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第3話 血の屋敷

袋の鼠

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黒い影が天井から降りてきた。灰色の短髪、小柄の体、眼は赫く、鋭い目でこちらを睨んでくる。
どうやら少年の吸血鬼のようだ。

「君たちかい?僕らの家に侵入してきた薄汚いネズミは」

「ふん、どっちがネズミか勝負して決めようじゃないかっ!」

ルーカスは吸血鬼に向かって剣を振りかざす。

「おっと」

しかし、軽くかわされた。小柄のせいか動きがだいぶ軽やかである。先程の吸血鬼より機敏に動く。

「くそ、さっきの奴より動きが早い、、」

「お兄さんの武器、銀製みたいだけど当たらないんじゃ意味ないね」

すると、吸血鬼の少年はルーカスに近づくと、思いっきり回し蹴りを入れた。

「ぐはっ」

見事に蹴りは命中し、ルーカスは壁に激突した。
唇を噛んでしまったようで、口元から血がにじみ出ている。

「残念ながら僕、男の血は興味ないんだよね。でもそこにいる女の子の血は美味しそうだなー」

赫い眼がメイザちゃんに向けられた。
俺はすかさず魔法の準備をする。

「でも、食事は静かな所でしたいから隣にいる邪魔なネズミから退治しておこうか」

誰がネズミじゃー!言葉の1つ1つがイライラする吸血鬼だ。でも挑発に乗ったらこちらの負けだ。そうやって相手を乱すことが狙いなのだろう。

「こっ、こいよ吸血鬼っ」

ヤバイヤバイ。ルーカスが敵わない奴を俺が倒せる可能性はほぼない。出来たとしても時間稼ぎ程度か。でもその間にメイザちゃんだけでも逃さなければ。奴の吸血対象はメイザちゃんだけだ。
要は俺とルーカスはただの邪魔者。邪魔者は邪魔者らしく邪魔してやるよっての!

「ふっ、じゃあ遠慮なく」

「メイザちゃん!逃げるんだ!今すぐに」

「えっ、あ、はいっ!」

耳打ちでメイザちゃんにそう言うと、彼女は走ってこの場を離れていった。
よし、あとは時間稼ぎを、、、

「っ!?」

瞬きをした直後、ほんの数秒、いや一秒以下か?
俺の目の前に吸血鬼がいた。
急いで炎のバリアを張りめぐらす。

「ほほう、君。あの協会の人間だね?しかも火属性の魔術師。僕が一番嫌いなタイプだ」

「悪かったな、少年」

魔法の使い方はよくわからんが、何か攻撃型の魔法を仕掛けなければっ、、、
咄嗟に思いついた魔法をイメージさせ、、、

「おっと、火の玉かい?君、やっぱり新人だ。僕の相手じゃないね」

手から放射したのは火の玉、、、
しかも1つ。新米魔術師ということが一瞬でバレてしまった。
しかも、火の玉を射撃した瞬間にバリアが解けてしまったーーー
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