にゃがために猫はなく

ぴぴぷちゃ

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第4話 ミニぴぴぷちゃ号と妖精軍

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 妖精軍100名を仲間にした我輩は、ミニぴぴぷちゃ号を強襲揚陸艦に向けて進める。相変わらず目潰しにしかならないビームが飛んできているが、無視だ無視。どうやら、この迷惑なビームは、子鬼の生首型強襲揚陸艦の角が割れたところから出ている、巨大な回転式多銃身ビーム砲から撃ってきているようだ。

「う~ん、眩しいな。もっと速度出していい?」
「だめだだめだ。これ以上速度を出されると、俺達の中についていけない連中が出てくる」

 ちなみにレーダーで位置情報を確認すると、妖精達はミニぴぴぷちゃ号の後ろに完全に隠れてる。そのせいでレーダー上では、ミニぴぴぷちゃ号がまるでおたまじゃくしみたいに見える。

「隊長、回転式ビーム砲が引っ込みました。これは」
「うむ、まずいかも知れんな」
「どうしたの?」
「恐らく、回転式ビーム砲が効かなかったことで、武器を変更する気だ」
「ふ~ん」
「ふ~んって、今度出てくるのは間違いなく、対艦用の高火力の大砲だぞ!」
「え! それはまずいじゃん!」

 これはまずい。いくらミニぴぴぷちゃ号が頑丈だからって、そんなのいちいち受けたくないぞ。

「このミニぴぴぷちゃ号とやらは、受け切れるのか?」
「わかるわけないじゃん。どうしよう?」
「ちい、まずいな。隊長、どうします?」

 そうこうしているうちに、1度閉じた角が再度割れ、今度は長い砲身が姿を現した。これは間違いなく大砲だ。しかも、かなりの巨大キャノンだ。

「まずい、散開しろ! 猫の後ろから離れるんだ!」

 あ、この野郎、逃げやがったな。でもいいもん、ミニぴぴぷちゃ号の機動力をなめるなよ。子鬼の大砲ごときに、捕らえられるようなのろまじゃないんだよ! って、まぶし!

「あ~、もう、なんなんだよ。大砲がくると思ったのにまた目潰しだし」
「いや、なんで?」
「こいつは、驚いた。総員、再度猫の後ろに集結! 当初の予定通り、猫の後ろについて強襲揚陸艦を目指す!」
「ってお前ら、さっき逃げたくせになんでまた我輩の後ろについてくるのさ。そもそも大砲はいつ撃ってくるのさ!」
「お前、それマジで言ってるのか?」
「マジもなにも、大砲なんて撃ってきて無いだろ!」
「さっきの超高出力のビームが、大砲が撃ったものだよ」
「え? そうなの? ならビーム砲って言えよ。紛らわしいな!」
「はあ? 普通わかるだろうが!」
「猫も3もそこまでだ! ミサイルと子鬼型BPSの群れが来るぞ!」
「ぷふっ、アの3怒られてやんの」
「お前のせいだし! お前もだからな!」
「お前ら、本気で俺を怒らせたいのか?」

 きゅう。そう、体のなにかがきゅうってなった。アの1こと隊長は、怒らせたいのかって言うけど、どう考えても、すでに怒ってる。でも、流石にアの3も我輩も余計なことは言わなかった。

 ミニぴぴぷちゃ号に光を浴びせた大砲は、あっさり口の中に引っ込んでいく。無駄だと思ってあきらめたのかな。そしてその代わりに、隊長の言うとおり、ミサイルと子鬼型BPSの反応がレーダーを埋め尽くす。

「そういえば、素朴な疑問なんだけど、アの3達はなんで強襲揚陸艦に近づきたいの?」
「そんなの攻撃するために決まってるだろ。1度懐には入れれば、あとは何とかなるんだよ」
「雑談は後にしろ! 何度言わせればわかるんだ!」

 あう。でも、雑談じゃないんだけどな。アの3達の目的が我輩達と同じく、ただ単に強襲揚陸艦の破壊だけだとしたら、別なんの問題も無い。まあ、その場合わざわざ行かなくてもそのうちぴぴとぷうが破壊するだろうから、無駄足になる程度だ。だけど、あの強襲揚陸艦から何か情報がほしいとかだと、ぴぴとぷうに連絡しておかないと、手当たり次第に壊しちゃうかもしれない。だから、雑談じゃなかったんだけど、うう~ん、まあいいや、隊長怖いから言うのは止めておこう。我輩達が損することはないしね。

「総員、迎撃陣形を取れ! 母艦の角兵器は恐らくエネルギー切れでしばらく使い物にならないだろうが、念のため猫から離れるなよ!」
「「「「「はっ!」」」」」

 アの1の指示で、いままでミニぴぴぷちゃ号の影に隠れていた妖精軍が、一斉に飛び出すと、みんなで銃を構える。

「撃て~!」

 隊長の合図と共に妖精軍は光の弾幕をはり、ミサイルの雨を次々に迎撃していく。そして、数千発は飛んできたミサイルを、全部迎撃する。

「次は子鬼どもが来るぞ! 陣形維持! そのまま撃て~!」

 そして、ミサイルの後に襲ってきた子鬼の群れも、妖精軍の妖精型BPSは次々に迎撃していく。

「ふ~ん、よく見ると機体も武器も微妙に違うんだ」
「ああ、そうだぜ。大体10機に1機の割合で、速度よりも火力を重視した、制圧用の軽機関銃装備機がいる。そのおかげもあって、こういった制圧戦にはめっぽう強いんだ」

 独り言のつもりが、ガッツリスピーカーに拾われていたようだ。ちょっと恥ずかしい。でも、アの3も余裕があるのか、こちらに返信してきた。なるほど、軽機関銃の装備機体は、大きさこそ同じ3mくらいだが、機体がごつくて幅があり、バックパックを含め、全体的に重装備のようだ。そして、妖精型BPS達はわずか100体にもかかわらず、10000体を越える子鬼型BPSの群れを軽く倒してしまった。

「おお~、意外とみんな強いんだね」
「ああ、俺たちの機体は基本的には高速高火力タイプだからな。あのビームみたいな回避しにくい高火力攻撃さえなんとかなりゃあ、子鬼なんぞに遅れはとらねえよ」
「なるほど」

 ちょっと見直したところで我輩はどんどん進んでいく。相変わらず妖精軍はミニぴぴぷちゃ号に隠れているが、あのビームは眩しいのがいやなだけで、ミニぴぴぷちゃ号にはどういうわけかまったく効かないから、まあ、いいにしてやろう。

 でも、妖精軍には悪いけど、そろそろぴぴとぷうによる攻撃が本格的に始まってもいいころだ。このペースだと、妖精軍が接近する前に決着がついてしまいそうだな。なんて思っていると、子鬼の生首の強襲揚陸艦の目が爆発した。お、いたいた。どうやらぴぴとぷうがそれぞれ左右の目に到着して、そこから壊すつもりのようだ。

「隊長。強襲揚陸艦の様子が変です」
「メインモニターである目が破壊された?」
「我輩の相棒の攻撃だよ。目から内部を破壊する気なんじゃないかな」
「よし、メインモニターが壊れたのならこちらのものだ。総員突撃用意!」
「「「「「はっ!」」」」」
「突撃~!」
「「「「「おお~!」」」」」

 妖精軍はさっさと生首型強襲揚陸艦目指してどんどん進んでいってしまう。もう、しょうがないなあ、我輩も行くかな。

「さっきまで角からビームにおびえてたのに、平然と突っ込んで行くんだ」
「ああ、どうやら子鬼の生首型宇宙船ってのは、種類を問わず、メインモニターである目が壊れると、ビームもミサイルもまともに狙いを定めることができなくなるらしいんだよ」
「へ~、そうなんだ。ってあれ? アの3は行かないの?」
「ああ、俺だけは隊長から虎の22に付いてろって命令があったからな。まあ、必要ないかもしれないが、護衛と思ってくれていいぞ」
「なるほど、わかった」

 そして、生首型強襲揚陸艦に向けて進む妖精軍の前に、新たな子鬼型BPS達が立ちはだかる。新たに現れた子鬼型BPS達は、今までの10mサイズのものよりも大きく、30mはあろうかという巨体だ。しかも、全身鎧を着込み、盾と巨大なマシンガンまで持っている。

「なにあれ、でっかいのが出てきたね」
「ああ、あれはガーディアンだな」
「ガーディアン?」
「ああ、あの手の大型艦は、遠距離の撃ちあいには強いが、俺たちみたいな小型機に懐に入られると弱い。そこで、ガーディアンと呼ばれる、接近してきた小型機の迎撃用BPSがいるのさ」
「へ~、強そうだけど大丈夫なの? 10mのやつも大量だよ」

 そう、30m子鬼型BPSが出てきただけじゃなく、10m子鬼型BPSも今までになく大量に出てきていた。

「大丈夫大丈夫、懐に飛び込んで、あの角ビームが使えなくなった時点で、俺たちの勝ちは確定したようなもんだからな」

 アの3の言うように、アの3の仲間は、押し寄せる子鬼型BPSの群れをものともせず突き進んでいく。うわ~、無数の子鬼型BPSの反応が口から現れては、すぐに解けるように消えてってる。うん、実際すごい火力だな。

「あの剣をもった機体はなに? 子鬼達の間をすり抜けたかと思ったらでかいのも小さいのもすぱすぱ切れてるんだけど」

 他の妖精軍のBPSが遠距離攻撃しか使わない中、1機だけ剣をもって接近戦をしている妖精型BPSがいた。なかなかのてだれだな。子鬼達ではまったく相手にならないようだ。なにせ、あまりの速さに、子鬼達は銃口すらまともに向けることが出来ていないからな。しかも、なんか機体そのものもかっこいい。背中の羽は大きいし、肩にはマントみたいなのも羽織っている。それに、細かい造詣も微妙に違うようだ。

「あれは、隊長機だな。隊長は妖精族にしては珍しく、接近戦も得意なんだよ」
「へ~、すごいもんだね。でも、標的の中を飛んでいくって、他の妖精型BPSにとっては邪魔じゃないの?」
「その心配は無用だぜ。なにせ隊長はかなりつええからな。模擬戦だと、俺達じゃあ10人がかりでやっといい勝負ができるってレベルだ。だから、狙ってもいない流れ弾で隊長機が落ちる心配なんかないさ。実際、味方も隊長の存在なんて無視だ。それより、隊長以外だと30mのやつを倒すのに時間がちょっとかかるからな。まあ、この方が手っ取り早いってわけだ」

 我輩はアの3解説を聞きながら、その後も妖精軍の戦いを眺めていたが、どうやら妖精軍の攻撃は間に合わなかったようだ。妖精軍が到着するよりも早く、ぴぴとぷうの攻撃によって、子鬼の生首型強襲揚陸艦は落ちたようだ。

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