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第3話 血の屋敷

幽霊屋敷

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屋敷の前にたどり着いた。
煉瓦造りの外装にはツタがびっしりと這っている。かなり昔からある建物のようだ。
まるで幽霊屋敷。
ここが本当にメイザちゃんの家なのだろうか。

「結構古い建物だね。ここにメイザちゃんはすんでるの?」

「先祖代々受け継がれてきた建物ですからね。今も私達はここに住み続けているのです」

なるほど。にしても、リフォームくらいしても良さそうだけど。

「じゃ、中へ入ろうか!」

「ち、ちょっとルーカスさん!まだ心の準備が、、」

「はぁ?心の準備って、、笑。大丈夫さ!幽霊なんかでてきやしないから」

うう。どうやら俺が幽霊を恐れていることがバレてしまっているらしい。

ルーカスは勝手に扉を開けるとそそくさと中へ入って行った。

「さあ、鯨井さんも入りましょう?」

さすがにこんな小さい少女の前で駄々をこねるわけには行かず、俺は渋々中へ入った。

扉が後ろでしまった。それと同時に空気の流れが変わった気がした。なんというか、異世界に来た感じ?いやいや、既にここが異世界か、、、

床は全て大理石でできている。さすがはお金持ちだ。周囲には鎧やら石像やら高そうな置物が置いてある。玄関側にある階段はなんと螺旋階段だ。
確かこの屋敷は5階くらいまであった気がする。
最上階までこれで行ったら目が回りそうだな。

「へぇ、随分丈夫な造りをしているねぇ。これはちょっと予想外だ」

突然、ルーカスがボソッと呟いた。
すると、奥の廊下から何か物音が聞こえて来た。

「奥に誰か居るみたいだよ。メイザちゃんのご家族かな?」

「いいえ、今日は両親ともに隣の街へ出張に行っています。その為に今日から鯨井さんにSP役を頼んだのですから」

「えっ、じゃあ。ほかにお手伝いさんとか?」

メイザちゃんは黙っている。すると、ルーカスが腰に下げていた刀を取り出した。

「はーぁ、なるほどね。やっぱり思っていた通りだ。ここ、既に奴らに乗っ取られているようだよ」

奴らに?乗っ取られて?どういうこと?
するとメイザちゃんが、

「遅かったみたいですね。母も父も既にあちら側になっているようです」

だからあちら側って、、、

奥からする足音が、だんだんこちらへ近づいてきた。二足歩行のソレはあっという間に俺たちの前に姿を現した。

外見は人間とさほど変わらない。けれど、その瞳は赫。爪は人よりずっと鋭く、口元からはうっすら牙が垣間見えている。

「吸血鬼、、、」

「ああ、ちょうど良い。ここで8体倒せば俺のノルマは達成さ」

ルーカスはどこか嬉しそうである。いや、でもここにはメイザちゃんのご両親もいるのではないか?メイザちゃんの目の前でそんなことして良いのか、、、

っていうか。密室で吸血鬼って相当やばくないか?ひとまず外に逃げよう!

ドアノブに手を掛け、扉を開けようとした。

が、鍵が掛かっているようでビクともしない。

「鯨井さん。ごめんなさい。既に私達は罠にはまってしまったようです」

オワッタ。俺の中で確信が生まれた。
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