9 / 14
8
しおりを挟む
「次、実験だから準備手伝ってくれる?」
化学教師がボクに声をかけた。
「はい、先生」
ボクは笑顔で返事をする。
ボクは学校では学級委員長を務める優等生だ。
どこからどう見ても完璧な優等生。
学校行事やボランティアにも積極的に参加し、教師からの頼みごとはなんでも聞いた。
優等生で居られる学校は、ボクにとってそれなりに楽しい場所だ。
「お前ほんっと、よく先生にパシられるよな」
席の近いクラスメイトが声を掛けて来る。
「パ、パシられるなんて……。
ボクが好きでやってる事だからいいんだよ、別に」
「それに不登校の……名前なんだっけ?丹下だっけ。
丹下ん家もよく行ってるんだろ?ノートとプリント渡しに」
「光とは小学校の時から一緒で、家が近いからね」
「ふーん。まあなんでもいいけど、ちょっとやりすぎじゃね?」
「なにが?」
「不登校のヤツの分のノート取ったりとか、普通しないって。
なんでそこまですんの?」
「え……」
「ぶっちゃけちょっと気持ち悪ぃよ」
――気持ち悪い……?ボクが?
「クラスのヤツ、みんなそう思ってるよ」
それだけ言うと男子生徒は去って行った。
ボクが気持ち悪いだなんて酷い。
ボクはただ、誰かの役に立っていたいだけなのに。
それなのにどうしてそんな酷い事が言えるんだろう。
光の『成長』も、さっきのクラスメイトの発言も、最近なんだか嫌な事ばかりだな……。
化学教師がボクに声をかけた。
「はい、先生」
ボクは笑顔で返事をする。
ボクは学校では学級委員長を務める優等生だ。
どこからどう見ても完璧な優等生。
学校行事やボランティアにも積極的に参加し、教師からの頼みごとはなんでも聞いた。
優等生で居られる学校は、ボクにとってそれなりに楽しい場所だ。
「お前ほんっと、よく先生にパシられるよな」
席の近いクラスメイトが声を掛けて来る。
「パ、パシられるなんて……。
ボクが好きでやってる事だからいいんだよ、別に」
「それに不登校の……名前なんだっけ?丹下だっけ。
丹下ん家もよく行ってるんだろ?ノートとプリント渡しに」
「光とは小学校の時から一緒で、家が近いからね」
「ふーん。まあなんでもいいけど、ちょっとやりすぎじゃね?」
「なにが?」
「不登校のヤツの分のノート取ったりとか、普通しないって。
なんでそこまですんの?」
「え……」
「ぶっちゃけちょっと気持ち悪ぃよ」
――気持ち悪い……?ボクが?
「クラスのヤツ、みんなそう思ってるよ」
それだけ言うと男子生徒は去って行った。
ボクが気持ち悪いだなんて酷い。
ボクはただ、誰かの役に立っていたいだけなのに。
それなのにどうしてそんな酷い事が言えるんだろう。
光の『成長』も、さっきのクラスメイトの発言も、最近なんだか嫌な事ばかりだな……。
0
お気に入りに追加
15
あなたにおすすめの小説
【完結】はじめてできた友だちは、好きな人でした
月音真琴
BL
完結しました。ピュアな高校の同級生同士。友達以上恋人未満な関係。
人付き合いが苦手な仲谷皇祐(なかたにこうすけ)は、誰かといるよりも一人でいる方が楽だった。
高校に入学後もそれは同じだったが、購買部の限定パンを巡ってクラスメートの一人小此木敦貴(おこのぎあつき)に懐かれてしまう。
一人でいたいのに、強引に誘われて敦貴と共に過ごすようになっていく。
はじめての友だちと過ごす日々は楽しいもので、だけどつまらない自分が敦貴を独占していることに申し訳なくて。それでも敦貴は友だちとして一緒にいてくれることを選んでくれた。
次第に皇祐は嬉しい気持ちとは別に違う感情が生まれていき…。
――僕は、敦貴が好きなんだ。
自分の気持ちに気づいた皇祐が選んだ道とは。
エブリスタ様にも掲載しています(完結済)
エブリスタ様にてトレンドランキング BLジャンル・日間90位
◆「第12回BL小説大賞」に参加しています。
応援していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。
ピュアな二人が大人になってからのお話も連載はじめました。よかったらこちらもどうぞ。
『迷いと絆~友情か恋愛か、親友との揺れる恋物語~』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/416124410/923802748
綺麗事だけでは、手に入らない
和泉奏
BL
悪魔に代償を支払えば好きな人を手に入れられるのに想いあわないと意味がないってよくある漫画の主人公は拒否するけど、俺はそんなんじゃ報われない、救われないから何が何でも手に入れるって受けの話
蒼い春も、その先も、
Rg
BL
高校二年生の春。
自傷癖のある朝比奈穂希は、校内一の優等生として有名な佳澄椿と出会う。
穂希は自分に自傷癖があること、そして自傷をやめようと思っていることを打ち明けるが、椿の反応は穂希の想像とは少し違うものだった。
自身の傷に対する椿の言動に違和感を覚える日々を過ごしていたそんなある日、彼に『君のことを好きになってしまった』と告げられる。
※自傷行為常習の穂希くんが主人公なので、痛々しい描写多々あります。苦手な方、ご注意を!
空の瞳
萩香
BL
「俺の弱点、探してみますか?」 その一言が、始まりだった…。
陸上部の先輩・瀧川にしつこく付きまとわれている笹辺悠哉は、ある日、瀧川に過去の辛い記憶を知られてしまい…。
せつなくロマンティックなボーイズラブ小説です。
桜吹雪と泡沫の君
叶けい
BL
4月から新社会人として働き始めた名木透人は、高校時代から付き合っている年上の高校教師、宮城慶一と同棲して5年目。すっかりお互いが空気の様な存在で、恋人同士としてのときめきはなくなっていた。
慣れない会社勤めでてんてこ舞いになっている透人に、会社の先輩・渡辺裕斗が合コン参加を持ちかける。断り切れず合コンに出席した透人。そこで知り合った、桜色の髪の青年・桃瀬朔也と運命的な恋に落ちる。
だが朔也は、心臓に重い病気を抱えていた。
ハッピーエンド
藤美りゅう
BL
恋心を抱いた人には、彼女がいましたーー。
レンタルショップ『MIMIYA』でアルバイトをする三上凛は、週末の夜に来るカップルの彼氏、堺智樹に恋心を抱いていた。
ある日、凛はそのカップルが雨の中喧嘩をするのを偶然目撃してしまい、雨が降りしきる中、帰れず立ち尽くしている智樹に自分の傘を貸してやる。
それから二人の距離は縮まろうとしていたが、一本のある映画が、凛の心にブレーキをかけてしまう。
※ 他サイトでコンテスト用に執筆した作品です。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる