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――5月14日 自宅
「はぁ……くっ……」
真っ暗な部屋で布団に包まって、火照った身体を自分で慰める。
「ん……っ、浬ッ……」
昨日見た浬と見知らぬ男とのセックスが忘れられない。
頭にこびり付いて離れない。
その場面が何度もフラッシュバックして、そのたびに身体が火照る。
大学の授業中も何度もその事を考えては、トイレに駆けこんでいた。
普段めちゃくちゃに俺を犯す浬が、他の男に淫らに身体を許している。
他の男が浬に触れるなんて、嫌だ。許せない。
俺の事は抱くだけで、決して抱かせてはくれないのに、そいつには身体を許すのか。
そう思うと悔しくてたまらないのに、その感情とは真逆に俺の身体は火照る一方だった。
昨日、浬の目の前で自慰をしたときもそうだった。
情けなくて、惨めで、恥ずかしいのに、妙に興奮した。
自分で自分が分からない。
理解できない。
何に興奮しているのか、なんで興奮しているのか。
もう訳が分からない。
「んっ……浬……浬ッ……」
浬をおかしくしたのは俺だけど、俺をおかしくしたのだって浬だ。
…………だから俺達は、お互い様だ。
――十年以上、前の事だ。
俺と浬が初めて会ったのは、俺がまだ小学生の時。
まだ幼稚園に通うくらいの年齢だった浬に一目ぼれをした。
浬は母親に連れられて、うちに預けられに来た。
幼稚園が休みの日曜日の、昼間のたった数時間。
俺は浬と遊んで過ごした。
最初は浬の事を、女の子だと思っていたんだ。
男だと分かっても別に気にならなかった。
当時の俺は幼くて、まだ恋という物をよく分かっていなかったから。
ただその浬の人形みたいに綺麗な容姿に、ひたすら惹かれていた。
それが恋だと気付いたのは、随分あとの事だ。
……出来れば、気付かないままでいたかった。
――そうすれば、俺は……
俺達は、綺麗なままでいられたかもしれないのに。
物ごころ付いた時からずっと、俺が自慰をする時に思い浮かべるのは浬だ。
グラビア雑誌もアダルトビデオも必要ない。
普通の女では物足りない。
「はぁ……くっ……」
真っ暗な部屋で布団に包まって、火照った身体を自分で慰める。
「ん……っ、浬ッ……」
昨日見た浬と見知らぬ男とのセックスが忘れられない。
頭にこびり付いて離れない。
その場面が何度もフラッシュバックして、そのたびに身体が火照る。
大学の授業中も何度もその事を考えては、トイレに駆けこんでいた。
普段めちゃくちゃに俺を犯す浬が、他の男に淫らに身体を許している。
他の男が浬に触れるなんて、嫌だ。許せない。
俺の事は抱くだけで、決して抱かせてはくれないのに、そいつには身体を許すのか。
そう思うと悔しくてたまらないのに、その感情とは真逆に俺の身体は火照る一方だった。
昨日、浬の目の前で自慰をしたときもそうだった。
情けなくて、惨めで、恥ずかしいのに、妙に興奮した。
自分で自分が分からない。
理解できない。
何に興奮しているのか、なんで興奮しているのか。
もう訳が分からない。
「んっ……浬……浬ッ……」
浬をおかしくしたのは俺だけど、俺をおかしくしたのだって浬だ。
…………だから俺達は、お互い様だ。
――十年以上、前の事だ。
俺と浬が初めて会ったのは、俺がまだ小学生の時。
まだ幼稚園に通うくらいの年齢だった浬に一目ぼれをした。
浬は母親に連れられて、うちに預けられに来た。
幼稚園が休みの日曜日の、昼間のたった数時間。
俺は浬と遊んで過ごした。
最初は浬の事を、女の子だと思っていたんだ。
男だと分かっても別に気にならなかった。
当時の俺は幼くて、まだ恋という物をよく分かっていなかったから。
ただその浬の人形みたいに綺麗な容姿に、ひたすら惹かれていた。
それが恋だと気付いたのは、随分あとの事だ。
……出来れば、気付かないままでいたかった。
――そうすれば、俺は……
俺達は、綺麗なままでいられたかもしれないのに。
物ごころ付いた時からずっと、俺が自慰をする時に思い浮かべるのは浬だ。
グラビア雑誌もアダルトビデオも必要ない。
普通の女では物足りない。
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