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結婚しましょ!
しおりを挟む早朝、ドタバタと2つの足音が屋敷に響いた。
「ヤス!結婚しましょ!」
「何度も言いますけど、嫌ですぅぅぅ!!」
「あ、私と結婚したら幹部に昇進間違えなしよ!多分。」
「そんな打算的な結婚なんて嫌ですぅぅぅ!!」
可愛い弟の『相手は気心が知れた仲』というアドバイスのもと、私はヤスに求婚しまくっていた。早朝、早速ヤスを見つけ求婚すること早1時間。壁際にヤスを追い込むことに成功した。
「さ、観念してこれに名前を書きなさい。そうしたら許してあげる。」
「こここれ、思いっきし婚姻届けじゃないですか!」
見慣れた強面の顔が泣きそうなほど歪んでいた。そんなヤスなんてお構いなしにジリジリと距離を縮めていく。
「私との結婚をどうしてそんに嫌がるのよ。……私のこと嫌いなの?」
ちなみに、異性の友達はヤスただ一人である。小中は何故か異性に避けられ、女子高、女子大と通ってしまい出会いがない。そんな私がただ一人の異性の友達、ヤスに嫌われるのはかなり凹む。
「き、嫌うなんてとんでもないっ!」
首がちぎれそうなほどブンブンと振る。嫌われていない事に少しホッとする。
「嫌いじゃないのなら結婚しましょ!」
「極端すぎる!!そもそも俺達に愛は無いでしょう!?」
「ヤス、愛は育むものよ。安心して、必ずヤスを幸せにしてあげる。後悔はさせないわ。」
「男前すぎる…!ってか本当にやめて下さい!本当に俺、社会的に消されるっ!!」
出た。ヤスの被害妄想発言。ヤスはいつもこの言葉で逃げようとする。今日はそうさせるわけにはいかない。
「消させないわよ。ヤスは私が守ってあげる! 」
「お、お嬢……!」
ヤスは希望に満ちた眼差しで私を見つめる。落たか?落ちたのか!?後ひと押し!私はもう一度こ婚姻届けをヤスの前に突き出す。
「ひっ!あ、お嬢!もう出勤時間ですよ!!」
そう言うヤスはホッとした顔をしている。何故今日は平日なのだろう。舌打ちしたくなる気持ちを抑え、微笑んだ。
「続きは私が帰ってからね。」
「―っ!?」
顔が真っ青になるヤス。私の笑みは青くする効果があるらしい。解せぬ。私はヤスを背にし玄関へ向かった。そんな私は、私が去った後ヤスと弟が何か話していることなんて知るはずもなかった。
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