にゃがために猫はなく

ぴぴぷちゃ

文字の大きさ
上 下
33 / 34

第33話 デメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦の戦果

しおりを挟む
「こほん、では今後の予定を話し合いましょうか」

 我輩達は当初の予定通り今後の話し合いをすることにした。

「うむ」
「ああ、頼むぜ」
「は~い」

 今度はお調子者の妹羊も我輩に絡んでくることはなかった。

「まず、改めて現状をお話しします。現在我々の3隻の宇宙船はドッキングして、敵移動要塞デメキンの横を並走中です。距離を十分取ってステルスモードを起動しておりますので、攻撃されるリスクは限りなく低いです。そして、先の戦いでの戦果は、黄鬼が40機と1000m級の小鬼の宇宙船が2隻になります。こちらは設置したブースターにより惑星アルファに向けて加速中、私達のサポートメンバーと共に惑星アルファに帰還中です。また、妖精軍、ハンターギルド両方に向けて、黄鬼が亜空間脱出機能を使用していたことなど、本作戦でもたらされた情報を送信済みです。また、もし証拠が欲しい場合は、帰還中のサポートメンバーに接触するように連絡しました」

 うむ、流石めめさんだ、仕事が早いな。特に妖精軍やハンターギルドにしっかり連絡を入れるあたり、めめさんのしっかり者っぷりが良く出てる。

「次に被害状況になります。私達の2隻の船、親羊と子羊は、小鬼の1000m級との交戦時に敵BPSによる反撃で多少の被害を受けました。ですが、被害は極めて軽微です。今日明日中に完全修復可能です。また、私達のBPSにも多少の被害が出ておりますが、こちらも同様に被害は軽微ですので今日明日の修理でほぼ100%復旧可能です」

 少し引っかかる言い方だね。ほぼ100%と100%では全然違う気がする。

「めめさん、ほぼ100%ということは、100%に戻らない部分があるということか?」
「はい、黄鬼達への妨害工作をしておりました工作部隊のBPSが、1機やられました。ですが、搭乗員は亜空間脱出機能により無事ですし、工作部隊のBPSはある程度壊されることを前提にしておりますので、予備機がございます。そのため、一度に動員可能な戦力という意味では100%おります」
「なるほど、それなら心配いらないか」
「うむ」

 まあ、めめさんが大丈夫って言ってるわけだから、きっと大した問題ではないんだろうね。

「んじゃ、次は俺達だな。俺達のBPSもめめさんのところ同様、軽微な損傷を負った。ただ、こっちは本当に軽微な損傷だけだ、全機今日中に修復可能だ」
「修理期間という意味では我輩達も同じだな。ぴぴのBPSがちょっと頑張りすぎて一部パーツの修理中だが、最低限の修理は今日中に終わるそうだ」
「では、次に仕掛けるのは2日後ということでいいでしょうか? それか、3日後には妖精軍の本隊が来る予定ですので、それに合わせて仕掛けましょうか?」
「そうだな。ハンター達の動き次第だが、3日後でいいんじゃないか」
「承知した」
「では、3日後に妖精軍と共に仕掛けましょう」

 次回はこの戦いの山場になるわけか、気を引き締めないとだね。

「熊太郎さん。少しお伺いしたいことがあるのですが、いいでしょうか?」
「おう、何でも聞いてくれ」
「黄鬼の強さなのですが、どの程度のものでしたか? それによっては当初用意していた作戦を練り直したいのですが」

 そうだね、そこは重要だよね。ぴぴとぷうはサクッと倒したらしいけど、ハンター達も苦戦していたみたいだし、めめさんの工作部隊のBPSを1機落としてるんだ。油断ならない相手のはずだ。

「そうだな。作戦の練り直しは必要だろう、悔しいが、黄鬼は当初の予想よりもだいぶ強かった。今回は待ち伏せ作戦ってことで、めめさん達が足止め用のトラップを仕掛けてくれていたから良かったが、普通にやっていたらかなり厳しい相手だったと思う。まず、小鬼どもと違って個々の強さが桁違いに強い。小鬼なら10対1でも余裕で対処出来るが、黄鬼とはせいぜい2対1がいいところだろうな」
「熊太郎さん達でさえ、そのレベルなのですか?」
「ああ、悔しいがな」
「ぴぴとぷうにも話を聞こうか?」
「いえ、あの二人は強すぎてあまり参考にならないので」

 あう、断られちゃった。まあ、確かにぴぴとぷうはそこまで参考にならないか。

 ちなみに今回、敵の黄色いのと戦うにあたり採用した細かな作戦は、めめさん達による投網作戦だ。待ち伏せポイントに熊さん達だけじゃなく、めめさん達の工作部隊も一緒に隠れて、ミニぴぴぷちゃ号を追いかけてきた黄色いの目がけて、工作部隊が投網を投げつけて動きを拘束、その隙に工作部隊、熊さん達、それと反転したぴぴとぷうによる連携で倒すというものだった。

 作戦は完璧に決まって、取りこぼしも無く倒せたんだけど、倒すの最優先だったから、ちょっと味方がやられちゃったんだよね。

 ちなみに作戦が終わって、親羊とのドッキングのために戻っている最中に、ミニぴぴぷちゃ号がその辺にぷかぷか浮いてた投網の残骸に引っ掛かったのは内緒だ。あの投網、敵に見つかりにくいような細工がしてあるのは良いんだけど、そのせいでこっちからも見にくいんだよね。

「幸か不幸か、投網を切断して罠から抜けてきた黄鬼と交戦出来たんだが、まず、すべての能力が小鬼とは比べ物にならんほど高かった。BPSの大きさは2倍程度だが、スペックは10倍以上ありそうな感じだったぜ。特に、背中のブースターのせいか速度は脅威だな。俺が全力を出しても追いつくのにだいぶ苦戦した。ただ、速度全振りなのか、火力は並みだし、防御力は低めって感じだったな」
「なるほど、そこはある意味事前情報通りなのですね」
「ああ、だが一番の脅威は知能的な面だろうな。小鬼どもみたいにちょっとやそっとの攻撃であっさりパニックになる連中じゃなかった。仲間が倒れようがどれだけ自機がダメージを受けようが、決して動じない、かなり高度な指揮系統がありそうな感じだったな。まあ、亜空間脱出機能があるからって言い方も出来るがな。俺達もそうだろ?」
「なるほど、確かに亜空間脱出機能により、死の恐怖がまるでないというのは精神的に有利に立てますからね」
「ただ、今回はぴぴさんとぷうさんが亜空間攻撃をして、キッチリ止めを刺してくれたからな。そういう意味じゃあ直接の戦果以上にプレッシャーを与えられたと思うぜ」
「そうですね。ただ、亜空間脱出機能といい、想定以上の強さといい、これは本格的に当初の予定を修正しないといけませんね」
「ああ、頼むぜ」
「とりあえず、今回の熊太郎さんの話を、黄鬼との戦闘データと共にギルドや軍に提供しますが、よろしいですか?」
「もちろんだ。妖精軍の連中なら黄色いのが相手でも弾幕で追い払えるとは思うが、奇襲なんかへの警戒は絶対に必要だしな」
「では、そのように致します。それでは、最後に3日後の妖精軍との連携行動に関する作戦の話し合いをさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「うむ」
「ああ、頼むぜ」

 さ~って、我輩も頑張って知恵を出して、良い作戦を考えないとだね!



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~

阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。 転生した先は俺がやっていたゲームの世界。 前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。 だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……! そんなとき、街が魔獣に襲撃される。 迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。 だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。 平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。 だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。 隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

「メジャー・インフラトン」序章4/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節JUMP! JUMP! JUMP! No1)

あおっち
SF
 港に立ち上がる敵AXISの巨大ロボHARMOR。遂に、AXIS本隊が北海道に攻めて来たのだ。その第1次上陸先が苫小牧市だった。  これは、現実なのだ!  その発見者の苫小牧市民たちは、戦渦から脱出できるのか。  それを助ける千歳シーラスワンの御舩たち。  同時進行で圧力をかけるAXISの陽動作戦。  台湾金門県の侵略に対し、真向から立ち向かうシーラス・台湾、そしてきよしの師範のゾフィアとヴィクトリアの機動艦隊。  新たに戦いに加わった衛星シーラス2ボーチャン。  目の離せない戦略・戦術ストーリーなのだ。  昨年、椎葉きよしと共に戦かった女子高生グループ「エイモス5」からも目が離せない。  そして、遂に最強の敵「エキドナ」が目を覚ましたのだ……。  SF大河小説の前章譚、第4部作。  是非ご覧ください。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

3024年宇宙のスズキ

神谷モロ
SF
 俺の名はイチロー・スズキ。  もちろんベースボールとは無関係な一般人だ。  21世紀に生きていた普通の日本人。  ひょんな事故から冷凍睡眠されていたが1000年後の未来に蘇った現代の浦島太郎である。  今は福祉事業団体フリーボートの社員で、福祉船アマテラスの船長だ。 ※この作品はカクヨムでも掲載しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。

処理中です...