もっと甘やかして! ~人間だけど猫に変身できるのは秘密です~

いずみず

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210話 「職場体験 その6」

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 僕メンテ。今日は学生さんの職場体験6日目です。


『目利きコンテスト開催!』


 僕のお店の看板にドーンと書かれた文字がこれ。大々的に宣伝したからか町にすごい人数が集まっているね。朝からお祭り騒ぎだ!


「え? 何この看板……」
「こんなの聞いてないよ」
「……私の計算だと王都と同じぐらい人がいるんだけど」
「多すぎない? こんな中でやるの??」
「もうやだあ」


 今のは学生さんは看板を見上げ、ゆっくり周囲を見渡したときの会話です。あまりの人の多さに驚いて店の前で呆然と立ち尽くているんだ。これ現実だって理解したくなさそうな顔しないで。

 実は店で働く大人達がこの看板とか宣伝を学生さんに気付かれないようこっそり準備していたんだ。僕も学生さんが外に出さないように泣いて誘導したり、ここで遊びたいと我儘言いまくって頑張ったんだよ。

 おや? 学生さんの顔色がどんどん悪化している。緊張しすぎだってば。近くにいる僕に気付いていないようだし挨拶でもしよう。


「はーい! おはおう」
「あ、メンテくんだ」
「メンテくんおはよう」
「メンテくん……じゃなくてメンテ教官? おはようございます」
「えぐぅ?」
「やった、ただのメンテくんだ!」
「よかった、普通のメンテくんね!」
「周りに猫もいないぞー!!」


 とまあ緊張をほぐすために大活躍した僕です。幼い子供の癒しパワーを存分に使いましたよ。

 その後、学生さんと一緒に店の中に入りました。スタッフが全員集まるとソノヒトさんが今日のことを色々と説明していきます。


「外を見れば分かると思いますが今日は人が多いですね。目的はここで職場体験をしている学生でしょう。課題の小物を見るために集まったのです」
「「「「「ざわざわ」」」」」
「今年の課題テーマは”センス”です。センスとは何か? それは感じ方や表現の仕方と言われています。あなたがたの作る物のセンスはいかほどなのか。それを目に見える形にしようと目利きコンテストを開催します。審査をするのは商品を買ってくださったお客様方。商品を渡す際に課題の小物を選んでもらいます。今店の前に集まっているお客様全員が審査の対象と言えます」
「「「「「ざわざわ」」」」」


 ざわつく学生さん。でもそれを無視してソノヒトの話は続きます。


「さて、みなさん課題はクリア出来ましたか? 見せてください。……こ、これは?! 全員同じく100個作り、サイズも似ていて素材も同じものを使っている。条件はほぼ変わらない状況ですか。これは面白い! 誰の小物が一番最初になくなるのか非常に気になりますね」


 店で働くスタッフは皆素晴らしいと頷いています。


「人気なもの程すぐなくなります。それを欲しいと思わせるだけのセンスがあるということですから。2日間で全て配布をすることは出来ますよね? みなさん優秀な学生と聞いていますから」


 闘争心を煽るような言葉を使うソノヒトさん。学生さんも状況が分かってきた顔をしています。

 そう、これはセンスを争う大会。学生さん7人が作った小物の中でこれが一番欲しいと思わせる順番を決める戦いとなります。よって人気のある小物が先になくなっていきます。

 お客様の欲しいものを理解出来る才能。今回はそのセンスが試されます。よって優勝する人にはそういうセンスがあると自慢出来るよ。

 また学生さんだけでなく、お客様のセンスも問われますね。その価値を見抜く力。ずばり目利きの力。学生さんと一緒に自分のセンスを図ることが出来ます。未来が予測出来るという力を持っているとアピールするにはもってこいの場だ。店の前で待機している商人らしき人達が張り切っているのはそういうことでしょう。

 というわけで店も客側もかなり熱い戦いとなると予想されます。僕はテーマを知っていたから学生さんに平等になるよう働きかけたんだ。全員に無理矢理100個作らせたよ! 分かりやすい数字でしょ?


「もうひとつ大事なことがあります。これです。今日はこの魔道具を使います」


 学生さんの前に置かれる謎の魔道具。それを動かすとあら不思議。学生さんの顔がお店の壁に映し出されました。


「うわあ?!」
「これ私?!」
「すげえ」
「この箱のような魔道具には映像を撮影する、撮影した映像を壁に映し出しすという2つの機能が備わっています。まだ世間では発表されていないナンスの新商品となります」
「「「「「ざわざわ」」」」」


 これは映像を撮影して投影および近くに配信する魔道具。前世でいうカメラとプロジェクターの機能を組み合わせたようなものです。プロジェクションマッピングでライブ配信するイメージですね。

 残念なことに音は出ません。だから誰かが司会や実況をするらしいよ。他にもテレビとかモニターが作られていないので現状は壁に向かって使うしかない、録画機能はない、ズーム機能はない等々。まだまだ未完成な部分が多いかな。

 使い方を説明しますね。ひとつは撮影用のカメラに、残りの魔道具で撮影している映像を投影します。だから最低でもふたつ以上揃ってないと使えませんね。また距離が離れすぎると映像が届かないようです。撮影用の魔道具はWi-Fiみたいに電波を飛ばしているのかな。

 確か祖父母と僕が初めて会ったときに似たような魔道具を使いましたね。空に子供達の映像を映し出すっていうあれ。あれは使う人の負担が大きすぎるという大きな欠点がありました。それを克服したものがこの新魔道具です。燃料は魔石ということで人が倒れる心配はありません。ただ消費が激しいのでお金が心配ですと誰かが言ってたけど僕にそんな話をされてもねえ。

 僕の感想としては明るい場所でもハッキリ映る点は前世よりすごい技術かもと思います。以上で魔道具の説明終わり。


「2日間この魔道具を使いリアルタイムで店内の様子が見れるようにします。こちらの特別に赤く色付けた魔道具で映像を撮影し、残りの色の付いていない魔道具は撮影した映像を壁に映し出すように設定されています。これで店のどこにいようと見ることが出来ますね。課題の状況を実況したり、お客様へのインタビューをする予定です。あなた方の仕事の様子も流れるかもしれませんね。さあ、準備を始めてください」


 学生たちと共に僕も猫を呼んで準備を始めます。みんなー、作戦通り動いてね。


 ◆


 俺はミチオ。ソノヒトさんの話を聞いて課題の意図を理解した。

 課題は思った以上に深く考えられていた。協力じゃなく競わせるつもりなのか。のんきに手伝おうって思っていた俺がバカだった。他の学生も焦っているのが分かる。

 それとは別にヤバいと思ったのがある。ソノヒトさんが持って来た魔道具だ。新しく開発されたナンスの新製品らしい。これを宣伝するために俺たちに課題が与えられたに違いない。これは売れるだろうなあ。でもあれって……。


「あれだよな? あれ。あの新しい魔道具」
「何年か前に使われたっていう?」
「そうそう、それ。みんなも気付いた?」
「当たり前でしょう」
「噂に聞いていたあれの実物を見れるとは思わなかったぜ」
「戦争のね……」


 どうやら俺以外も気付いているようだ。この新製品は絶対に戦争で使われた魔道具の小型化したものだと。戦況を一気に変え、情報の早さで勝敗が決まると世界中の国々を恐れさせた。

 こんなもの売って大丈夫なのかと思いつつ、好奇心に負けた俺たちは魔道具をまじまじと観察するのであった。


「すげえ、これ壁に映像が流れてるぜ。どうなんってんだ??」
「こうやって光を遮ると映らないね」
「この魔道具を動かすと映像も移動するんだな」
「開店したらこれの赤い方を持ち歩いて店内を撮影していくんだって」
「こんな感じか? お、ちょっと重い。肩に乗っけると安定しそう」
「ぎゃはは、お前映ってんぞ!」
「本当だ?!」
「いえーい!」


 すごすぎる。これが最先端の魔道具か!

 開発に係わった人の話によると、最初は撮影する魔道具と映像を映す魔道具は別々に作ろうと想定していたらしい。でもダンディさんが両方の機能をまとめたものを作ったうえに自爆装置も付けたという。みんなダンディさんらしいと言っていたが、それだけで片づけてもよいのだろうか?


「これで映すものを決めて、こっちのやつで映すのか。どんな構造なんだろう。分解したいなあ」
「店の外にあるのはサイズが大きめで見やすいね。村全体に設置したら盛り上がりそう」
「離れすぎると撮影した映像が見られないんだって。だからコノマチ全体で見るのは厳しいらしい」
「だから店の前に人がいっぱい集まってんだな。それと音は出ないんだな。映像が見れるってだけですごいけどさ」
「あ、音声は俺がやるの」
「「「「「はあ!?」」」」」


 どうやらこの魔道具は映像を映すだけで音は出ないらしい。そこで学生のマイクくんが実況するのだとか。みんな驚きつつ開店の準備をしていった。


 こうして開店時間になり……。


「いらっしゃいませー! こちらは私たちが作った小物で配布される人形にぴったり合いますよ。本日限定で先着50個のみの販売となります」
「今購入したらカッコいい武器が付いて来るぞー!」
「この手触り分かりますか? 本物の木にそっくりでしょう?」
『1番人気は私マイクの作品だー! どんどん選んでくれよな!!』
「おい、マイク汚いぞ!」
「そうだそうだ!」
『これもお仕事ですから』
「クソが!!」
「卑怯者!!」


 俺たち学生はお客様の接待をしている。というか自分の作った小物を選んでくれよなとアピールしまくっているな。その中でも実況のマイクは反則だろ。早く立場を取り上げた方がいい。

 俺はものづくりはするけど接客業の仕事は初めての体験である。みんなみたいにアピールするのが正解なのか分からない。どう動けばいいのだろうと思っているとメンテくんが近づいて来た。


「はーい!」
「どうしたのメンテくん?」
「なにちてう?」
「接待しろと言われてもどう対応したらいいのか分からないんだよ。まあメンテくんに言っても分からないか」


 赤ちゃんに何て相談してるんだと思ったらメンテくんが服を強く引っ張って来た。こっちだよと連れていかれる。連れてこられた場所は子供用のおもちゃ売り場だった。


「きゃきゃきゃ!」


 一人で遊び始めるメンテくん。……何で俺は連れてこられたんだろう? 俺魔道具を売る仕事をしているんだよな? 一緒に遊んでいたら怒られるんじゃないか。

 しばらくメンテくんを見ていると大量の猫がやって来た。この店で働く大人達の悲鳴と共に。


「勝手に持って行かれると……痛っ?!」
「しまった、持ってかれたぞ?!」
「ぎゃああああああ、いてええええ。誰か猫を止めてくれー!」
「えっ?!」


 一瞬見ただけでは数えきれない猫達が新魔道具を奪って強引にやって来た。あれは赤いから映像を撮影するやつだ。それを勝手に操作し始めた。

 おお、猫も魔道具を使えるんだ……ってダメだろ?! 猫がそんな器用なこと出来るわけがない。むしろ壊されるだけと思ったら今画面にはメンテくんが遊んでいる姿が映っていた。

 ね、猫が普通に魔道具を使っている?! しかもブレも一切なくめっちゃ綺麗にピンとが合っているだと……?! この店の猫達天才すぎないか?? どこで使い方を覚えたんだよ。

 もう少し猫の様子を見ていたい気もするけど、この店のスタッフの人達が困ってるから取り戻さないと。


「こら、ダメだよ何やって……」
『しゃああああああああああああああああああああああ!!』
「ひいい?!」


 猫から新魔道具を取り返そうとしたら襲い掛かって来た。怖えええ。一旦猫から離れて様子を見ているとおかしなことに気付いた。


「……あれ?」


 猫に気を取られていたけどメンテくんからとんでもない赤ちゃん臭が醸し出されていた。

 おかしいな。メンテくんは歩けるはずなのにずっとハイハイしている。言葉もえぐえぐしか言わない。年齢が下がってるような気がする。何も知らない人は0歳と間違えてしまうのではないか? もう本当にただの赤ちゃんにしか見えない。そんな幼いメンテくんがいた。

 ……俺は幻覚でも見ているのか??

 映像には可愛い赤ちゃんがおもちゃで遊んでいる様子がずっと流れる。しかも次々と店に並べられた商品を使っていく。猫がわざわざメンテくんの前におもちゃを持ってくるから途切れることはない。おかげでずっと遊んでいる。その様子を猫達が協力し合って撮影していた。

 猫だけで全部プロデュースしてるように見えるな。今のメンテくんは教官モードじゃないのにだ。俺はどうしても言いたい。あの猫の中身は人間なんじゃないか?? 道具を使ったり人間みたいな行動を普通にしてくる。この店の猫が頭良すぎる疑惑はここで確信へと変わった。コノマチの猫ヤバい。

 ほら、遅れてにやってきたスタッフたちも驚いている。猫が人間っぽい動きをしていたら誰だってそうなるだろう。

 スタッフが猫から魔道具をどうやって取り戻すか考えていると、メンテくんが遊びに満足したのかすぐ魔道具は返される流れになった。猫達はスタッフに魔道具を預けると解散し、メンテくんは店の裏へと連行されていった。イタズラしちゃったもんなあ。まあ泣いてはいないから大丈夫だろう。


 メンテくんと猫達が何をしたかったのか。このときの俺はまだ分からなかったが、その答えはすぐにやって来た。


「ちょっとそこのあなた。今映っていたおもちゃはどこに売っているの? 赤ちゃんが遊んでいたおもちゃよ」


 お金持ちですっていう服を来たおばさ……お客さんに話しかけられた。その後ろからファミリーや年配の方がぞろぞろやって来る。おもちゃコーナーに人があふれ始める。


 ……ま、まさか?!


 と俺はメンテくんの行動の真意に気付いた。メンテくんは無意識で遊んでいただけに見えたけど違う。あれは商品の宣伝をしていたのだ!!

 1歳のメンテくんおよび猫達が新しい魔道具の使い方を熟知していると誰が考えただろう。学生よりも大きな宣伝効果をもたらした。

 このとき俺は戦慄を受けた。メンテくんが俺にこうやるんだよって教えているようにしか思えなかったからだ。この店で一番ヤバいのはダンディさんや猫じゃない。メンテくんなんじゃ……?


「少しいいかしら? あれって他の色あるの?」
「はい、あそこで展示しているのは黄色ですが他に7色あります。あちらのコーナーに並べられています」
「ありがとう。あなたも学生よね? 名前を教えてくれないかしら」
「ミチオです」
「いい子ね。あなたの作った小物を貰うわね」

「聞きたいことがあるんだが少しいいかい?」
「はい、お待たせしました」


 そこから俺は忙しくなったからメンテくんについて考えるのを止めた。その様子を見た他の学生も俺の真似をし始めた。どうやらこれが正しい接客サービスなのだろうな。


 メンテくんに感謝。


 ◆


『おおっと! 早くも100個全てがなくなった者が出ただとー?! なんてことだー!! 目利きコンテストの優勝者が決まってしまいました!! 一番人気になったのは――』


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