浄罪師 ーpresent generationー

弓月下弦

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【弐章】浄罪師と使徒

今期の名

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 額に触れた彼女の手は驚く程冷たかった。血が流れているのかさえ分からない程に。

「真雛様には、人の中に入っている魂が見えるんじゃよ」

黒羽は真雛を補足するように付け加えた。

「魂が見える?」

「そうじゃ、真雛様は魂から様々な情報を得るのじゃ、例えば、名、性別、大体の寿命、清らかさ、愚か
さ、汚れ…様々な情報を得ることができるんじゃ、因みに吾輩は魂の清らかさや濁りは分かるが、その他は分からん」

「そうなんだぁ…」

すると、後ろから伊吹の叫び声が聞こえた。

「ぎゃぁああああああああ」

黒羽はすぐに伊吹の方へ飛んでいき、一発顔に食らわせた。

「真雛様の前でなんという無礼な事を!」

「良いんですよ、黒羽、乱暴はおやめなさい」

真雛がそう言うと、黒羽は瞬時にお辞儀をして、

「申し訳ございません…私めとしたことが、つい…」

黒羽はそう言いながらも、横目で伊吹を睨みつけていた。

「もしかして、お前が真雛っていう浄罪師か?」

「……!おぬしっ?お前とは何だ!」

「こら、黒羽。我は構いません」

「ですが…」

黒羽は非常に不満げな顔をした。

「お前は伊吹ですね、三百年ぶりの再会です。我はとても嬉しく思います」

「何故、俺の名前を…」


「だから、真雛様は何でもお見通しなんじゃ」

「お前はうぜぇんだァよ」

取っ組み合いを始めた黒羽と伊吹は部屋の床を踏んだり蹴ったりして騒がしかった。

「二人とも、喧嘩なんかしている場合じゃないだろ」

蒼が一喝しても、全く二人は耳を傾けようとしない。
すると、真雛が何やら片腕を上に挙げて、指揮者のように動かし始めた。四分の一拍子のようにも見えたがこれは一体…
真雛が手を振った直後、黒羽と伊吹の体は中に浮き、そのまま二人は左右に引き離された。

「うわぁ、何だこりゃ」

「真雛様!お許しを…」

二人とも今にも泣き出しそうな声である。

「我はな、喧嘩が嫌いなのだ」

「もう喧嘩なんて致しませぬ。どうか…」

黒羽が泣きながら謝罪すると、真雛は溜息をし、呆れ顔で挙げていた手を下ろした。
同時に、二人の体は床に叩きつけられた。
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