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第30話 デメキンとの会敵
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今日はデメキンとの会敵の日だ。まずはめめさんが、ここに集まった4隻の宇宙船すべてに聞こえるように演説をする。我輩達の場合、3人しかいないから何となく戦闘に突入してるけど、めめさん達ほどの大所帯だと、こういうのも必要なのだろう。でも、ちょっとかっこいいね。
『みな聞け! 私達はこれよりデメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦を開始する。作戦内容は先日話した通り、ぴぴさん達が陽動を行い、釣れた相手を私達と熊太郎さん達で殲滅する。作戦名に関しては初耳の乗員のほうが多いと思うが、命名ははぴさんなので抗議は後日はぴさんに行うように。では、各々作戦行動を開始しろ!』
めめさんの裏切り者め! 作戦名考えてくれって言うから考えたのに! 作戦名考えてくれって我輩に言ったのがめめさんなら、この作戦名を承諾したのもめめさんなのに!
ミニぴぴぷちゃ号の耳は素晴らしくいいんだぞ、通信にちょっと入ってた笑い声の主、後で覚えてろ!
「はぴ? 大丈夫?」
「う、うむ。我輩としたことが、少し取り乱したようだ。ぴぴ、ぷう、準備はいいかね?」
「ええ、いつでも出れるわ」
「わたしもいつでも行けるよ!」
『めめさん、ミニぴぴぷちゃ号出発する』
『はい! ご武運を』
「ミニぴぴぷちゃ号、発進!」
我輩はめめさんの500m級の羊型宇宙船の頭の上に停泊させていたミニぴぴぷちゃ号を発進させる。ここからは、めめさん達と別行動だ。
『ミニぴぴぷちゃ号の離脱を確認、続いて熊型宇宙船、離脱してください』
『こちら熊型宇宙船の臨時キャプテン。離脱します』
『熊型宇宙船の離脱を確認。熊型宇宙船は予定通り絶対に敵と会敵しないように、距離を保ってください』
『はい!』
『これより本艦はステルスモードを使用して待ち伏せ地点へと移動を開始する。全システム、ステルスモードへ移行しろ!』
『光学迷彩、使用します!』
『レーダー欺瞞フィールド展開』
『船速、ステルス時船速に減速』
『本艦からのアクティブ型機器を遮断します』
めめさん達がステルスモードを起動したことにより、通信が途切れる。いくら光学迷彩やレーダー欺瞞フィールドを展開しても、通信しちゃったらせっかくのステルスが台無しだからね。ちょっと寂しいけどしょうがない。
めめさん達と別れた我輩達は、デメキン目がけて突撃する。現在のデメキンは、先行部隊の攻撃は終わり、代わりに我輩達よりも移動の速かったハンター達が交戦状態に入っている。でも、戦況はあんまり芳しくないみたいだ。
「ぴぴ、ぷう、見えてる?」
「ええ、あまり芳しい状況ではないようね」
「うん、このままだとハンターがどんどんやられちゃうね」
ハンター達の多くは我輩達と同じ肉食動物なので、その戦い方は我輩ですらわかる。まず、光学迷彩などのステルス系の技や技術を利用して、出来るだけ気付かれないように敵に接近する。そして十分に接近したら、BPSのバリアを発生させ突撃、暴れるだけ暴れたら離脱、というのがハンターの基本的な戦い方だ。
でも、現在はその得意な形に持っていけていない。情報にあった、一つ目鬼の狙撃型BPSの狙撃で、最初の段階の光学迷彩での接近が上手くいっていないようだ。ハンター達が十分に接近できる前に、一つ目に気付かれ、狙撃による妨害が入っている。
一つ目のBPSは、全高20mくらいの7頭身くらいの人型BPSだ。小鬼と比べると可愛げがない。特徴はやはり顔の半分もあろうかという巨大な目と、その全高と同じくらいの巨大なスナイパーライフルを持っている点だろう。かなり距離が離れているのに、ステルスモードのハンター達をこうもあっさり発見するとは、伊達に大きな目をしているわけでは無いようだ。おまけに、BPSには結構高度なステルス系の処理がされているみたいだ。一発撃つごとに居場所を変えて要るっぽいし、道理で報告の中に一つ目のBPSの詳細がなかったはずだ。これはなかなか見つけにくい。まあ、ミニぴぴぷちゃ号の目はごまかせないけどね!
流石に距離がありすぎて、狙撃1撃ではハンター達のBPSを落とせないみたいだけど、ハンター達は狙撃によって位置がばれると、デメキンからの直接攻撃と、デメキンからぞろぞろと湧いて出てくる小鬼達の宇宙船やBPSの飽和攻撃で、追い払われているみたいだ。
そして、そんなハンター達の離脱を妨害し、こっちの被害を拡大させているやつが、黄色い鬼だ。今は補給に戻っているのか、見える範囲にはいない。この黄鬼もまた20m級のBPSで、背中には高速戦闘用のブースターと、姿勢制御用のウイングが付いているという話だ。
ちなみに今回の囮作戦のターゲットは、この黄色だ。突入が上手くいけば、一つ目も仕留めちゃうけどね。
「煙幕を使ったり、デブリを使ったりもしているようだけど、戦果はいまいちのようね」
「うん、デメキンの進行方向に爆弾を仕掛けたりもしてるけど、火力もバリアも健在な今の状況だと、向こうも対処は楽だよね」
「妖精軍が来れば艦隊戦を仕掛けるでしょうから、相手の攻撃を引き受けてくれるでしょうけど」
「その前に敵戦力の正確な把握と、妖精軍が倒せそうにないほどの戦力だったら、削っておかないと危険だよね」
「ええ、予定通りやるしかないわね」
「でも、これだけハンターがいると、意図せずデメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦の邪魔をするハンターがでないかな?」
「そこはめめさんが上手くやるんじゃないかしら? 熊さん達を自発的に従わせるような羊よ?」
「うん、わたしもそう思う」
「そっか、じゃあ、予定通り行っちゃうね!」
我輩はミニぴぴぷちゃ号をさらに加速させ、どんどんデメキンへと接近する。
「ぴぴ、ぷう、出る?」
「ええ、出るわ」
「わたしも!」
ぴぴの切り裂き王と、ぷうの噛み付き王を発進させる。そして、2機のBPSが先行する形でデメキンの制空権内へと一気に突撃する。
『おい、そこの猫ども! BPSは良いが、宇宙船はダメだ!』
我輩達の姿を捉えた他のハンターさんが何か言っているけど、いまは申し訳ないけど無視だ。現在作戦行動中!
ぴぴとぷうはステルスモードを起動させているけど、今回は目がいいやつがいるし、かく乱のためにミニぴぴぷちゃ号はステルスモードなしで突っ込む。というか、ミニぴぴぷちゃ号は何をするわけでもないけど、いつもぴぴとぷうについて行っているので、今日もいつも通りついて行くのだ。ミニぴぴぷちゃ号にもステルスモードは付いてるけど、ミニぴぴぷちゃ号のかわいらしさが見えなくなるし、いつも起動してないので今日も起動しない。違う、今日は囮なので起動しない!
すると早速、敵が食いついてきた。我輩のミニぴぴぷちゃ号へと敵の攻撃が集中する。あっちこっちから飛んでくるビームのシャワーの中を、ミニぴぴぷちゃ号はかれいに飛びながら進んでいく。
ふっふっふ、ミニぴぴぷちゃ号は頑丈なだけではないのだよ! なにせミニぴぴぷちゃ号は、その最大の使命として、ぴぴとぷうについて行く必要があるのだ。もっと言うなら、二人のピンチに迅速に駆け付けて、回収する必要があるのだ。つまり、速くて頑丈っていうのは、ミニぴぴぷちゃ号がミニぴぴぷちゃ号である存在理由といってもいいのだよ! 前回みたいに妖精軍の盾にされている状況下じゃなければ、この程度のビーム、よけることなど造作もないわ!
「避けてるっていうか、適当にうごいているだけでしょ?」
「でも、半分くらいは避けられてるみたいだよ」
あう、心の声が漏れてるなんて。
まあ、ぴぴとぷうに聞かれる分にはいいか。我輩はランダムな飛行経路を取りつつも、ぴぴとぷうの後ろを確実について行く。ぴぴとぷうとはちょっと距離を取っているので、ミニぴぴぷちゃ号狙いの流れ弾が二人に当たることはないので大丈夫だ。
ぴぴとぷうは周辺の小鬼達を撃破しながら、デメキンの表面まで一気に突っ込む。ぴぴとぷうの狙いは、デメキンの表面からハンター達の邪魔をしている一つ目の狙撃兵と、火力が高いデメキンの砲台、それから、こちらの遠距離攻撃を防いでくるデメキンのバリア発生装置だ。
我輩もかれいにビームをよけながら二人の後をついて行っていたんだけど、突然我輩の前にバリアが展開されると、それに激突してしまう。
がごん!
べきい!
あ~、焦った。そっか、ぴぴとぷうを正確に把握できていないから、我輩の妨害をしようと、ミニぴぴぷちゃ号の前にバリアを張ったのか。それにしても今のバリア、なかなかいやらしいタイミングだ。ミニぴぴぷちゃ号だったから良かったものの、普通の足が速いだけの宇宙船やBPSなら、バリアにぶつかった衝撃で壊れていたかもしれない。
『おいおいマジかよ。あの猫ども、バリアぶち抜いて突っ込みやがった!』
『おい、お前ら、猫どもに手柄もってかれていいのか? 猫に障害を全部排除してもらって、お膳立てしてもらってやっと活躍できましたなんて、笑えねえぞ!』
『この機を逃すな! 今の内に攻め立てるぞ!』
ハンターさん達が何か言ってるけど、今は構っていられない。
ぴぴが一つ目を、ぷうがデメキンの火器やバリア発生装置を壊して回る。本来なら鬼は小鬼なんかよりもだいぶ強い存在だけど、狙撃特化の一つ目のBPSなら、接近できた時点でぴぴの敵ではないようだ。
ぴぴとぷうのステルスモードも、鬼には流石にばれてるかと思ったけど、今のところは平気みたいだ。ううん、違った。ぴぴへは一つ目達が反撃してるから、これはばれている。でも、ぴぴに攻撃しているのはぴぴに近い一部の一つ目だけだ。流石の一つ目鬼も、ぴぴの切り裂き王のステルスモードを遠距離で見破ることは難しいようだね。
我輩のミニぴぴぷちゃ号は、その後も華麗に敵に攻撃を回避し続け、敵の注意をどんどん引く。
「黄色いのが出てきたようね。離脱するわよ」
「「うん!」」
すると、ついに本命の黄色いのが出てきた。今の攻撃でデメキンの右舷にいた一つ目鬼の狙撃型BPSと、デメキン本体の火器とバリアをそこそこ潰せたし、引き時だね。あとは我輩達の本来の仕事である囮をこなすだけだ!
我輩達はデメキンから離脱する。さあ、付いてくるがいい! めめさん達のところにご招待してやろう!
真っ先に追いかけてきたのは、デメキンから飛び出してきた黄色いのだけど、黄色いの以外にも、小鬼の1000m級の生首型宇宙船までこちらを狙って動き出している。
ハンター達が余計なちょっかいを出さないか気になったけど、その心配はいらないみたいだ。ハンター達はデメキンへの攻勢を強めていて、こっちに構う余裕はなさそうだ。
それにしても、黄色いのは速いね。2足歩行なのに、この速度についてこれるなんて。これが背中のブースターと羽の効果なのかな?
さあて、ここからは我輩とミニぴぴぷちゃ号の本領発揮だ!
我輩は、いかにも必死に逃げてます風を装って待ち伏せポイントへと敵をおびき寄せる。黄色いのからは全力で逃げつつも、1000m級からの砲撃のせいで直線的逃げれない風を装う。こうしないと、足の速い黄色いのと、足の遅い1000m級を同時に誘い込めないからね。本来なら黄色いのだけでもいいのかもしれないけど、せっかくだから1000m級2隻もご招待だ。
この時重要なのは、あとちょっとで撃墜できるかも風の演技だ。え? 具体的にはどうやっているのかって? え~っと、とりあえず、さっきの攻勢時の小鬼達の攻撃で左足が動かなくなって、速度が出せないふりをしつつ、台所でわざと煙がたくさん出るような料理をして、その煙を外に排出する!
ふっふっふ、流石は我輩、流石はミニぴぴぷちゃ号、完璧な名演技だ! 見事に黄色いのを30機くらいと、2隻の1000m級生首型宇宙船を、待ち伏せポイントへとおびき寄せるのに成功した!
『みな聞け! 私達はこれよりデメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦を開始する。作戦内容は先日話した通り、ぴぴさん達が陽動を行い、釣れた相手を私達と熊太郎さん達で殲滅する。作戦名に関しては初耳の乗員のほうが多いと思うが、命名ははぴさんなので抗議は後日はぴさんに行うように。では、各々作戦行動を開始しろ!』
めめさんの裏切り者め! 作戦名考えてくれって言うから考えたのに! 作戦名考えてくれって我輩に言ったのがめめさんなら、この作戦名を承諾したのもめめさんなのに!
ミニぴぴぷちゃ号の耳は素晴らしくいいんだぞ、通信にちょっと入ってた笑い声の主、後で覚えてろ!
「はぴ? 大丈夫?」
「う、うむ。我輩としたことが、少し取り乱したようだ。ぴぴ、ぷう、準備はいいかね?」
「ええ、いつでも出れるわ」
「わたしもいつでも行けるよ!」
『めめさん、ミニぴぴぷちゃ号出発する』
『はい! ご武運を』
「ミニぴぴぷちゃ号、発進!」
我輩はめめさんの500m級の羊型宇宙船の頭の上に停泊させていたミニぴぴぷちゃ号を発進させる。ここからは、めめさん達と別行動だ。
『ミニぴぴぷちゃ号の離脱を確認、続いて熊型宇宙船、離脱してください』
『こちら熊型宇宙船の臨時キャプテン。離脱します』
『熊型宇宙船の離脱を確認。熊型宇宙船は予定通り絶対に敵と会敵しないように、距離を保ってください』
『はい!』
『これより本艦はステルスモードを使用して待ち伏せ地点へと移動を開始する。全システム、ステルスモードへ移行しろ!』
『光学迷彩、使用します!』
『レーダー欺瞞フィールド展開』
『船速、ステルス時船速に減速』
『本艦からのアクティブ型機器を遮断します』
めめさん達がステルスモードを起動したことにより、通信が途切れる。いくら光学迷彩やレーダー欺瞞フィールドを展開しても、通信しちゃったらせっかくのステルスが台無しだからね。ちょっと寂しいけどしょうがない。
めめさん達と別れた我輩達は、デメキン目がけて突撃する。現在のデメキンは、先行部隊の攻撃は終わり、代わりに我輩達よりも移動の速かったハンター達が交戦状態に入っている。でも、戦況はあんまり芳しくないみたいだ。
「ぴぴ、ぷう、見えてる?」
「ええ、あまり芳しい状況ではないようね」
「うん、このままだとハンターがどんどんやられちゃうね」
ハンター達の多くは我輩達と同じ肉食動物なので、その戦い方は我輩ですらわかる。まず、光学迷彩などのステルス系の技や技術を利用して、出来るだけ気付かれないように敵に接近する。そして十分に接近したら、BPSのバリアを発生させ突撃、暴れるだけ暴れたら離脱、というのがハンターの基本的な戦い方だ。
でも、現在はその得意な形に持っていけていない。情報にあった、一つ目鬼の狙撃型BPSの狙撃で、最初の段階の光学迷彩での接近が上手くいっていないようだ。ハンター達が十分に接近できる前に、一つ目に気付かれ、狙撃による妨害が入っている。
一つ目のBPSは、全高20mくらいの7頭身くらいの人型BPSだ。小鬼と比べると可愛げがない。特徴はやはり顔の半分もあろうかという巨大な目と、その全高と同じくらいの巨大なスナイパーライフルを持っている点だろう。かなり距離が離れているのに、ステルスモードのハンター達をこうもあっさり発見するとは、伊達に大きな目をしているわけでは無いようだ。おまけに、BPSには結構高度なステルス系の処理がされているみたいだ。一発撃つごとに居場所を変えて要るっぽいし、道理で報告の中に一つ目のBPSの詳細がなかったはずだ。これはなかなか見つけにくい。まあ、ミニぴぴぷちゃ号の目はごまかせないけどね!
流石に距離がありすぎて、狙撃1撃ではハンター達のBPSを落とせないみたいだけど、ハンター達は狙撃によって位置がばれると、デメキンからの直接攻撃と、デメキンからぞろぞろと湧いて出てくる小鬼達の宇宙船やBPSの飽和攻撃で、追い払われているみたいだ。
そして、そんなハンター達の離脱を妨害し、こっちの被害を拡大させているやつが、黄色い鬼だ。今は補給に戻っているのか、見える範囲にはいない。この黄鬼もまた20m級のBPSで、背中には高速戦闘用のブースターと、姿勢制御用のウイングが付いているという話だ。
ちなみに今回の囮作戦のターゲットは、この黄色だ。突入が上手くいけば、一つ目も仕留めちゃうけどね。
「煙幕を使ったり、デブリを使ったりもしているようだけど、戦果はいまいちのようね」
「うん、デメキンの進行方向に爆弾を仕掛けたりもしてるけど、火力もバリアも健在な今の状況だと、向こうも対処は楽だよね」
「妖精軍が来れば艦隊戦を仕掛けるでしょうから、相手の攻撃を引き受けてくれるでしょうけど」
「その前に敵戦力の正確な把握と、妖精軍が倒せそうにないほどの戦力だったら、削っておかないと危険だよね」
「ええ、予定通りやるしかないわね」
「でも、これだけハンターがいると、意図せずデメキンにゃんこ囮だにゃ~作戦の邪魔をするハンターがでないかな?」
「そこはめめさんが上手くやるんじゃないかしら? 熊さん達を自発的に従わせるような羊よ?」
「うん、わたしもそう思う」
「そっか、じゃあ、予定通り行っちゃうね!」
我輩はミニぴぴぷちゃ号をさらに加速させ、どんどんデメキンへと接近する。
「ぴぴ、ぷう、出る?」
「ええ、出るわ」
「わたしも!」
ぴぴの切り裂き王と、ぷうの噛み付き王を発進させる。そして、2機のBPSが先行する形でデメキンの制空権内へと一気に突撃する。
『おい、そこの猫ども! BPSは良いが、宇宙船はダメだ!』
我輩達の姿を捉えた他のハンターさんが何か言っているけど、いまは申し訳ないけど無視だ。現在作戦行動中!
ぴぴとぷうはステルスモードを起動させているけど、今回は目がいいやつがいるし、かく乱のためにミニぴぴぷちゃ号はステルスモードなしで突っ込む。というか、ミニぴぴぷちゃ号は何をするわけでもないけど、いつもぴぴとぷうについて行っているので、今日もいつも通りついて行くのだ。ミニぴぴぷちゃ号にもステルスモードは付いてるけど、ミニぴぴぷちゃ号のかわいらしさが見えなくなるし、いつも起動してないので今日も起動しない。違う、今日は囮なので起動しない!
すると早速、敵が食いついてきた。我輩のミニぴぴぷちゃ号へと敵の攻撃が集中する。あっちこっちから飛んでくるビームのシャワーの中を、ミニぴぴぷちゃ号はかれいに飛びながら進んでいく。
ふっふっふ、ミニぴぴぷちゃ号は頑丈なだけではないのだよ! なにせミニぴぴぷちゃ号は、その最大の使命として、ぴぴとぷうについて行く必要があるのだ。もっと言うなら、二人のピンチに迅速に駆け付けて、回収する必要があるのだ。つまり、速くて頑丈っていうのは、ミニぴぴぷちゃ号がミニぴぴぷちゃ号である存在理由といってもいいのだよ! 前回みたいに妖精軍の盾にされている状況下じゃなければ、この程度のビーム、よけることなど造作もないわ!
「避けてるっていうか、適当にうごいているだけでしょ?」
「でも、半分くらいは避けられてるみたいだよ」
あう、心の声が漏れてるなんて。
まあ、ぴぴとぷうに聞かれる分にはいいか。我輩はランダムな飛行経路を取りつつも、ぴぴとぷうの後ろを確実について行く。ぴぴとぷうとはちょっと距離を取っているので、ミニぴぴぷちゃ号狙いの流れ弾が二人に当たることはないので大丈夫だ。
ぴぴとぷうは周辺の小鬼達を撃破しながら、デメキンの表面まで一気に突っ込む。ぴぴとぷうの狙いは、デメキンの表面からハンター達の邪魔をしている一つ目の狙撃兵と、火力が高いデメキンの砲台、それから、こちらの遠距離攻撃を防いでくるデメキンのバリア発生装置だ。
我輩もかれいにビームをよけながら二人の後をついて行っていたんだけど、突然我輩の前にバリアが展開されると、それに激突してしまう。
がごん!
べきい!
あ~、焦った。そっか、ぴぴとぷうを正確に把握できていないから、我輩の妨害をしようと、ミニぴぴぷちゃ号の前にバリアを張ったのか。それにしても今のバリア、なかなかいやらしいタイミングだ。ミニぴぴぷちゃ号だったから良かったものの、普通の足が速いだけの宇宙船やBPSなら、バリアにぶつかった衝撃で壊れていたかもしれない。
『おいおいマジかよ。あの猫ども、バリアぶち抜いて突っ込みやがった!』
『おい、お前ら、猫どもに手柄もってかれていいのか? 猫に障害を全部排除してもらって、お膳立てしてもらってやっと活躍できましたなんて、笑えねえぞ!』
『この機を逃すな! 今の内に攻め立てるぞ!』
ハンターさん達が何か言ってるけど、今は構っていられない。
ぴぴが一つ目を、ぷうがデメキンの火器やバリア発生装置を壊して回る。本来なら鬼は小鬼なんかよりもだいぶ強い存在だけど、狙撃特化の一つ目のBPSなら、接近できた時点でぴぴの敵ではないようだ。
ぴぴとぷうのステルスモードも、鬼には流石にばれてるかと思ったけど、今のところは平気みたいだ。ううん、違った。ぴぴへは一つ目達が反撃してるから、これはばれている。でも、ぴぴに攻撃しているのはぴぴに近い一部の一つ目だけだ。流石の一つ目鬼も、ぴぴの切り裂き王のステルスモードを遠距離で見破ることは難しいようだね。
我輩のミニぴぴぷちゃ号は、その後も華麗に敵に攻撃を回避し続け、敵の注意をどんどん引く。
「黄色いのが出てきたようね。離脱するわよ」
「「うん!」」
すると、ついに本命の黄色いのが出てきた。今の攻撃でデメキンの右舷にいた一つ目鬼の狙撃型BPSと、デメキン本体の火器とバリアをそこそこ潰せたし、引き時だね。あとは我輩達の本来の仕事である囮をこなすだけだ!
我輩達はデメキンから離脱する。さあ、付いてくるがいい! めめさん達のところにご招待してやろう!
真っ先に追いかけてきたのは、デメキンから飛び出してきた黄色いのだけど、黄色いの以外にも、小鬼の1000m級の生首型宇宙船までこちらを狙って動き出している。
ハンター達が余計なちょっかいを出さないか気になったけど、その心配はいらないみたいだ。ハンター達はデメキンへの攻勢を強めていて、こっちに構う余裕はなさそうだ。
それにしても、黄色いのは速いね。2足歩行なのに、この速度についてこれるなんて。これが背中のブースターと羽の効果なのかな?
さあて、ここからは我輩とミニぴぴぷちゃ号の本領発揮だ!
我輩は、いかにも必死に逃げてます風を装って待ち伏せポイントへと敵をおびき寄せる。黄色いのからは全力で逃げつつも、1000m級からの砲撃のせいで直線的逃げれない風を装う。こうしないと、足の速い黄色いのと、足の遅い1000m級を同時に誘い込めないからね。本来なら黄色いのだけでもいいのかもしれないけど、せっかくだから1000m級2隻もご招待だ。
この時重要なのは、あとちょっとで撃墜できるかも風の演技だ。え? 具体的にはどうやっているのかって? え~っと、とりあえず、さっきの攻勢時の小鬼達の攻撃で左足が動かなくなって、速度が出せないふりをしつつ、台所でわざと煙がたくさん出るような料理をして、その煙を外に排出する!
ふっふっふ、流石は我輩、流石はミニぴぴぷちゃ号、完璧な名演技だ! 見事に黄色いのを30機くらいと、2隻の1000m級生首型宇宙船を、待ち伏せポイントへとおびき寄せるのに成功した!
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