9 / 80
【弐章】浄罪師と使徒
今期の名
しおりを挟む
額に触れた彼女の手は驚く程冷たかった。血が流れているのかさえ分からない程に。
「真雛様には、人の中に入っている魂が見えるんじゃよ」
黒羽は真雛を補足するように付け加えた。
「魂が見える?」
「そうじゃ、真雛様は魂から様々な情報を得るのじゃ、例えば、名、性別、大体の寿命、清らかさ、愚か
さ、汚れ…様々な情報を得ることができるんじゃ、因みに吾輩は魂の清らかさや濁りは分かるが、その他は分からん」
「そうなんだぁ…」
すると、後ろから伊吹の叫び声が聞こえた。
「ぎゃぁああああああああ」
黒羽はすぐに伊吹の方へ飛んでいき、一発顔に食らわせた。
「真雛様の前でなんという無礼な事を!」
「良いんですよ、黒羽、乱暴はおやめなさい」
真雛がそう言うと、黒羽は瞬時にお辞儀をして、
「申し訳ございません…私めとしたことが、つい…」
黒羽はそう言いながらも、横目で伊吹を睨みつけていた。
「もしかして、お前が真雛っていう浄罪師か?」
「……!おぬしっ?お前とは何だ!」
「こら、黒羽。我は構いません」
「ですが…」
黒羽は非常に不満げな顔をした。
「お前は伊吹ですね、三百年ぶりの再会です。我はとても嬉しく思います」
「何故、俺の名前を…」
「だから、真雛様は何でもお見通しなんじゃ」
「お前はうぜぇんだァよ」
取っ組み合いを始めた黒羽と伊吹は部屋の床を踏んだり蹴ったりして騒がしかった。
「二人とも、喧嘩なんかしている場合じゃないだろ」
蒼が一喝しても、全く二人は耳を傾けようとしない。
すると、真雛が何やら片腕を上に挙げて、指揮者のように動かし始めた。四分の一拍子のようにも見えたがこれは一体…
真雛が手を振った直後、黒羽と伊吹の体は中に浮き、そのまま二人は左右に引き離された。
「うわぁ、何だこりゃ」
「真雛様!お許しを…」
二人とも今にも泣き出しそうな声である。
「我はな、喧嘩が嫌いなのだ」
「もう喧嘩なんて致しませぬ。どうか…」
黒羽が泣きながら謝罪すると、真雛は溜息をし、呆れ顔で挙げていた手を下ろした。
同時に、二人の体は床に叩きつけられた。
「真雛様には、人の中に入っている魂が見えるんじゃよ」
黒羽は真雛を補足するように付け加えた。
「魂が見える?」
「そうじゃ、真雛様は魂から様々な情報を得るのじゃ、例えば、名、性別、大体の寿命、清らかさ、愚か
さ、汚れ…様々な情報を得ることができるんじゃ、因みに吾輩は魂の清らかさや濁りは分かるが、その他は分からん」
「そうなんだぁ…」
すると、後ろから伊吹の叫び声が聞こえた。
「ぎゃぁああああああああ」
黒羽はすぐに伊吹の方へ飛んでいき、一発顔に食らわせた。
「真雛様の前でなんという無礼な事を!」
「良いんですよ、黒羽、乱暴はおやめなさい」
真雛がそう言うと、黒羽は瞬時にお辞儀をして、
「申し訳ございません…私めとしたことが、つい…」
黒羽はそう言いながらも、横目で伊吹を睨みつけていた。
「もしかして、お前が真雛っていう浄罪師か?」
「……!おぬしっ?お前とは何だ!」
「こら、黒羽。我は構いません」
「ですが…」
黒羽は非常に不満げな顔をした。
「お前は伊吹ですね、三百年ぶりの再会です。我はとても嬉しく思います」
「何故、俺の名前を…」
「だから、真雛様は何でもお見通しなんじゃ」
「お前はうぜぇんだァよ」
取っ組み合いを始めた黒羽と伊吹は部屋の床を踏んだり蹴ったりして騒がしかった。
「二人とも、喧嘩なんかしている場合じゃないだろ」
蒼が一喝しても、全く二人は耳を傾けようとしない。
すると、真雛が何やら片腕を上に挙げて、指揮者のように動かし始めた。四分の一拍子のようにも見えたがこれは一体…
真雛が手を振った直後、黒羽と伊吹の体は中に浮き、そのまま二人は左右に引き離された。
「うわぁ、何だこりゃ」
「真雛様!お許しを…」
二人とも今にも泣き出しそうな声である。
「我はな、喧嘩が嫌いなのだ」
「もう喧嘩なんて致しませぬ。どうか…」
黒羽が泣きながら謝罪すると、真雛は溜息をし、呆れ顔で挙げていた手を下ろした。
同時に、二人の体は床に叩きつけられた。
0
お気に入りに追加
9
あなたにおすすめの小説
暴食の子
シロ。
ファンタジー
時は2042年。
この世界は10数年前、とある才花人と呼ばれる化け物によって争いが起こり、日本では、それを皮切りに才花人が人を襲う事件が多く発生していた。
幼少期に母親を才花人に殺されたブランはトラウマを抱えながら生きていた。
だがある日自身の通う学校が才花人の襲撃を受け、逃げようとするブランだが───
主人公が最強になるのは後々です!
暖かく見守って頂けると有難いです!
学生が書いてる作品です!
文が結構拙いと思いますが暖かい目で見守ってくれると嬉しいです!
ほぼ殴り書きで思い付いたものを色々書いているのでもしかしたら設定がめちゃくちゃになっちゃってることがあるかもです...!
でも結末はもう考えてあるのでそれまで応援して頂けるととっても嬉しいです!
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
なんで誰も使わないの!? 史上最強のアイテム『神の結石』を使って落ちこぼれ冒険者から脱却します!!
るっち
ファンタジー
土砂降りの雨のなか、万年Fランクの落ちこぼれ冒険者である俺は、冒険者達にコキ使われた挙句、魔物への囮にされて危うく死に掛けた……しかも、そのことを冒険者ギルドの職員に報告しても鼻で笑われただけだった。終いには恋人であるはずの幼馴染にまで捨てられる始末……悔しくて、悔しくて、悲しくて……そんな時、空から宝石のような何かが脳天を直撃! なんの石かは分からないけど綺麗だから御守りに。そしたら何故かなんでもできる気がしてきた! あとはその石のチカラを使い、今まで俺を見下し蔑んできた奴らをギャフンッと言わせて、落ちこぼれ冒険者から脱却してみせる!!
錬金術師はかく語りき
三塚 章
ファンタジー
私はある飲み屋で高名な錬金術師イルミナとであう。彼女になぜ錬金術師になったのか訪ねてみると返ってきた答えは……他の投稿サイトでも掲載。 転生なしの異世界。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる