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第10章
196話
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テオドールside
ゴォォォ!!と凄まじい風圧が顔面を激しく打ちつける。
破壊した足場から転落した俺と聖女は、もつれ合いながら奈落に向かって真っ逆さまに落ちていた。
「いい加減この薄汚い腕と足を離しやがれっ!」
怒声を上げ続ける聖女は何度も何度も俺の腹に膝蹴りを入れてくる。空中で上手く力が入らないのか、威力は半減されているようだが、それでもメチャクソに痛い。聖女の蹴りが腹に入るたび、口の中の鉄の味が濃くなっている。内臓でもやられたか?きっと服の下の俺の腹には青痣が広がっているだろう。
「離せと言われて離す馬鹿は何処にもいねーよっ!どうせどうすることもできねぇんだっ!黙って落ちてろっ!!」
俺の言葉に聖女の瞳が研いだナイフのように鋭さを増す。
「ふざけんなクソガキッ!!私はなっ、この腐った世界からエリザベータ様をお救いしなくちゃいけねぇんだよ!!」
「だからエリザを殺すのかっ!」
「そうだっ!」
「馬鹿野郎っ!!」
俺は聖女の額に頭突きをかました。
ゴンッ!!という音が頭蓋骨に反響し、目に火花が散る。だが痛みは感じない。かわりに脳内で大量に分泌されたアドレナリンが沸騰していることだけは感じた。
「そんなものはな救いでもなんでもねぇ!お前はただ独りよがりの正義感をアイツに押し付けているだけだっ!!」
俺の頭突きをもろに食らい若干意識を飛ばしていた聖女はハッと我に返り、額から青い血を噴き出しながら鬼の形相で俺を睨みつけた。
「ーっ、何も知らねぇガキが知ったような口を利くな!」
「何も知らねぇガキはテメェの方だろうがっ!!」
荒々しい感情が胸の中で膨れ上がり、こめかみに青筋が浮かぶ。
「よく聞けクソ聖女。断言してやる。お前じゃアイツを救えねぇ!」
吐いた言葉が牙を立てて俺に返ってくる。
突き刺さった牙から後悔と罪悪感がジワリと滲み出て、そこで俺はようやく理解した。
俺が聖女に向けている感情の正体を。
おそらくこれはーーー
「俺と同じくアイツを傷つけるだけだっ。」
同族嫌悪というやつだ。
「俺はアルベルトを殺そうとして、エリザを傷つけた。」
俺と聖女。
手にかけようとした対象は違えど、やろうとしていたことは同じ。
エリザの気持ちを無視して、履き違えた正義感を満たそうとしていた。
結果、俺はアイツを傷つけ、築き始めていた信用さえも失った。
「頼むから、これ以上アイツを傷つけないでくれ…!」
俺は自尊心を殴り捨てて懇願する。
すると、知性を失った野生のゴリラのようだった聖女の瞳が、人間らしい知性や宿した瞳に変わった。その瞳でまじまじと俺を見たのち、聖女は口を開いた。
「お前は誰だ?」
凄まじい風の中、やけにはっきりと俺の耳に届いたその言葉は、もう遠い昔のようだがつい先程、目覚めた俺に聖女が訊ねてきたもの。
そしてそれは、気が遠くなるほど己に問いかけ続けていたものだった。
「お前はこの世界で最も異質だ。アルベルトの顔で生まれた上に、300年前のことも知っている。一体お前はーー」
「耳の中かっぽじってよく聞け、クソ聖女。」
何度でも言ってやる。
聖女の言葉を遮った俺は、大きく息を吸った。風圧のせいで上手く吸い込めなかったが、気合で吸い込んだ。
「俺は、テオドール=ブランシュネージュ=ノルデンだ!」
それ以上でもそれ以下でもない。
ましてやモニカやアルベルトでもない。
まがい品だろうが欠陥品だろうが、俺は俺なのだ。
そうエリザが認めてくれた。
たった一人でも認めてくれる奴が居るだけで、俺は一人の人間として、この世界に生きていける。
見開かれた聖女の瞳に、大っ嫌いな俺の顔が写り込む。この顔を見るたび反吐が出そうな気分になっていたが、今だけは違う。
我ながら、いいカオしてんじゃん。
そう思った次の瞬間、眼前に奈落の底が迫った。あっと思った時には既に遅く、俺の身体に凄まじい衝撃が走る。
そして、鼓膜を突き破ってきた地軸もろとも引き裂くような轟音に、己の命が尽きたのを悟った。
ちくしょう…。
俺の悪運もここまでか…。
魔力がないと、ほんとう、なんもできねぇな、俺。
こんなダッセェ終わり方じゃ、モニカに会えない。
決めていたんだ。モニカへの冥途の土産にはエリザが幸せになった報告を持っていくって。
手ぶらで行ったらどやされるだろうな…。いや、会ってもくれないかもしれない。俺はモニカをよく知っているが、モニカは俺を知らないから。会いに行っても不審がられるだろう。
でも…
「…会いてぇな。」
「あんらぁ~?そんなにアタシに会いたかったんですか?」
すぐ耳元で聞こえてきた妙に甲高くて聞き覚えのある声に、ぶわっと鳥肌が立ち、俺は目をカッと見開いた。
土埃が舞う薄暗い視界にみっちりと現れたのは、剥き出しにされた分厚い胸筋と、太く逞しい肩と腕。その肩に、俺と聖女は、まるで小荷物のように担がれていた。
「危なかったですわぁ~。アタシの判断がちょーっとでも遅れていたら、うっかり殿下と聖女の串刺し団子を完成させちゃうところでしたわよ~!」
かしましい声で、うっかりでは済まされないことを呑気に話すソイツは俺に向かってウィンクを飛ばしてきた。
それに思わず俺は引きつった笑みを浮かべる。
「相変わらずいい女だな、ビアンカ。」
心にもない言葉が、するりと口から吐き出される。
これは幼少期に、目の前で満足げに微笑んでいる剣術の恩師に仕込まれた悲しき反射神経。
言ったそばから俺は「おえ~」とえずき、舌を出して顔を顰めた。
…モニカ。
どうやらお前に会えるのは、もう少し先になりそうだ。
ゴォォォ!!と凄まじい風圧が顔面を激しく打ちつける。
破壊した足場から転落した俺と聖女は、もつれ合いながら奈落に向かって真っ逆さまに落ちていた。
「いい加減この薄汚い腕と足を離しやがれっ!」
怒声を上げ続ける聖女は何度も何度も俺の腹に膝蹴りを入れてくる。空中で上手く力が入らないのか、威力は半減されているようだが、それでもメチャクソに痛い。聖女の蹴りが腹に入るたび、口の中の鉄の味が濃くなっている。内臓でもやられたか?きっと服の下の俺の腹には青痣が広がっているだろう。
「離せと言われて離す馬鹿は何処にもいねーよっ!どうせどうすることもできねぇんだっ!黙って落ちてろっ!!」
俺の言葉に聖女の瞳が研いだナイフのように鋭さを増す。
「ふざけんなクソガキッ!!私はなっ、この腐った世界からエリザベータ様をお救いしなくちゃいけねぇんだよ!!」
「だからエリザを殺すのかっ!」
「そうだっ!」
「馬鹿野郎っ!!」
俺は聖女の額に頭突きをかました。
ゴンッ!!という音が頭蓋骨に反響し、目に火花が散る。だが痛みは感じない。かわりに脳内で大量に分泌されたアドレナリンが沸騰していることだけは感じた。
「そんなものはな救いでもなんでもねぇ!お前はただ独りよがりの正義感をアイツに押し付けているだけだっ!!」
俺の頭突きをもろに食らい若干意識を飛ばしていた聖女はハッと我に返り、額から青い血を噴き出しながら鬼の形相で俺を睨みつけた。
「ーっ、何も知らねぇガキが知ったような口を利くな!」
「何も知らねぇガキはテメェの方だろうがっ!!」
荒々しい感情が胸の中で膨れ上がり、こめかみに青筋が浮かぶ。
「よく聞けクソ聖女。断言してやる。お前じゃアイツを救えねぇ!」
吐いた言葉が牙を立てて俺に返ってくる。
突き刺さった牙から後悔と罪悪感がジワリと滲み出て、そこで俺はようやく理解した。
俺が聖女に向けている感情の正体を。
おそらくこれはーーー
「俺と同じくアイツを傷つけるだけだっ。」
同族嫌悪というやつだ。
「俺はアルベルトを殺そうとして、エリザを傷つけた。」
俺と聖女。
手にかけようとした対象は違えど、やろうとしていたことは同じ。
エリザの気持ちを無視して、履き違えた正義感を満たそうとしていた。
結果、俺はアイツを傷つけ、築き始めていた信用さえも失った。
「頼むから、これ以上アイツを傷つけないでくれ…!」
俺は自尊心を殴り捨てて懇願する。
すると、知性を失った野生のゴリラのようだった聖女の瞳が、人間らしい知性や宿した瞳に変わった。その瞳でまじまじと俺を見たのち、聖女は口を開いた。
「お前は誰だ?」
凄まじい風の中、やけにはっきりと俺の耳に届いたその言葉は、もう遠い昔のようだがつい先程、目覚めた俺に聖女が訊ねてきたもの。
そしてそれは、気が遠くなるほど己に問いかけ続けていたものだった。
「お前はこの世界で最も異質だ。アルベルトの顔で生まれた上に、300年前のことも知っている。一体お前はーー」
「耳の中かっぽじってよく聞け、クソ聖女。」
何度でも言ってやる。
聖女の言葉を遮った俺は、大きく息を吸った。風圧のせいで上手く吸い込めなかったが、気合で吸い込んだ。
「俺は、テオドール=ブランシュネージュ=ノルデンだ!」
それ以上でもそれ以下でもない。
ましてやモニカやアルベルトでもない。
まがい品だろうが欠陥品だろうが、俺は俺なのだ。
そうエリザが認めてくれた。
たった一人でも認めてくれる奴が居るだけで、俺は一人の人間として、この世界に生きていける。
見開かれた聖女の瞳に、大っ嫌いな俺の顔が写り込む。この顔を見るたび反吐が出そうな気分になっていたが、今だけは違う。
我ながら、いいカオしてんじゃん。
そう思った次の瞬間、眼前に奈落の底が迫った。あっと思った時には既に遅く、俺の身体に凄まじい衝撃が走る。
そして、鼓膜を突き破ってきた地軸もろとも引き裂くような轟音に、己の命が尽きたのを悟った。
ちくしょう…。
俺の悪運もここまでか…。
魔力がないと、ほんとう、なんもできねぇな、俺。
こんなダッセェ終わり方じゃ、モニカに会えない。
決めていたんだ。モニカへの冥途の土産にはエリザが幸せになった報告を持っていくって。
手ぶらで行ったらどやされるだろうな…。いや、会ってもくれないかもしれない。俺はモニカをよく知っているが、モニカは俺を知らないから。会いに行っても不審がられるだろう。
でも…
「…会いてぇな。」
「あんらぁ~?そんなにアタシに会いたかったんですか?」
すぐ耳元で聞こえてきた妙に甲高くて聞き覚えのある声に、ぶわっと鳥肌が立ち、俺は目をカッと見開いた。
土埃が舞う薄暗い視界にみっちりと現れたのは、剥き出しにされた分厚い胸筋と、太く逞しい肩と腕。その肩に、俺と聖女は、まるで小荷物のように担がれていた。
「危なかったですわぁ~。アタシの判断がちょーっとでも遅れていたら、うっかり殿下と聖女の串刺し団子を完成させちゃうところでしたわよ~!」
かしましい声で、うっかりでは済まされないことを呑気に話すソイツは俺に向かってウィンクを飛ばしてきた。
それに思わず俺は引きつった笑みを浮かべる。
「相変わらずいい女だな、ビアンカ。」
心にもない言葉が、するりと口から吐き出される。
これは幼少期に、目の前で満足げに微笑んでいる剣術の恩師に仕込まれた悲しき反射神経。
言ったそばから俺は「おえ~」とえずき、舌を出して顔を顰めた。
…モニカ。
どうやらお前に会えるのは、もう少し先になりそうだ。
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