にゃがために猫はなく

ぴぴぷちゃ

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第29話 明日はデメキン!

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「はぴさん、熊太郎さん、お越しいただきありがとうございます」
「いや、構わないさ」
「ああ。デメキンとの会敵は明日だろ? 俺としても最終打ち合わせはしたいと思っていたんだ」
「ありがとうございます」

 惑星アルファを出発してすでに11日。デメキンの速度、予想進路ともに変化はなく、我輩達は会敵の日を明日に控えていた。

「熊太郎さん達のBPSの調子はいかがでしょうか?」
「さっき動かして見たんだが、バッチリだ。ってか、はぴさん達から譲ってもらったスペースマテリアルのおかげで、前よりパワーアップしてるぜ! 特に、超高濃度のスペースマテリアルを使って作った武器は、めちゃくちゃすげえぜ! 鬼どもと戦うのが楽しみだぜ!」
「あれは熊さん達の取り分だ。譲ったわけではない」

 実は、スペースマテリアルの扱いに関しては、我輩達と熊さん達の間でちょっともめていた。当初熊さん達は、スペースマテリアルの入手は我輩達の手柄だから、受け取れないと我がままを言ってきたのだ。スペースマテリアルを採掘した時、熊さん達のBPSがすでに壊れていて、手伝えなかったのを気にしていたらしい。

 そんなの気にしなくていいのにね。だいたい、熊さん達が派手に暴れて敵を引き付けていたからこそ、ぴぴがテラフォーミング施設の自爆前にあそこを発見できたのだ。そういう意味で十分貢献してくれている。

 ただ、そんな我輩達の説得に、熊さん達は、ぴぴさんとぷうさんだけなら、ステルスモードでもっと奥まで余裕で探索出来ただろ? なんなら小鬼どもがトロッコで運び込んだ先、貯蔵庫の発見だって出来たかもだろ? って言ってきたんだ。まあ、それはそうかもしれないけど、一緒に攻略したんだから、黙って半分受け取ってほしいよね。そもそも半分っこする予定でたくさん取ってきたんだし。

 よって、熊さん達にも受け取る権利がある! いや、権利だと受け取らないことが出来ちゃうから、義務がある! って説得したら、ようやく受け取ってもらえたんだ。それなのに、譲ってもらっただと? だ~、もう、なんだこの面倒くさい熊は。

 こうなったら、ぴぴにもう一回引っかいてもらおうかな。いや、一回と言わずに、その面倒くさい熊のハートに、がっつり刻み込まれるまで引っかいてもらおう。

「いや、そうは言われてもな。あ~くそ、わかったよ。でも、礼だけは言っとくぞ、ありがとな」

 どうやらぴぴに頼まなくてもよかったようだ。突然納得したけど、これは、あれかな。我輩のハードボイルドにゃんこ的なプレッシャーの前に、熊さんが折れたってことかな? ふっふっふ、流石我輩だ。

「うむ。気にするな」
「ああ」
「ふふふ、私達にまで分けていただいて、本当にありがとうございます」
「お土産だ。気にするな」
「はい! それで、ぴぴさんのBPSはどうですか?」
「通常の戦闘に支障がない程度には修理できたみたいだ。ただ、もともとの設計の問題もあって、完治とはいかなかったみたいだな」
「やはり、完全には直らなかったのですね」
「うむ」
「ぴぴさんのBPSは、大きさからして特殊だからな。俺達のBPSみたいに、ある種汎用品とは違うだろうし、しゃーないか。でもよ、完全に直すにはどうするんだ? 今のままの中途半端な状態じゃあ困るだろ?」
「ミニぴぴぷちゃ号の設備でも、時間さえかければ修理は出来るようになっているから心配はいらない。それに、もしミニぴぴぷちゃ号で対応できない想定外の事態があっても、猫の国にある製造拠点に戻れば問題ないしな」
「そっか、それならよかったぜ」
「そういうわけだから、今はデメキンの攻略に全力を尽くすとしよう」
「おう」
「はい! では、現状をお伝えいたします」
「うむ」
「頼むぜ」
「まず、ハンターギルドより連絡のあった件になります。お二方のところにも届いていると思いますが、先行部隊による威力偵察の報告になります。先行部隊は予定通りデメキンに対してチクチクと攻撃を開始。デメキン内の敵戦力のおびき出しに成功しました。観測班からの報告によれば、確認できた敵の種類は、鬼や小鬼が多数。細かい種類まで言ってしまえば、1本角、2本角、一つ目、二つ目、赤いの、青いの、黄色いのなどなど、多数の鬼種の存在を確認。とのことです。また、敵の宇宙船として確認できたのは、小鬼の生首型宇宙船の2000m級を3隻、1000m級を30隻とのことです」
「ってことは威力偵察は大成功ってことか」
「そうなります。ただ、先行部隊は軽く突いただけで、すでに半壊状態、修理再編には、どんなに早くとも5日はかかるそうです」
「おいおい、連中は全員快速部隊だったはずだろ? そんな簡単に大損害を受けたのか?」
「はい。黄色と一つ目にやられたそうです」
「あ~、そうだったな。黄色の鬼は速いんだったな。しかもそこに狙撃に向いてる一つ目もいたとなると、結構きついな」
「はい。単純な速さだけでしたら、猛禽類を始めとしたこちらの快速部隊のほうが速かったらしいのですが、一つ目の狙撃との連携にやられたそうです」
「そんな連携を、小鬼ならともかく、鬼にされちゃあ、むしろよくぞ半壊で逃げのびたってところだな。だが、違う種類の鬼がこうも見事に連携してくるってのは、厄介だな」
「はい。本部からも、決して無理はするなとのメッセージが来ています。それに伴い、妖精軍と歩調を合わせようとしているハンターも多いようですが、私達はいかがいたしましょう?」
「うう~ん、悩みどころだな。俺達の得意な戦い方は少人数での奇襲戦なんだが、ここには隠れる場所がないんだよな。せめてデブリ地帯なんかでの戦いだったらやりようはあったんだがな」
「私達は幸い、ジャコウネコ班がおりますので、隠密行動も多少は可能です」
「ふむ、ではこうしよう。我輩達が敵を釣りだすから、二人の部隊はデメキンからの支援攻撃が届かない位置で待ち伏せ、敵が釣れたところでせん滅というのはどうかな?」
「それは構わないが、はぴさん達の負担がデカすぎないか?」
「それは大丈夫。任せてもらおう」
「わかった」
「はい! では、基本方針ははぴさんの案で、細部を詰めていきましょう」
「そうだな」
「うむ」
「まず、熊太郎さん達の宇宙船は輸送船タイプということで、直接戦闘には不参加ということですよね?」
「ああ、それで頼む。火器もなきゃあ防御力も戦闘に耐えられるほどないからな。それになにより、操縦するやつがいない」
「では、操縦は私達に任せていただいてもよろしいでしょうか? 自動操縦システム等、亜空間脱出フィールドによるサポートをしつつも、船が安全な距離を確保する方法があるのはわかっているのですが、乗り手がいたほうがより安全です」
「そいつはありがたいがいいのか?」
「はい。私達にはサポート専門のメンバーもおりますのでお任せください」
「助かるぜ」
「はぴさん達の釣りだし班は、3人全員で行いますか?」
「うむ、その予定だ」
「かしこまりました。では釣りだし部隊にはぴさん達3名、釣りだした敵をせん滅するのに私達と熊太郎さん達ということですね。熊太郎さん達の配置に関してなのですが」
「そこら辺はめめさんに任せるぜ」
「よろしいのですか?」
「ああ。俺達は軍に協力して戦ったこともあるからな。他人の指揮下で動くことにそこまで嫌悪感はないんだ。ましてや今回は指揮するのがめめさんだろ? なおさらだ」
「ありがとうございます! では、次になるのですが・・・・・・」

 その後も、二人と細かいところをいろいろと詰めていく。ん~、ついに明日デメキンとの会敵か~、ぴぴとぷうも久しぶりの大物狩りってことで張り切っちゃってるし、我輩も頑張らないとだ!


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