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第一章 アンダーグラウンドへ
1-3 アンダーグラウンド
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アンダーグラウンド。
それはこの汚れた世界を正すために造られた巨大組織。
本来なら同種の殺し、すなわち殺人を犯すとその魂は汚れ、死後神により抹消される。もしくは死神達の餌になるとされていた。しかし、今から約300年前に神である浄罪師は姿を消した。
魂の清らかさを保つ浄罪師が消えた後、殺人者の魂は処分されることなく輪廻転生を繰り返した。当然、罪を何度も重ねた魂を持つ人間は生まれながらにして潜在殺意を持っていることになる。
彼らは己に定められた悲惨な運命に抗うことは出来ず、人を殺し続ける殺戮兵器だ。
そんな彼らは「囚われのカルマ」と呼ばれ、人々から恐れられた。
そこで、清らかな魂を持って生まれた一部の人間から造られたアンダーグラウンドという組織に所属する者によって囚われのカルマ達の捕獲が始まった。
殺しはせず、あくまで捕獲だが、捕まった者は地下牢獄に収容され、血に飢えた仲間に近いうちに殺される運命を辿る。そこで命を落とした者の魂は死神によって狩られる。狩られた魂は二度と生まれ変わらず死神の体の一部になるという。
なんとも残虐なやり方だが、こうでもしなければこの世は更に秩序が乱れ、やがて崩壊する。
しかし、浄罪師が姿を消した今、こんなやり方では完全に汚れた魂をこの世から排除するのは不可能に近い。所詮、雀の涙なのだ。一刻も早く浄罪師を見つけ出して封印を解く必要が我々人類には必要だ。
噂によると浄罪師は反逆者によって何処かに封印されているそうだ。その反逆者とは恐らく人を殺した人間だろう。生まれ変わることのできない運命に抗い、浄罪師を消したと考えられる。そいつは今もこの地にいるはずだ。
体は生まれ変わっているだろうが、そいつの魂を持ったやつを探して浄罪師の封印を解く必要がある。
生まれ変わって記憶をなくしている可能性はあるが、諸説によれば一部の囚われのカルマは記憶を受け継いで生まれ変わっているとされている。恐らく彼らはかつて浄罪師となんらかの関係があり、そうなっているのだろう。
いずれにせよ、俺はこの世の中を変えるためにここに来た。
※※※
程なくして、第1試練の説明が始まった。なにやら3名のスタッフの内、1人が俺たちが着させられている純白の衣を手にとって掲げた。今思ったが、この3名のスタッフは何者なんだろうか。フードを被っていて顔が見えないから、何も分からない。声を聞く限りでは1人は女性のようだが、あとの二人は無言のせいで性別さえ不明だ。
「第1試練は別名『己の衣を血で染めるべからず』です。簡単に説明しますと、これから1ペアごとに課題を与えます。外の世界でその課題をクリアする中、あなた方が今来ているアンダーグラウンドの証である純白の衣を一切血で染めてはならないということです。他人の血はもちろんのこと、自分の血でさえも染めてはなりません」
説明係の女性スタッフが掲げられている衣を指差しながらそう説明した。
ここのルールは「決して人を殺してはいけない」だ。そもそも、人殺しをしたら魂が汚れてアンダーグラウンドを追放される。いや、追放じゃない。おそらく噂の地下牢獄に閉じ込められるのだろう。俺たちは清らかな魂を持つことが第一条件だ。罪にとらわれず、正義を振りかざせる安全な人間でなくてはいけない。なるほど、今回の試練は俺たちが今後も「殺人」を犯すことのない安全な人材であることを確認するためのものか。
「自分の血さえダメなんですね。外の世界で怪我も出来ないなんてどうクリアしたら良いのでしょうか」
横で不安げな顔をしたハルさんが呟いた。その不安な表情もまた可愛い。いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
「二人で力を合わせればきっとうまく行きますよ!」
「そうですね、すみません。ぼくネガティブで」
ハルさんはどうやらボク少女のようだ。ますます可愛い。
これはこの課題で俺の自慢の武装術を伝授して、彼女を守り、良いところを見せつけるチャンスだ。
「それでは、これからそれぞれに課題を与えます」
※※※
俺たちに渡された課題は、「連続殺人鬼アンリ・ベルガモットを捕らえる」という内容だった。
まあ、予想通りといったことろだ。アンダーグラウンドの隊員の仕事と言えば罪人の捕獲。これからの任務に直結する課題で実に効率がよい。問題は相手の罪の深さと戦闘能力の高さだが、、、
「レイさん、アンリという人はどうやら9歳の少女のようですね。戦闘力は高そうではないですが、なんだか少女相手に気が引けますね、、、」
「9歳で連続殺人鬼、、、?うん?説明欄にブラッドアイ保持者ってあるぞ」
「本当だ、、!この子は前世からの大罪を背負った悲しい『囚われのカルマ』の一人ですね。」
殺した同種の数が100を越えるとその魂の所持者の瞳は赤く染められ、ブラッドアイと呼ばれている。
生まれながらにしてブラッドアイのパターンが大半であるから、恐らくこのアンリという少女も生まれながらにして殺人鬼だったということか。
「本来なら、ブラッドアイの捕獲はプロの仕事ですが、その少女はまだ幼く力も大してございません。ですから、入隊試験に合格したお二人が力を合わせれば、捕らえることができるはずです」
スタッフはそういうが、相手は連続殺人鬼。やはり、生まれて持った呪いには逆らえなかったのか。
けれど、9歳という幼さでどうやって殺人を?ブラッドアイは人間を越えた力を持った化け物だと噂されているが、この少女も超人的な力を持っているのだろうか。
それはこの汚れた世界を正すために造られた巨大組織。
本来なら同種の殺し、すなわち殺人を犯すとその魂は汚れ、死後神により抹消される。もしくは死神達の餌になるとされていた。しかし、今から約300年前に神である浄罪師は姿を消した。
魂の清らかさを保つ浄罪師が消えた後、殺人者の魂は処分されることなく輪廻転生を繰り返した。当然、罪を何度も重ねた魂を持つ人間は生まれながらにして潜在殺意を持っていることになる。
彼らは己に定められた悲惨な運命に抗うことは出来ず、人を殺し続ける殺戮兵器だ。
そんな彼らは「囚われのカルマ」と呼ばれ、人々から恐れられた。
そこで、清らかな魂を持って生まれた一部の人間から造られたアンダーグラウンドという組織に所属する者によって囚われのカルマ達の捕獲が始まった。
殺しはせず、あくまで捕獲だが、捕まった者は地下牢獄に収容され、血に飢えた仲間に近いうちに殺される運命を辿る。そこで命を落とした者の魂は死神によって狩られる。狩られた魂は二度と生まれ変わらず死神の体の一部になるという。
なんとも残虐なやり方だが、こうでもしなければこの世は更に秩序が乱れ、やがて崩壊する。
しかし、浄罪師が姿を消した今、こんなやり方では完全に汚れた魂をこの世から排除するのは不可能に近い。所詮、雀の涙なのだ。一刻も早く浄罪師を見つけ出して封印を解く必要が我々人類には必要だ。
噂によると浄罪師は反逆者によって何処かに封印されているそうだ。その反逆者とは恐らく人を殺した人間だろう。生まれ変わることのできない運命に抗い、浄罪師を消したと考えられる。そいつは今もこの地にいるはずだ。
体は生まれ変わっているだろうが、そいつの魂を持ったやつを探して浄罪師の封印を解く必要がある。
生まれ変わって記憶をなくしている可能性はあるが、諸説によれば一部の囚われのカルマは記憶を受け継いで生まれ変わっているとされている。恐らく彼らはかつて浄罪師となんらかの関係があり、そうなっているのだろう。
いずれにせよ、俺はこの世の中を変えるためにここに来た。
※※※
程なくして、第1試練の説明が始まった。なにやら3名のスタッフの内、1人が俺たちが着させられている純白の衣を手にとって掲げた。今思ったが、この3名のスタッフは何者なんだろうか。フードを被っていて顔が見えないから、何も分からない。声を聞く限りでは1人は女性のようだが、あとの二人は無言のせいで性別さえ不明だ。
「第1試練は別名『己の衣を血で染めるべからず』です。簡単に説明しますと、これから1ペアごとに課題を与えます。外の世界でその課題をクリアする中、あなた方が今来ているアンダーグラウンドの証である純白の衣を一切血で染めてはならないということです。他人の血はもちろんのこと、自分の血でさえも染めてはなりません」
説明係の女性スタッフが掲げられている衣を指差しながらそう説明した。
ここのルールは「決して人を殺してはいけない」だ。そもそも、人殺しをしたら魂が汚れてアンダーグラウンドを追放される。いや、追放じゃない。おそらく噂の地下牢獄に閉じ込められるのだろう。俺たちは清らかな魂を持つことが第一条件だ。罪にとらわれず、正義を振りかざせる安全な人間でなくてはいけない。なるほど、今回の試練は俺たちが今後も「殺人」を犯すことのない安全な人材であることを確認するためのものか。
「自分の血さえダメなんですね。外の世界で怪我も出来ないなんてどうクリアしたら良いのでしょうか」
横で不安げな顔をしたハルさんが呟いた。その不安な表情もまた可愛い。いや、今はそんなことを考えている場合ではない。
「二人で力を合わせればきっとうまく行きますよ!」
「そうですね、すみません。ぼくネガティブで」
ハルさんはどうやらボク少女のようだ。ますます可愛い。
これはこの課題で俺の自慢の武装術を伝授して、彼女を守り、良いところを見せつけるチャンスだ。
「それでは、これからそれぞれに課題を与えます」
※※※
俺たちに渡された課題は、「連続殺人鬼アンリ・ベルガモットを捕らえる」という内容だった。
まあ、予想通りといったことろだ。アンダーグラウンドの隊員の仕事と言えば罪人の捕獲。これからの任務に直結する課題で実に効率がよい。問題は相手の罪の深さと戦闘能力の高さだが、、、
「レイさん、アンリという人はどうやら9歳の少女のようですね。戦闘力は高そうではないですが、なんだか少女相手に気が引けますね、、、」
「9歳で連続殺人鬼、、、?うん?説明欄にブラッドアイ保持者ってあるぞ」
「本当だ、、!この子は前世からの大罪を背負った悲しい『囚われのカルマ』の一人ですね。」
殺した同種の数が100を越えるとその魂の所持者の瞳は赤く染められ、ブラッドアイと呼ばれている。
生まれながらにしてブラッドアイのパターンが大半であるから、恐らくこのアンリという少女も生まれながらにして殺人鬼だったということか。
「本来なら、ブラッドアイの捕獲はプロの仕事ですが、その少女はまだ幼く力も大してございません。ですから、入隊試験に合格したお二人が力を合わせれば、捕らえることができるはずです」
スタッフはそういうが、相手は連続殺人鬼。やはり、生まれて持った呪いには逆らえなかったのか。
けれど、9歳という幼さでどうやって殺人を?ブラッドアイは人間を越えた力を持った化け物だと噂されているが、この少女も超人的な力を持っているのだろうか。
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