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ゴムと眼鏡と俺と誘惑
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今『指南して下さい』って言ったか?
聞き間違いじゃないよな?
確かにそう言った。
翡翠に前世の記憶は無い筈だから、前世の夢を見ているのだろうか?
だとしたら翡翠は、前世の記憶を完全に失っている訳ではなく、単に忘れているだけで、何かのきっかけさえあれば思い出すかもしれない、という事だ。それなら先刻の、翡翠の愛液事件も説明がつく。体は前世の記憶を覚えていたって事じゃないか。
そうかそうか、なんか希望が湧いてきた。
「セキレイ……さん」
「ん」
寝てる、よな?
「あっ、だめっ……」
翡翠が俺にしがみつくように体を擦り付ける。
夢の中で俺から指南でも受けてるんだろうな。一体、どんな事を教わってるんだろう?
そして夢の中の俺が羨ましい。
「セキレイさんっ、そんな……潮吹き、だなんて……」
いや、ほんと、どんな事を教わってるんだ?
なんか教育に良くないなぁ。夢の中の俺は翡翠にちゃんと優しくしているのか、気になる。
翡翠の頭の中を覗けるなら覗きたいものだ。
「セキレイ……さん」
翡翠が布団から頭を出し、俺にキスをせがむように首を伸ばす。
「ちょっ、こらこらこら」
って、なんで俺が止めてるんだか。
けど、このままこの茶番に付き合っていたら、俺が翡翠を襲うのも時間の問題だ。
「しょうがねーなー」
今日のところは見逃しといてやるか。
俺は静かに翡翠ごと上体を起こし、彼女を抱いてベッドに戻してやる。
「お前の巣はこっちな」
俺が布団を捲ってやると、翡翠は自ら進んでその巣穴に潜り込む。
「やれやれだな」
よくぞ耐えた、俺。
「早く全部思い出せよ」
俺は、寝息をたてて安らかに眠る翡翠の頬を突っついた。
「無理矢理にでも思い出させてやるからな、覚悟しろ」
その時は、もう我慢しない。
「俺は前世からずっと我慢してたんだ、めちゃくちゃにしてやるからな」
俺が宣戦布告のつもりで翡翠の眉間にブスリと人差し指を刺すと、翡翠は険しい顔をして布団の中に引っ込んだ。
「逃げたか笑」
俺も寝よう。
俺は希望に満ち溢れていた。
翡翠さえ前世の記憶を取り戻せば、前世をやり直せる。
やり直して、それで──
俺はウトウトした頭の中でヌーの大群に襲われ、そのまま押し流される様に深い眠りへと落ちて行った。
聞き間違いじゃないよな?
確かにそう言った。
翡翠に前世の記憶は無い筈だから、前世の夢を見ているのだろうか?
だとしたら翡翠は、前世の記憶を完全に失っている訳ではなく、単に忘れているだけで、何かのきっかけさえあれば思い出すかもしれない、という事だ。それなら先刻の、翡翠の愛液事件も説明がつく。体は前世の記憶を覚えていたって事じゃないか。
そうかそうか、なんか希望が湧いてきた。
「セキレイ……さん」
「ん」
寝てる、よな?
「あっ、だめっ……」
翡翠が俺にしがみつくように体を擦り付ける。
夢の中で俺から指南でも受けてるんだろうな。一体、どんな事を教わってるんだろう?
そして夢の中の俺が羨ましい。
「セキレイさんっ、そんな……潮吹き、だなんて……」
いや、ほんと、どんな事を教わってるんだ?
なんか教育に良くないなぁ。夢の中の俺は翡翠にちゃんと優しくしているのか、気になる。
翡翠の頭の中を覗けるなら覗きたいものだ。
「セキレイ……さん」
翡翠が布団から頭を出し、俺にキスをせがむように首を伸ばす。
「ちょっ、こらこらこら」
って、なんで俺が止めてるんだか。
けど、このままこの茶番に付き合っていたら、俺が翡翠を襲うのも時間の問題だ。
「しょうがねーなー」
今日のところは見逃しといてやるか。
俺は静かに翡翠ごと上体を起こし、彼女を抱いてベッドに戻してやる。
「お前の巣はこっちな」
俺が布団を捲ってやると、翡翠は自ら進んでその巣穴に潜り込む。
「やれやれだな」
よくぞ耐えた、俺。
「早く全部思い出せよ」
俺は、寝息をたてて安らかに眠る翡翠の頬を突っついた。
「無理矢理にでも思い出させてやるからな、覚悟しろ」
その時は、もう我慢しない。
「俺は前世からずっと我慢してたんだ、めちゃくちゃにしてやるからな」
俺が宣戦布告のつもりで翡翠の眉間にブスリと人差し指を刺すと、翡翠は険しい顔をして布団の中に引っ込んだ。
「逃げたか笑」
俺も寝よう。
俺は希望に満ち溢れていた。
翡翠さえ前世の記憶を取り戻せば、前世をやり直せる。
やり直して、それで──
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