にゃがために猫はなく

ぴぴぷちゃ

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第21話 やっぱ一緒がいいよね

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 小鬼達をのぞく時、小鬼達もまたわたし達のことをのぞいているだ。

 というわけで、落下中のわたし達が小鬼達を把握したのとほぼ同時に、小鬼達もわたし達を補足したようだ。まあ、さっき熊さん達が気合を入れるために思いっきり吠えていたので、見つかって当然だけどね。

「ディアネス! 一発ぶちかませ! 場所は小鬼どもの増援が出てきてるあのあたりだ!」
「わかった! ぷうさん。床はぶん殴っても大丈夫そうか?」
「たぶん平気!」
「おし、任せろ!」
「カーロ、お前は熊次郎を守れ! 熊次郎は下まで降りずに、適当な高さから攻撃しろ!」
「ううん、カーロも突っ込んで、僕なら一人で平気!」
「わかった! カーロ、お前も俺と突っ込むぞ!」
「おう!」

「ぷぷぷビーム、ビーム、ビーム!」
「がっお~ん!」

 わたしと熊次郎は遠距離攻撃を開始する。わたしはぷぷぷビームで30mの大物を狙い、熊次郎は口と両手から大量のビームを発射してとにかく弾幕を張る。小鬼達もビームを発射して応戦してくるが、ここはそれなりに広さがある。わたしと熊次郎は正面にバリアを張りながらも動き回り、敵に狙いを定めさせないようにしながら戦う。

「があお~!」

 ディアネスは口にハンマーを咥え、前方にバリアを展開し、4足歩行で全力で空を駆ける。そして、凄まじい勢いで小鬼達が大量に出入りしている扉の周辺へと落下する。そして、地面にぶつかる寸前でくるっと斜めに回転しながらハンマーを手に取り、思いっきり地面をぶん殴った。

「ぬおおおお! ハイパーベアインパクト!」

 どか~ん!

 おお~、流石ディアネス、凄いパワーだね。

 開きっぱなしの巨大な扉の前で繰り出されたディアネスのハイパーベアインパクトによって、フロアの床が思いっきりめくりあがって、巨大な扉の前にでっかい障害物として立ちふさがる。これなら通路から出てこようとする小鬼達がつっかえて、増援の邪魔が出来るね!

 そして、熊太郎とカーロはディアネスとはそれぞれ違う場所に降り立ち、接近戦を開始する。

 障害物がないから二人はそれなりに敵の攻撃を浴びることになってるけど、熊太郎もカーロもやる気満々だ。さっきまでの余計な消耗を抑えようって戦い方とは打って変わって、全身に結構な強度のバリアを展開しながら大暴れしてる。どうやらここが勝負所と見たようだね。

 増援もちょこちょこ来ているみたいだけど、ディアネスの障害物のおかげで、このフロアに入るのに苦戦してるみたいだし、順調順調ってかんじだね!

 このままいけばフロアの制圧ももうすぐかなって思ってたんだけど、通路の奥からドスドスと大きい足音が近づいてきたかと思ったら、大物が現れた。

 ディアネスの作った障害物すら吹き飛ばして現れたのは、3体の50mの超大型BPSだった。武装は、近接戦を意識してか3体全部近接戦用の武器だ。

「こいつらは!」
「ちいい、面倒なのが3体も来やがって!」

 50mの超大型BPSが現れると、今まで開きっぱなしだった扉の隔壁が閉まり始める。

「おい、ぷう、熊太郎。隔壁が閉まるぞ」
「まさか、この50m3体で対処出来なかったら、この基地を捨てるつもりか?」
「たぶんそういう意図だね」
「まあ、構わんじゃろう。そのデカい扉の隔壁はかなりの強度と厚みがありそうじゃが、こいつらを始末した後でゆっくり壊せばいいだけじゃからな」
「だね」
「だな。ぷうさん、1体任せてもいいか?」
「うん」
「ディアネス、俺と1体やるぞ。カーロは1体時間稼ぎを頼む。熊次郎は残りの雑魚どもの相手をしながら、随時援護を頼む」
「「おう!」」
「うん!」

 熊さん達は熊次郎を支援に、防御力に優れたカーロに1体の相手を任せ、熊太郎とディアネスので1体をサクッと倒すつもりのようだ。

 さて、前回宇宙で出会った時はぴぴに取られちゃったからね。今日はたっぷり遊ぼっと。

 わたし達の中で最初に仕掛けたのは熊太郎だ。それはそうだよね。こっちが戦う敵を選びたい以上、仕掛けないとだもんね。熊太郎とディアネスは一番右側にいたでっかいのに攻撃を仕掛ける。でも、流石は小鬼達の切り札的BPSだ。ただただ大きいだけじゃなくて、動きも速い! それに、こっちみたいな即席パーティーってわけでもないみたいだね。連携して動こうとしてくる。でも、そこはカーロとわたし、それから熊次郎によって連携出来ないように分断にかかる。

 カーロが真ん中のでっかいのに突撃し、更に熊次郎がそれを援護する。わたしは一番左にいたでっかいのが他のところへ行かないように、あいさつ代わりのぷぷぷビームを発射する。でっかいのも油断はしていなかったようだ。でっかいののバリアにぷぷぷビームが当たり、そのままさくっと貫通した。

 ・・・・・・、ちょっと威力が高かったのかな。もっと遊びたアかったのに、物足りない。

 でもそうだよね。ぴぴだってあっさり倒してたし、ぷぷぷビームが効かないほど丈夫じゃないよね。熊さん達の援護は~、う~ん、いらないかな。わたしが横取りされたらって考えると、うんダメだね。その選択肢はないや。こうなったらお弁当でも食べてよ。

 わたしはお弁当を食べながらのんびり観戦する。熊太郎とディアネスはでっかいのにどんどん攻撃をして、どんどん追い詰めていく。いくら小鬼達のもっている最強のBPSとはいえ、熊さん相手に2体1は辛いみたいだね。でっかいのが熊太郎を狙えばその隙に死角からディアネスが攻撃し、でっかいのがディアネスを狙えば、熊太郎がという感じだ。ん~、ほとんど一方的な展開であんまり面白くないな。

 カーロが相手してるでっかいのが、仲間のピンチを察知して熊太郎と戦っているでっかいのの援護に行きたがっているようだけど、カーロのなかなかいやらしい立ち回りによって援護に行くことが出来ないみたいだね。それに、わたしのこともかなり気にしてるっぽい。う~ん、仲間が速攻で1体落ちたにもかかわらず、明確な隙を見せなかったのはすごいけど、それだけかな~。

 熊次郎の攻撃によって10mや30mの小鬼のBPSはほぼ全滅してるし、もうじき勝負ありかなって思っていたら、でっかいのが暗号化もされていないチャンネルでいきなり話し始めた。ちょっと意味がわかんないよね。普通は暗号通信で味方だけにわかるように話すでしょ。

『なぜだ? なぜ貴様らは我々を攻撃する』
「なぜ? そりゃあ宇宙パワーの豊富なこの星系が欲しいからだな」

 熊太郎がその通信に答える。なにがしたいのかと思ったけど、熊太郎に話しかけてたのか。でも、いったい何の意味があるんだろうね。そして熊太郎もなかなか律儀な熊さんだ。小鬼の通信に答えてあげてる。

 そうそう、お互いの言葉がわかるのはそんな複雑な理由じゃないんだ。敵の動向を探るための通信傍受はどっちも当たり前にしているんだけど、傍受できても会話内容がわかんないんじゃ意味が無いってことで、お互いに言語解析をしてるんだ。そして、大抵のBPSには翻訳機能くらいは付いてるの。

『我々はこの星系に住んでいるだけだ。なぜその地を奪うのかと聞いている!』
「は? 何言ってやがんだ。その説明はもうしただろ?」
『貴様らは自分達のほしいもののためなら、他の生物がどうなってもいいというのか?』
「何当たり前のことを言ってんだよ。お前らだって植物なり動物なり、食ってんだろうが」
『知性もない植物や現生物どもと我らとではそもそもが違う!』
「俺達にとっては違わねえよ」

 その後もおしゃべりをしながら戦う熊太郎達だったけど、熊太郎達はどんどん小鬼を追い詰めていく。そして、どうやら勝負あったようだ。熊太郎達が相手をしていたでっかいのは、もうボロボロでまともに動けそうにない。カーロの相手も、雑魚を倒し終えた熊次郎が本格的に参戦しだしたこともあって、結構ボロボロだ。しかもここからは4対1、もう完全に消化試合だね。

『おのれ、おのれよくも我が同胞を! 貴様らはいつもそうだ。我々が大切にしているものをっ』

 カーロと戦ってたでっかいのがなにかしゃべっていたみたいだけど、カーロと戦ってたでっかいのはいきなり切り裂かれた。この切り口は、間違いなくぴぴだね。ぴぴがいつの間にか閉まってたはずの隔壁を切り裂いて、帰ってきてたみたいだ。ぴぴは自分が攻撃したいときに攻撃するから、相手がしゃべっていようが基本無視だしね。

「ただいま~」
「おかえり。ってあれ? ぴぴ、切り裂き王が」

 わたしがぴぴに切り裂き王なんかダメージ受けてないって話しかけようとしたとき、異変が起こる。

 ごごごごごごっ!

 地鳴りのような音が鳴り響き、更に基地全体が揺れ始める。そして、床が割れ、真ん中のシャフトにも亀裂が走る。

「おいおいおいおい、なんだよこれ」
「まさか、これは。自爆!?」

『ごふっ、ごはっ、その通りだ。我々が敗れたら、テラフォーミング施設を暴走させる。そういう手筈だったからな。この莫大な量の宇宙パワーの暴走の前に、貴様らの脱出装置が機能するとは思わんことだ。死出の旅の供が貴様らというのは気に入らんが、付き合ってもらうぞ。がふあっ。ゼン、ハシ、さらばだ』

 熊太郎達にボコボコにされていたでっかいのが、どうやらまだ生きていたようだ。なにやらごたごた言っているようだけど、でっかいのの下の床が割れ、そこに落ちていく。そして、床や真ん中のシャフトの割れ目から、炎が噴き出す。

「むう、まずいぞ。母艦の脱出用のフィールドが見つからん!」
「ちい、やばいな。BPSがダメージを受け始めてる! ぷうさん、そっちはどうだ?」
「こっちは大丈夫! ミニぴぴぷちゃ号の脱出フィールドはこの程度じゃ全然平気だから問題ないよ」
「なるほど、じゃあそっちの空間間借りさせてもらうぜ」
「いいえ、その必要はないわ」
「なんでだ!?」
「はぴが来たみたい」

「んん~。やっと抜けた~!」

 すると丁度いいタイミングでミニぴぴぷちゃ号が天井をぶち抜いて現れる。

「我輩にゃんじょう! も~、この氷なんなの? がりがり削りながら進むの苦労したんだけど」
「はぴ、私達を回収して」
「は~い」
「みんな行くよ」
「「「おう!」」」
「「うん!」」

 ミニぴぴぷちゃ号が大きなお口を開けて猛スピードで上から降ってくる。わたし達もみんなで空を駆けてその口へと飛び込む。

 ぱくぱくぱくぱくぱくぱく、ごっくん。

「みんないるかしら?」
「ああ! 俺達は4人揃ってる」
「わたしもいるよ~」
「なら一安心ね。はぴ、このまま床の亀裂でも通ってもっと下に行って。この施設はいらないから、強引でも構わないわ」
「そういうことなら、お安い御用だよ」

 ぴぴに言われてミニぴぴぷちゃ号が暴走するテラフォーミング装置の中へと突っ込んでいく。流石はミニぴぴぷちゃ号ね。この濃度の宇宙パワーをものともしないなんて。でも、一つ気になることがあるの。なんで地上で待ってるはずのはぴが、こんなところにいるんだろう? そもそも入れるような入口は無かったのに。

「そういえば、はぴはなんでこんなところにいたの?」
「え? え~っと、そう、ぴぴとぷうのピンチに颯爽と参上するのは、我輩のハードボイルドにゃんこ道において最も優先される事柄だからかな!」

 全力でごまかしにきたこの感じ、たぶん待ってるのに飽きたのか寂しくなって無理やり入ってきてたな。でも、おかげで助かっちゃった。ミニぴぴぷちゃ号の亜空間脱出フィールドは普通に使えていたとはいえ、あのままじゃ熊さん達のBPS4機を失うところだったしね。

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