On ｍy deathbed 〜せめて妻と子に看取られて～

私の人生

失敗

私は幼い頃から勉学に長けていた。両親も私の将来が楽しみで、期待され続けて私は成長した。高校はもちろん県内１位の学力を持つ私立高校へ入学した。高校でも常に学年トップを維持し続けた。スポーツも勉学も私の右に出る人間は居なかった。大学も有名な国立大学へ入学し、私はそこで優秀な成績を修めた。

大学を卒業した私は二十二歳という若さで、会社を設立させた。主に便利商品を開発・製造する会社である。我社の商品は、今で言うと、ユニバーサルデザイン商品のような物である。最初は８人しかいなかった従業員も次第に増えていき、三年後にはその十倍にまで増えた。私の会社は売上も常に右肩上がりであった。

そして私は二十五歳の時、ふたつ年下の恵美子と結婚した。彼女はこの会社の従業員第一号であった。明るくてとてもやさしい性格であった。次の年、息子の雅史が生まれ、私達は幸せに満ち溢れていた。

しかし、そんな幸せな生活に終止符が打たれたのは、息子が三歳になった頃だった。それは、今日みたいに雪が降っていた冬の日だった。私の元に一本の電話が掛かってきた。それは、友人である佐々倉正蔵が亡くなったという知らせであった。佐々倉は十年前からの友人で、困った時はお互いに助け合って生きて来た。死因は突発性の心臓発作らしかった。

しかし、問題なのは彼の死だけではなかった…実は二年前、彼から私は借金の保証人を頼まれて、私はそれを承諾してしまったのだ。その前にも何人かの知人から保証人の依頼はあったのだが、金が絡んでくる問題は嫌なので私は断り続けていた。しかし、今回は違った。佐々倉は十年前からの友人である。私は悩みに悩んだ末、彼の依頼を承諾した。借金の総額は数千万程度であった。数千万という金額は私にとって決して安いものではなかった。私は焦った。

　そんな私に追い討ちをかけるように、衝撃な事実が叩きつけられた。改めて、彼の借金の返済額を確認してみると、なんと２億円にまで跳ね上がっていたのだ。彼が借りた所は俗に言う『闇金』であったのだ。