いて、丁度良い刺激を自分で自分に送る。
「はっ、はあ……ッ」
「普段そうやってオナニーしてるの?」
「ぁ……」
「学校でこんなことして興奮して、ド変態だね」
「うっ……」
片桐の声を聞いて、俺の身体はビクンと跳ねた。
身体が芯から熱くなって、気持ちいい。
「オカズなに使うの? どんなのが好き?」
「ぇ……ぁ……」
「……あ」
チャイムが鳴る。
部活動などが終わり、下校時刻を告げるチャイムだ。
「俺帰るね」
――イってないけど、いいのか……?
てっきり、イクまで続けさせられるのかと思った。
ああ、でも、そうだ。
片桐は、いつも下校時刻のチャイムが鳴るとすぐ俺を置いて行っちゃうんだ。
だから俺が片桐と一緒に居られるのは、このチャイムまでなんだ。
「じゃーねー」
片桐は、教室を出て行った。
片桐はいつもこうだった。
好き勝手におもちゃで遊んだら、片付けもせずに帰って行く。
でも俺は片桐に逆らえなかった。
だって片桐以外に俺にかまってくれる人間なんか居ないから。
「向井ってなんか良いよねー」
「俺、向井のこと好きなんだ」
「……ねえ、俺と付き合って」
あの時産まれて初めて言われた言葉……
俺はそれが、嘘でも嬉しかったんだ。
片桐に捨てられたら、きっともう二度と俺を相手にしてくれる人間なんか現れない。
だから俺は、片桐に従うしかないんだ。
…………俺も、帰ろう。
ゴミクズみたいな俺を愛してくれる人なんか、今まで誰一人として居たことがなくって……
だから、当然これからもそんな人現れるわけないって、思ってた。
だけど……
「向井ってなんか良いよねー」
「なんか癒されるっていうかー」
「下の名前なんだっけ?」
「友明? じゃあともくんだねー」
「俺、向井のこと好きなんだ」
「……ねえ、俺と付き合って」
誰かに告白されたのは、初めてだった。
恋愛なんか、俺とは別の世界の人間の話だと思ってた。
恋人なんか、俺には無縁だった。
でも、俺は愛に飢えていた。
俺は、恋人どころか、友達すらほとんど居なかったから。
だから、誰でもいいから、誰かと繋がりを持ちたかった。
なんでもいいから、他人と縁を結びたい。
だから俺は、男同士だとか、そういう事を全部思考の外に追いやって、
そうした空っぽの頭で、ただ誰かと繋がりたいと言うだけで、その告白を受け入れたんだ。
――でも、それは間違いだったのだろうか。
「オナニーして」
――片桐 維弦……。
同じクラスで、ほとんど話したこともなかった男だけど……
……つい先日、何故か俺はコイツに告白された。
男同士で、しかも俺なんかに告白する意図が最初は全く分からなかったけど……
最近になってちょっと分かってきた気がする。
――コイツ、俺で遊んでる。
いじめみたいなものなんだ、これは。
「はやく。 できないの?」
「こ、ここ、教室だよ…………?」
片桐に性的な要求をされたのは、初めてじゃなかった。
片桐としては性奴隷と、暇つぶしの玩具が同時に手に入ってラッキーって感じか?
「やんないなら別れるよー」
「……ッ、や、やる、から……別れないで…………」
「うん、じゃあはやく」
「…………っ」
俺は、ゆっくりと、股間に手を伸ばした。
片桐と、別れたくなかった。
遊ばれてるって分かってても、片桐に見捨てられたくなかった。
だって、俺は今までずっと一人だったから。
教室で誰にも相手にされることのない俺に、声を掛けてくれた片桐……
片桐が相手にしてくれるんなら、例え遊びでもいい。
ストレスや性欲の捌け口にされるのだって、構わない。
それくらい俺は、誰かとの繋がりに飢えていた。
「……っ」
教室なんかで肌…… しかも性器を露出するのは嫌だから、ズボンの上からチンコを撫でた。
布越しに握って、布ごと扱く。
「そんなんでイケるのー?」
片桐が嘲笑しながら言う。
今は放課後だけど、それでもいつ誰が来るか分からない。
性器を露出した状態で、誰かが教室に入って来たらと思うと怖い……。
でも多分片桐は、俺がイクまでこの遊びを終わらせてくれない。
だったら、一刻でも早く終わらせてしまうほうがいいだろうか……。
「……ん…………」
意を決して、俺はベルトを緩めた。
チャックを降ろして、下着をずらし、性器を露出する。
まだ勃起していないチンコに、直接手で触れる。
片桐は俺の股間を凝視していて……
俺はこんな明るい場所で誰かに恥部を見られているという羞恥心で死にたくなった。
それにここは教室だ。
勉強をする場所でこんなことをしているという背徳感……。
「う……っ」
羞恥心と背徳感が混じり合って、興奮に変わる。
軽く添えた手の中で、俺のチンコは一回り大きくなった。
こんな状況で勃起するなんて、俺は変態だ。
片桐に性的に弄ばれるまで、自分がこんな変態だなんて気付かなかった。
「んん……」
早く終わらせたくて、必死に手を前後に動かす。
皮ごしに亀頭を扱いて、丁度良い刺激を自分で自分に送る。
「はっ、はあ……ッ」
「普段そうやってオナニーしてるの?」
「ぁ……」
「学校でこんなことして興奮して、ド変態だね」
「うっ……」
片桐の声を聞いて、俺の身体はビクンと跳ねた。
身体が芯から熱くなって、気持ちいい。
「オカズなに使うの? どんなのが好き?」
「ぇ……ぁ……」
「……あ」
チャイムが鳴る。
部活動などが終わり、下校時刻を告げるチャイムだ。
「俺帰るね」
――イってないけど、いいのか……?
てっきり、イクまで続けさせられるのかと思った。
ああ、でも、そうだ。
片桐は、いつも下校時刻のチャイムが鳴るとすぐ俺を置いて行っちゃうんだ。
だから俺が片桐と一緒に居られるのは、このチャイムまでなんだ。
「じゃーねー」
片桐は、教室を出て行った。
片桐はいつもこうだった。
好き勝手におもちゃで遊んだら、片付けもせずに帰って行く。
でも俺は片桐に逆らえなかった。
だって片桐以外に俺にかまってくれる人間なんか居ないから。
「向井ってなんか良いよねー」
「俺、向井のこと好きなんだ」
「……ねえ、俺と付き合って」
あの時産まれて初めて言われた言葉……
俺はそれが、嘘でも嬉しかったんだ。
片桐に捨てられたら、きっともう二度と俺を相手にしてくれる人間なんか現れない。
だから俺は、片桐に従うしかないんだ。
…………俺も、帰ろう。
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